2022/01/30 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
■E・T・D・M > ころころ、サイコロの転がる音 [1d6→4=4]
■E・T・D・M > 迷宮内部の一室、何も全て魔力から創造し、出力するばかりではない
ダンジョンと言うものに訪問してくる者達は多種多様であり
そして様々な外文化の結晶たる品々を中にまで運んで来る
それらをノーマナーにもポイ捨てして行く者も居れば
憐れ花実は結ばず道半ばで倒れ、後には残骸たる遺品が残った
という展開となり、それらを掃い清める過程において集積される事もある
つまりこの部屋の中に累々と積み上がっている雑多な品々は
そういった繰り返しによって次第に蓄積していったものなのだ
今、整理整頓中に泳ぐ触手が転がした骨で出来たサイコロもまたその一つ
■E・T・D・M > これを果たして一体どのように人間達が用いているのかは既に承知している
占術、遊戯、しかして少しばかり貨幣経済が整い
大きくなった村や町での筆頭と言えばやはりギャンブルだろう
コインの表裏、回転するルーレットの玉の行方、トランプカードの柄や数字
そして今手元にあるサイコロの目によって一喜一憂と感情は左右される
「………」
1から6のサイコロの目を確認した後に、考路に予想が走った
きっと数字は4以上が出る、という自らの思考に後押しされ
駆り立てられるかのように丸め握ったサイコロは宙にへと放られた、ころころ [1d6→4=4]
■E・T・D・M > 「………!」
4が出た、少し嬉しい
なるほどこのような感情を、サイコロ一つで味わえる訳だ
放られた行方でぴたりと真上を向いて4を示すサイコロを、今一度に握り掴む
そしてこの感覚に支配されて自らを制御出来ずに
破滅の深淵にへとダイブして行く者達も決して少なくはない
と、吸収してきた人間達の記憶やその経験の一部が語っている
一攫千金を夢見ながらも、ギャンブルという
それ自体の行為にへと嵌り込んで行くものなのだ
「………」
遥か最果ての地に在るあの伝説の迷宮、という程の知名度は自分には存在しない
人間の文化圏内に組み込まれている、精々が有象無象の迷宮の一つ程度でだろう
しかしてその浮世離れしていない『ご近所』的な立場を逆に駆使し
このギャンブルという奴も何かに利用出来ないものだろうか
■E・T・D・M > 「………」
例えばサイコロ一つで攻略出来る迷宮とかどうだろう
普通にダンジョンに来る輩と言えば一騎当千の強者
海千山千の経験を積み重ねて来た猛者達ばかりだ
一般市民はその身の丈に合った市井での生活が精一杯であり
冒険と名づくものは酒場で弾き語られる様な
吟遊詩人の安酒一杯と引き換えの手垢のついた冒険譚ぐらいだ
確かここらへんに仕舞ってあった様な気がする、ごそごそ
周辺を探る触手の一端が窮屈な倉庫の荷物の密度から
そっとそれを崩さぬように気をつけながら、木彫りの人形を取り出した
片方は悍ましき怪物を表現しているコマであり
もう片方は勇ましくその場に佇む女剣士のコマだ
以前に迷宮に踏み込んで来た工芸を営む商人が落としていったものであり、中々自分の目から見ても良く出来ている
■E・T・D・M > 「………」
とん、と、おもむろに小さな折り畳み式のテーブルを倉庫のスペースに立てて
その上に女剣士のコマを置く
そしてそれに相対するような形で化け物のコマもまた置いた
■E・T・D・M > 「………!」
さあ!財宝の眠れる洞窟にへと勇猛果敢なる剣士が踏み込んで来た!
それを迎え撃つは迷宮の守り人である偉大なる旧きモンスターだ!
二振りばかりの触手が片方の剣士コマを拾い上げてずかずかとテーブルの中央にへと歩かせ
それに応ずるかのようにもう片方の触手が邪悪で禍々しい怪物のコマで行く手を遮るように立たせる
「………!」
女剣士は一子相伝、代々から家に伝わるその魔剣を振り翳し!
邪悪を滅し、塵にへと還すが為に怪物にへと振り下ろさん!
剣士の握る木工の剣をコマ諸ともに振らせる仕草を派手に演出した後に
その裏からころころとサイコロを振り出した [1d6→4=4]
■E・T・D・M > 「………!!」
迸る魔力の紫電が稲妻のように闇を引き裂き触手の束をいとも容易く切り裂いた!怪物にへと四点のダメージ!ぐあああ!!やるな!
斬り付けられた怪物のコマが跳ねるように後退りテーブルの崖っぷちにまで下がって行く!
流石は迷宮にまで足を踏み入れた剣士よ!女だてらに剣士はやっていないな!
だがお前は今日この日に此処に訪れた事を後悔する事になるのだ!
食らえ!濃縮した媚薬を噴出する水鉄砲だ!中空にへと浮かばせた怪物のコマを女剣士の頭上にへと差し上げ
そしてその背後から本物の肉の触手群が雨あられのように、末端から水鉄砲のように桃色の液体を剣士のコマにへと噴き掛ける!
それと同時にまたサイコロを振り出した、ころころ! [1d6→5=5]
■E・T・D・M > 「………!」
くくく、所詮は雌畜生よ、自らの本能の織り成す深き業には逆らえまい!女剣士にへと五点のダメージ!
無茶苦茶にぶっかけ過ぎて糊みたいにべったべたになってしまっているコマを振って粘液を振り払い
何とまだ立ち上がろうというのか!それでこそ我が好敵手!その剣を揮い掛かって来るが良い!
栄光への路か!さもなくば二度と這いあがれぬ奈落への直通路か!
自らのその運命を魔剣にへと託し女剣士は大きく振りかぶった!
ずしゃー!激しくテーブル上を一直線に地面と水平に走らせ一閃の一撃だ!
そしてその疾風怒濤の雷電の如き一刀から遅れてサイコロが宙を舞う、ころころ! [1d6→5=5]
■E・T・D・M > 「………!!!」
ぐああああ!!何たる事だ!そこまで腕をあげていたとはやるな!剣士よ!
怪物のコマの生命力は6点設定!つまり9点を叩き出したお前の勝ちだ!
よくぞ民草の恐れたるモンスターオブモンスターたるこの余を打ち倒したものだ!
その褒美にこの溢れんばかりの迷宮の財貨とエロトラップダンジョンキラーの称号を持ち帰るがいい…!!
剣に斬られた怪物のコマはよたよたと後ろにへと後退り
そのままテーブルの崖っぷちにへと辿り着く
「………」
だが憶えておくがいい、心の片隅に留意せよ
人心にエロを求める欲望がある限り、余は何度でも蘇るのだ
その時こそはお前の最期だぞ、女剣士よ…!
そして剣士のコマが見守る中で怪物のコマは震えながら
そのまま崖下にへと転落して行く、深い深い、何処まで知れぬ奈落の暗がりにへと飲まれ…
■E・T・D・M > 「………」
何だか満足してしまった空気を伴わせ
いそいそと落とした怪物のコマを拾い上げ
健闘していた女剣士のコマを丁寧にハンカチで拭う
派手にコマを動かしたのでテーブルの上がぐっちゃぐちゃだ…
■E・T・D・M > 「………」
こんな感じでサイコロ勝負にしたら一般市民でも白熱しないだろうか
いや、普通に無理か、昂る情熱の峠を越えた後はただ只管に冷静になるだけ
整理整頓の途中で何か見付けてしまって、それにかまけてしまうのは
人間以外の異種知性でもまた同様のようだ
先程まで無駄な遊戯に注力していた自分自身にやや恥じ入りつつも
テーブルを片付け、あるべき場所にへとコマを収め
そしてまた膨大量に存在する迷宮の管理、自分の果たすべき仕事にへと戻って行くのであった
今日もまた世界には平穏たる静けさが満ちている
それはこの広大な無名遺跡でも辺境に位置する迷宮でもまた…
ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。