2022/07/24 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M >  
迷宮が居る
迷宮が在る

E・T・D・M > だがしかして、此処が遺跡の奥深くだと誰が考えようか
天然自然の穴倉ではなく明白に人為的な手が加えられている
ブロック状の石を幾つも敷き詰めた床面はカラフルなモザイク柄を織り成して
その上には円形のテーブルや椅子が多数に犇いていた
採光や換気の為の窓は存在しないが鈴なりに下げられた発光物を孕んだ鉱石が青白い燐光を放ち
それに照らされた異国情緒の溢れる壁掛けタペストリー、台座に飾られた黄金の竜の像が場に浮かび上がる
あたかも何処かのクラブの様な景観に加えて極め付け、周囲には多くの人々が行き交い
給仕される酒や肴を堪能し、憩いの一時の談話に興じている始末
但しながらにその全ての紳士淑女達の顔を見るがいい
年齢から種族まで一見すれば多種にわたりつつも、誰も彼もが『顔』が無い
目鼻顔立ちの輪郭すらも欠け落ちたのっぺらぼう達が、生き物のフリをして屯している

E・T・D・M > 「♪~~」

肌に感じる事を信ずるならば穏やかな空気が漂う場において、不意に流れる音楽
空間の最奥に位置する小さな小高い舞台上において陳列する様々な楽器たちが
奏者も不在だというのに自らを奏で出している
ギターが透き通ったメロディを流し、タンバリンがリズムを取る
フルートは小粋に曲調の足を少しずつ昂らせ、周囲の客たちが合いの手を打ち出した
もしも一端の魔術師であるならば、その音楽の正体も把握出来るかも知れない
それは一種の催眠の効果を有するミュージック
伝説で語られる赤い靴のように聞く者の脚を躍らせる類のものだ

「♪~~」

然程に広くもない一部屋の中に反響を繰り返し
踏み鳴らす足音が入り交ざり、瞬く間に場は小さなダンスホールと化しつつある
それもまたステージにへと憐れな踊り子を招く為のトラップである
ということを迷宮を熟知する冒険者の一部ならば理解するかも知れない

ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。