2022/06/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
■E・T・D・M > 迷宮が在る
■E・T・D・M > 部屋の中は研磨した滑らかな白い大理石製だ
さほど広くは無く、立方体型の形状
当然において差し込む事の無い陽射しに代わり
七色の香油が吊るされた硝子瓶の中で燃えて、幽かな明かりを放ち続けている
そして部屋の中央部分には石で出来た台座のようなものが隆起していた
板状となっている表面には純白の苔が柔らかく生えており、あたかも天然のタオルのような柔軟性だ
部屋に立ち入る為の扉は部屋側面に備わった一面のみ
その向こう側においては普段通りの迷宮景観が広がり
迷宮への侵入の体力を摩耗することに全機能を費やしているだろう
■E・T・D・M > 獲物を捕らえているのは何も趣味ではない、己自身に課された仕事であるからだ
そしてその歪んだ趣味性癖を満たしたがっていた太古の魔術師達も
決してぼろぼろになった獲物の姿を映像で観たがっていた訳ではない
否、そのような趣味を抱いている者も居なかったといえば嘘偽りになってしまうが
あくまでも自然のままの形を欲する需要ばかりではないという事であり
それに対する供給を満たす為にかくなる活動形態に入る事も在る
「………」
天井の一部に擬態していた触手の群が次々に分化しながら垂れ下がる
大小細かな触手は基本的には変幻自在であり、その大半が御互いに絡み合うようにして接合し
人間の手のような形状をしたマニュピュレーターを構成している
グーパーチョキに細部末梢の形まで変更させてジャンケンだって出来る奴だ
その精密な手指行動の機能性の向上は即ち道具の運用すらも可能にさせる
■E・T・D・M > その手にはブラシを握り締めていた、獲物の髪を梳る為にだ
その手には大小のハサミを握り締めていた、手入れのされていない毛先を整える為にだ
その手には垢すりを握り締めていた、獲物の代謝によって生じた皮膚の余分な皮脂や老廃物を削ぎ落す為にだ
その手にはスプレーを握り締めていた、内用液は様々だが清潔を促す為の薬液であるのが大半だ
その手には耳かきを握り締めていた、先がしの字ではなく螺旋状になっているタイプでである
その手には爪やすりを握り締めていた、手足の先こそおろそかにしてはならない、マニキュアまでバッチリだ
その手にはカミソリを握り締めていた、冒険の最中で無駄毛を処理する余裕のある程の強者は一体何人居ると言うのだろう、産毛すらも見逃すまい
部屋の中の湿度は高く、肌の大敵である乾燥を弾く、軽いサウナといってもいい
部屋そのものから分泌され続けている薄い霧のような噴霧は、立ち入る人間の理性的な思考に霞みをかけてしまう
それもストレスの発生を抑制し、無駄な抵抗をさせないが為にだ
「………」
世には獲物を美味しく調理する為に数多くの注文をする怪物の店が在るという
なれば獲物を『美味しく頂く』為にその下ごしらえをする怪物が居たっておかしくはあるまい
ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。