2022/10/19 のログ
ご案内:「無名遺跡」にルーウェンさんが現れました。
■ルーウェン > 「………まずった。」
暗闇の中で独りごちる。
それは幸運なことにパーティーを組んでくれる同行者に恵まれ、無名遺跡の地下ダンジョンへと探索に赴いた先での出来事だった。
何もない通路を進む途中でふと感じた違和感にこれまでの経験則と第六感が警鐘を鳴らして、先を進む同行者を呼び止めようとした時にはその姿は既に無く、代わりに目の前の床にはぽっかりと大きな穴が空いていた。
「こりゃ思ったよりも深そうだな………おぉーい、大丈夫かー!?」
目の前に空いた落とし穴は手にした明かりを翳して覗き込んで見ても、底の見えない暗闇が広がるばかり。
これまでの様子から鑑みて、仕掛けられた罠はいずれも殺傷性は極めて低いものばかりで、恐らく命を落とすことはは無いだろう―――
ただその代わりに、やれ媚薬プールだの、防具だけを溶かすスライムだの、このダンジョンを創った主の趣味嗜好なのか何なのか、待ち構えているのは命を奪う代わりに恥辱を与えることに特化した卑猥な罠ばかり。
命の危険が無いからといってこのまま放っておくわけにもいかず、まずは安否を確かめるべく穴の中を覗き込みながら大声で声を掛けてみる。
■ルーウェン > 返事は無い。が、耳をすませば穴底から微かだが確かに人の気配は感じられた。
少なくとも穴底に仕掛けられていた針山で串刺し、などといった無惨な事態は免れたようだ。
「さて、そうなると………。」
携行した鞄の中身をガサゴソと探り、取り出したのは先端に鈎の付いたロープの束。その一端を手近にあった石柱へと結び付け、何度か引っ張って結びの強度を確かめてからもう一旦を穴の中へ。
そうして垂らしたロープから何事も無く自力で這い上がって来れるのであればそれに越したことは無いが、流石にこの状況で指を咥えて待てる程自分とて楽天家では無い。
5:5で約束していた今回の報酬の取り分、8:2くらいで許して貰えると良いな―――そんなことを考えながら、穴の底を目指して垂らしたロープをゆっくりと伝い降りて行く。
■ルーウェン > やがて辿り着いた穴底で、同行者の姿は幸いすぐに見つかった。
落ちた穴の高さに反して目立った外傷は無い様子だが、代わりにその着衣は乱れ、得体の知れない粘液に塗れた格好で力無く地面に横たわっていた。
一体何があったのか気にはなったが、声を掛けるよりも先に睨むような視線をぶつけられてしまった。
「悪かったって………そんなに怒らないでくれよ………。」
罠の発見が遅れた自分に対する恨み言を延々と聞きながら、しかし自力で這い上がれる程の余力の無い同行者を背負いながら、垂らしたロープを掴みゆっくりと登り始める。
落とし穴に落ちた彼女の身に一体何が起こったのかは―――街に戻って御機嫌が直った頃にそれとなく聞いてみよう。
ご案内:「無名遺跡」からルーウェンさんが去りました。