2022/02/01 のログ
ご案内:「無名遺跡」にカルムさんが現れました。
カルム > 「まぢかー………。」

ランタンの明かりで、薄暗く照らされているダンジョンの中、冒険者男の声が静かに零れる。
先日依頼を受けて、仮のチームを組んでやってきたダンジョン、新しく出来たというダンジョンなので、罠などを警戒していた。
そして、ダンジョンに入り、色々と地図を作ったり、モンスターを退治して居て、其れなりに順調だと言えた。
取り合えず休憩しようと言う事になり、休憩に適した部屋を探して歩いていたのだ。
部屋を見つけ、盗賊が罠を確認して大丈夫、と言う事で、入ったその先の事。

―――魔法罠が発動したのだろう。

気が付けば、男は一人、見知らぬ通路に立ち尽くすこととなる。
近くにチームメンバーは居ない模様、ランタンは、自分で持っていたので問題ないし、他の面子も同様だろう。
不安材料としては、ここが何処なのかが判らない事だ。
マップは、盗賊が作っていたし、同じような石畳のダンジョンでは、今の場所が把握できるわけでもない。
目印などもないのだ。
地表に近いのか、遠いのか、其れすらも判らない状況となっていた。
取り乱すのは体力と時間の無駄だ、まずは落ち着いて深呼吸をし、荷物の確認。
食料などの再確認をしたのちに、周囲を見やる。
此処は、恐らく通路だろう、前と、後ろに道が伸びている。
そして、闇が大きく口を開けているということぐらいしか判らないが、立ち止まっている訳にはいくまい。
まずは、とバックパックから白墨を取り出し、壁に、マークを付ける。
自分がこの場所に飛んできたという印をつけて、足元に、くさびを一つ打ち付けた。

「前に行くか、後ろに行くか、だな……。」

ふむ、ともう一度通路をみやる、指針も何もないし、勘しか頼るものがないのか、と。
盗賊ではないので、其処迄詳しくは見れないのが、悩ましい。

カルム > 「とりあえず……こっち、か。」

判別が出来ないし、特に良く判らない、シーフが居れば、もっとわかるかもしれないけれど、今は居ないのだ。
それと同時に、何があっても良いように武器は持っておくべきだと男は警戒を強くする。
さて、と、つぶやきながら手にするのは、モーニングスター、こんなダンジョンでは、バトルアクスを振り回すには狭い。
モーニングスターであれば、其れなりの射程と、打撃に巻き付けが期待できる、壁にぶつかっても反射して打撃を行う事も出来る。
大きいのは、角越しに攻撃も出来る。
これで行くか、と、右手でグリップを握り、左手は鎖を。

石畳を踏みしめながら、男は暗い通路を進んでいく、足音が響くだけの静寂。
仲間と合流して脱出できれば幸いなのだが、それが出来るのだろうか、という不安もある。
罠に掛かって死ぬ可能性だって、大きいのは間違いはない。
一歩一歩を慎重に、全神経を集中しながら進む。
道を歩くだけなのに、かなり、精神を擦り減らすな、と、小さく苦笑を零した。
一人のダンジョンの、心細さよ、とぼやいてみる。

カルム > 冒険者は一人進んでいく。
昏い、昏い、ダンジョンの中。
そこにあるのは何だろうか、それを見るのは冒険者の特権であり、義務ではない。
それは救いだろう。危険を取捨選択していいのだから。

冒険者は、一人で進んでいくしかない。
分断された仲間はまだ見つからず。
何があっても一人で、己の技量のみで進んでいくしかないのだから。
死にたくないから、普段、仲間に任せている警戒もいつも以上に気を張っている。
だから、普段よりも疲労が多くなってしまうのだ。

冒険者は、一人、飲み込まれていく。
薄暗い洞窟の中、ダンジョンは、複雑に入り組んでいる。
地図もなく、灯りも手元にある魔導式ランタン。

闇の中に消えていく冒険者。
彼がどうなったのかは、また別の時、別の機会に、語られる―――

ご案内:「無名遺跡」からカルムさんが去りました。