2022/08/26 のログ
ご案内:「無名遺跡」に肉檻さんが現れました。
■肉檻 > 名も無き遺跡の奥深く、蟻の巣の如く入り組んだ迷宮を跋扈する魔物達と仕掛けられた無数の罠を潜り抜けたその先に、
待ち受けていたのは魔法による篝火に照らし出された、立方体状の小さな石室。
その部屋の中央、精巧なレリーフの施された石造りの台座の上には
拳程度の大きさをした真球の透き通った水晶玉が、
揺らめく篝火の光を受けて煌めきながら、その場に祀られるかの如く鎮座して居た。
いつから其処に在り続けるのか、時の流れを感じさせる程に所々朽ちた台座とは対照的に、
汚れや罅はおろかくすみひとつ無く、見た者を惹き付けるように妖しく煌めきを放つ水晶玉。
静寂に包まれた石室の中、新たな来訪者を待ち続けるかの如く、其れは唯じっと物言わずに佇み続けて居た。
ご案内:「無名遺跡」にクレアさんが現れました。
■クレア > 少女は求めていた。そう、一攫千金を。
装備一式を揃えた際に店主の企みで有り金を全て使わされてしまい
宿にも泊まれぬ赤貧状態でなんとか数日を野営で過ごしたは良いものの、
功績が無く若い彼女にギルドで紹介される依頼は碌なものが無く、
暫く食べて繋ぐというにはあまりにも心許無い内容ばかりであった。
「あ、あった……お金に変えられそうな、貴重そうなもの!」
宝の一つでも見つけたならばという執念一つで単身遺跡へと向かった少女は、
命からがら辿り着いた奥の石室に祀られる美しい水晶玉を発見した。
ここまで魔物の襲撃を幾度も切り抜け、何度か罠にかかり、疲労はピーク。
けれども目前で輝く水晶を見れば、全てが報われたかの様な満面の笑みを浮かべて
「これなら持ち帰るのも簡単そうだし……うぅ、良かった、良かったぁ~っ!」
鎮座する水晶へと迷わず手を伸ばし――――それを、手に取った。
■肉檻 > それまで石室を包んでいた静寂を破り、迷宮に反響して響く探索者の声。
度重なる魔物と罠の脅威を掻い潜った褒美の如く、水晶玉は台座の上で煌めきを放ち続ける。
街まで持ち帰り相応の場所まで持ち寄れば、悪くない値段での換金が望めるやも知れない。
しかし迷い無く伸ばされたその指先が水晶玉の表面へと触れようとした瞬間、
硬質な真球の形をしていた筈の其れはぐにゃりと形を歪め。
まるで布か何かの如く大きく広がったかと思うと、伸ばされたその手を、腕を、
終には探索者の全身をも包み込むかのように、呑み込んでしまおうとするだろうか――
■クレア > 「……………………へっ?」
急に誰かに話しかけられた際に上げるかのような、気の抜けた様な声。
手を伸ばして掴もうとした水晶が、その像を突如として歪め、広がり、
少女の全身を包み込む直前に、唖然と開いた少女の口から漏れた言葉だった。
予想せぬ出来事。疲労困憊で両脚が棒の様になった少女は、
そのまま、つい先刻まで水晶玉であったナニカに呑み込まれて行く――
ご案内:「無名遺跡」から肉檻さんが去りました。
■クレア > 【お相手様申告により場所移動となりました】
ご案内:「無名遺跡」からクレアさんが去りました。