2022/02/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > ダンジョンが居る
ダンジョンが在る

さてさて、突然だが
もしも君が道端に落ちているお金を見付けたとする
きっと君は周囲を見回したその後に
我が前に降りて来た幸運に感謝しながらそれを拾い上げる事だろう
だが、もしも訪れたダンジョンの中で剥き身の財宝がきらきら輝いているのを目前にしたとする
果たしてそれに手を着けたりするだろうか?
答えはきっと否、慎重深い者である程に容易すぎる財貨に警戒と敬遠を呈し
それに近づいたりするような、あまつさえ手を着けるような愚は犯すまい

E・T・D・M > そういった事には理由が在る
人間達に、人間達に限定したことでは無いが
コミュニティに伝播する情報網
例えば酒場で語られる吟遊詩人の冒険者の詩
例えば同輩から耳にした冒険譚の一端
そういった内容から『簡単で美味い話は無い』ということを
或るいは自分自身の体験からも思い知るのである
その為に『たった今』、目前において積み上げられた
磨き上げられぴかぴかに顔も映り込みそうな金貨を目撃したとしても
それに呆気なく喜び飛びつかぬ方が至極当たり前の反応というものなのだ

E・T・D・M > だが、それに『困難』というスパイスを足し込んだ場合は別となる
暗がりの蔓延っている迷宮内、天井はやや高く見上げ仰いだだけでは良く見えない
だが暗闇でも視覚の効く種族、あるいは注意深くその灯りを手に翳すならば
そこに鉄製の檻がぶら下がっており、今か今かとその目に見える地雷に踏み込もうとしているものを狙っている…
そのような仕掛けが直ぐに確認出来るようになっている
そして思う訳だ、なるほど、間抜けならばその渦中に足を踏み込んだに違いない
だが自分はそんな馬鹿ではないぞ、と
立て続けにその人物が次に考えるのはそのトラップをまんまと潜り抜け
仕掛け主の思惑を出し抜いてそこにある財貨を得る手段を講じる事だ

一つの困難が目に見えれば、それさえ乗り越えれば得るべきリターンがそこにあると思い込む
だが、そこで思考停止してはならない、それこそが『罠』というものなのだから
仕掛けの本質は頭上に見えている檻ではなく、その積み上げられた金貨の小山にこそ存在する

E・T・D・M > 即ちに於いては財貨の山を隠れ蓑にして纏いて潜みたる者が居るという事だ
寒々しい山中でミノムシという奴を見た事が無いだろうか
彼らは小枝や枯れ葉などを掻き集めて我が身に繕う
それと同じような振る舞いをもって
今『罠』の中心では一振りの触手が床から生えて
そして練り上げられた金貨彩色の衣をその身に羽織りて
じっと佇んでいるという次第なのだ

E・T・D・M > 「………」

まあ、かといってどんな手法であろうとも
突き詰めてしまえば擬態型であり、加えて釣り餌型である事には違いないのだけれども
いかにも山盛り、という感じに暈増しする為に直立姿勢を維持するのも大分疲れる
見栄えの良さというのも大事だ、街の娼婦たちの中でデカい乳を演出する為に寄せて上げる様な衣装をする者も居る様に
でも少し疲れたのでその場にへと横たわる
じゃらり、夥しく纏う金貨のうねりが滝のように床上に流れた

色々な立ち振る舞いを試行錯誤
階段状、鉤爪状、天井にも張り付かんばかりに長く伸びればあたかも金の柱!
そして一振りの触手を散開させて八方十六三十二方に広げれば、もうそれは金の生る樹だ!

E・T・D・M > 「…………!」

くるりと身を翻せば黄金の輝きは色を変えて
大粒小粒、七色の煌めきを放つ宝石の数珠繋ぎと成り
かと思えば月光すらも恥じらう白金の輝きが洞窟の一角に満ち渡る
数世紀に渡り世界を間接的に眺め渡して来た
解り易いレアアースばかりが能ではない
見よ、古き時代の貨幣の連なり、既に亡びたる何処かの地の栄光の財貨も此処に蘇る
貨幣文化以前における物々交換、貴重な歴史的博物である貝殻や木の実、石の金、何でも出来る!

E・T・D・M > 「………」

でも結局はスタンダードなお金が一番だ
売買取引や、両替の面倒が無いからね
またその身において纏うものが
現代でも通常的に用いられる硬貨にへと入れ替わる