2022/07/06 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
タマモ > 九頭龍山脈、その麓付近にある、無名遺跡の一つ。
その部屋は、天井に大きな穴が開いていた。
探索し尽され、何も無くなって久しいか。
老朽化も進み、どうやら、何かの弾みで崩れたらしい。
…とは言え、周囲の樹木の根やらが、そこかしこに伸びており。
普通では、落ちたら即死だろう高さでも、どこかで引っ掛かって止まりそうな、そんな感じだ。

「まぁ…それでも、運次第、なんじゃろう。
いやはや、なかなかの高さじゃ。
魔物もちらほら居るし、暇潰しには良い場所じゃ。

さすがに、そこまで楽しめる相手、とまではいかんじゃろうがのぅ」

腕を組み、天井に開いた穴、かなり上となるか、僅かに見える夜空を見上げる。
そんな場所に、少女が居るのは、いつもの気紛れ。
散歩のついでに、目に付いた遺跡に、気軽に足を踏み入れたのだ。

探索し尽された、とは言っても、本当に何もない訳でもなく。
この場所でないと採れないような、珍しい鉱石や植物等もあるだろう、多分。

タマモ > 「………ふむ…ん?」

見上げたまま、何か思い至ったか、一つ頷くも。
ぴくん、と耳が揺れた。

少女の聴覚は鋭敏だ、ほんの些細な音も聞き取る事が出来る。
忍ぶ足音か、それとも呟きか、何かしらの物音か。
天井の穴を見上げていた視線が、ゆっくりと下がり、それを聞き取ったらしき方向へと向けられ。

「さて、どうしたものか。
また魔物なのか、それとも………いや、期待はよそう。
向かってみれば、分かるものじゃからな」

音から、ある程度の距離は分かる。
魔物であれば、軽く相手をし、叩きのめせばいい。
そうでなければ…まぁ、相手次第で、どうしようか考えれば良いだろう。

ゆっくりと、少女は歩み始める。
音を聞き取っただろう、その場所へと向かって。

ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > ダンジョンがそこに在る。

さて、日々の生活の中で身近な毒物と言えば様々にある。
だが、その害意性を広く認知されつつも、親しまれている毒物もまた存在する。
それは、酒だ。太古より存在する酩酊の毒は様々な文化圏に根付き、各々に独自の酒が誕生して来た。
多少なりの時と場合を弁えた飲酒はその人物に豊かな快を齎すが、過ぎるものは時に人にその毒性を思い出させる。

迷宮の一角には河川が流れ続けていた。
広い回廊状となっている場の凹凸の多い石の床面の主に溝部分を経由し、
水面は透き通るような琥珀色を湛え、なだらかな水流を絶えず維持している。
それがただの水ではないと知りつつもその味を知る者も少なくはないのだろう。
周辺には野生動物や迷宮の怪物達が、どろどろに泥酔した状態で引っ繰り返るように倒れている始末だ。
醸された芳しい芳香はブランデーのそれに近しく、
水よりも遥かに高い揮発性は濃厚なその香りの手をもって犠牲者たちを招き続けている。

E・T・D・M > どんなに賢い人間であろうとも、酒で失敗して破滅の憂目を見る。
それは歴史の物語る一つの事実でも在るだろう。
噴き上がる粒子から香る甘さとその日常性に油断してはならない。
経口でそれを摂取せずとも粘膜に触れるだけその酒精は体内にへと侵入を果たす。
瞬く間に血中に拡散されるその毒性は頭蓋の内部にまで潜り込み。
普段ならばクレバーな思考回路も鈍麻させてしまうのだ。

アテが無ければ酒を楽しむ事は出来ない?

なれば都合の都合の良い事に、彼処にはその構造を変異させられた無数大小の植物が林立している。
それらの枝ぶりに実らせるものは摩訶不思議なるやただの果実ではない。
あたかも吟遊詩人の語る冗句の如きに干した肉に魚、果てなるは甘い砂糖菓子や乾酪、塩気にも甘味にも事欠かぬ。
宴を催す為の丁寧な支度がこの一角には整い切っている。

E・T・D・M > 或るいは普段ならば敵意を剥き出す獣やモンスターも、
啜る酒精によって敵意を削ぎ落される。
脅威と成り得る敵対的な亜人種たちが粗末な杯を酌み交わしている様すらも窺えるかも知れない。
楽し気な鼻歌に溢れ、一芸を披露する場も設けられていた。
空気は緩み切って、輪になり文字通り浴びる程の酒に踊る環が見える。
垣根を倒して親しむ酒の和と言えば聞こえは良いかも知れぬ。
だが、それらの齎す大いなる油断こそが仕掛けられた罠の本質に他ならない。
人里の酒場とて飲んだくれて前後不覚に陥れば、一体どんな酷い末路になるか解ったものではないのだから。
愚かしくも乱痴気騒ぎの最中に無防備に寝息を立てる酔っ払い達が累々と横たわり、足の踏み場すら無い所すらもあるだろう。

ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にリンさんが現れました。
リン > 「わ~~~~っ……」

遺跡の通路の中を、手のひらサイズの小人が全力で走っている。
背後から追いかけてくるのは、数十センチはあろうかという大きなネズミだ。
遺跡に棲んでいた、魔物とも呼べない生き物だが
身の丈十センチ程度の小人には熊のような脅威だ。

この小人はダンジョンに潜っては地図を作って売る商売をしている。
モンスターに見つかりにくいことを活かして、奥深くまで潜っていたのだが……
モンスターには見つからなくても、小さなネズミには見つかったりするわけである。

「はあはあ……どうしたものかな……」

巨大ネズミは入れないが自分なら入れる程度の小さな隙間に入り込んで、やりすごす。
しかしネズミは興味を失ってくれず、入っては来ないがどいてもくれない。
ネズミに化けたことはあるが、ネズミに食べられそうになるとは皮肉だ。

「一生このまま……?」

誰か助けて……

リン > ドタ ドタ ドタ……

通路に響く複数の足音。
どうやら、冒険者パーティが入って来たらしい。
ネズミは反対側へと逃げていった。

「ふう……」

冒険者たちが通り過ぎるのを待って、リンも隙間から脱出して、
そそくさと退散していった……

「ほんとのネズミになった気分になるな ときどき……」

ご案内:「無名遺跡」からリンさんが去りました。