2022/03/22 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
■E・T・D・M > 迷宮がある
迷宮がいる
四季折々の風景を外界は織り成しているが
地下の底ではさして変化は生じない
冬の明けと共に暖気が運ばれ
火を焚く為の燃料を要さなくなった分だけ入用が減り
危険地に足を突っ込んで来る労務者は
寧ろ減ったと言ってもいいぐらいだろう
静けさを洞窟内が満たしていた
今日のデザインは天然洞ではなく
煉瓦を積み上げて隙間を白い漆喰で固めた
とてもクラシックな地下迷宮の形式だ
如何にも悪の魔術師が潜んでいますで御座いと言わんばかりに
回廊の彼処には獣脂を燃やし、めろめろと盛る灯火が掲げられている
■E・T・D・M > さて、ダンジョンと言えばそこに徘徊する怪物達だ
自然棲息する野生動物の類やならず者たちが棲み付くパターンも在るが
バランス調整を考えるならば、やはり人為的に手を加えるのが手っ取り早い
侵入者たちを迎え撃つための怪物の群は最奥付近の棺(これは本物ではなくただの小物だ)の置かれた玄室において創造されては迷宮内にへと送り出される
手持ちの魔力によって構築出来るものは様々だが、創造主の命令に忠実に従ってくれるのは有難い話だ
生理的現象もほぼ皆無で、死ぬ時も無駄に死体を残さずに消失してくれるので、衛生管理まで気を遣わずに済む
とはいえメリットばかりだとも言い難い、勿論良い所もあれば悪い所も在る
■E・T・D・M > 一つはかなり単純な命令にしか従ってくれない事だ
複雑な思考回路を持たせて行動させるには、自分自身が憑依しなければならない
加えて酷く燃費が悪いのも欠点の一つだとも言える
先程に指摘したように生理的現象が無い、ということは外的にエネルギーを摂取出来ないという事でも在る
最初に充填した魔力が切れ次第にばたばた限界を超えて、勝手に過労で倒れてしまう悲しき末路も決して珍しくはないのだ
故に、ダンジョンマスター手ずからによる、定期的なメンテナンスが必要になって来る
がたん、と、押し開かれる扉の音
ほら、巡回している怪物の一体が此処まで戻って来た
むくつけき筋骨の逞しい一般的なオーガ種だ
■E・T・D・M > それを待ち構えていた大量の触手が包み込むようにして捉え
ぺたぺたとその筋骨隆々たる全身を撫で回す
節々に蓄積された疲労物質の確認、消費された魔力エネルギーの分解によって生じた老廃物
疲れ切ってぱんぱんに張り詰めた筋肉を揉み解し
関節の隙間にへと肉の注射を打ち込んで、摩耗した軟骨を補填する潤滑液を注入
冷えついて絶えず乾燥している地下迷宮の空気に晒され砂漠の蜥蜴のように乾き切った肌に油分と化粧水を塗り付け補水
長期的な活動で草臥れ切って歪んだ骨格を抑えて整える、ぱき、ぽき、と、人体に近しい肉体の彼処から骨の鳴る音
全体を捕食するかのように肉の繭の如く覆い包んだそれを隅々まで施療し
「………」
ぺっ、と、吐き出すようにして外部にへと追い出した
ぬるぬるの粘液を全身から滴らせる怪物も
入って来た直後とは比較にならぬ程につやつやだ
曲がっていた上背は真っすぐに正され
その歩みは引き摺るようなものから腿をはきはき持ち上げながら部屋を出て行く、これにてメンテナンス完了
■E・T・D・M > 細かに触手に絡み残している爪ヤスリと産毛剃りを、ぽいっと部屋の中にへと放り捨てた
デザインされた魔物の種類によってメンテナンスも千差万別
長年を慣れ切っているのでただの粘液に過ぎないスライムすらも、その健康状態を把握する出来る自信はある
手間暇は確かに要するが、長期的な視野で見るならば
出来るだけ長持ちをさせた方が最終的には得となろう
かくして迷宮内には絶えず健康を維持された怪物達が今も巡邏を継続しているのである
ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にクローナさんが現れました。
■クローナ > 「この遺跡……外れっぽい?」
この国に来る前に聞いた新しい遺跡の噂。
有り金の殆どをかけて地図を購入し挑んだのだがどう見ても採掘された後。
残り物もあるにはあるがお金になりそうな物は殆どなく、地図の代金と旅費を考えれば大赤字。
「これは困ったかも……何か見つけて売らないと宿代が…」
野宿は流石に嫌だと考え、奥ならまだ何かあるかもと遺跡の奥へと足を踏み入れていく。
■クローナ > そうして奥に踏み入れ、運よく残り物を見つけることが出来、数日分の生活費程度を稼げることとなって…。
ご案内:「無名遺跡」からクローナさんが去りました。