2021/11/01 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアニスさんが現れました。
■アニス > 特に名前も付けられていない無数に点在する遺跡のひとつ
これといった特徴もないだけに、お宝など期待できるはずもなく。
故に冒険者ギルドの地図にも載らないようなもの。
そんな遺跡に少女がひとりやってくる。
ただ遺跡探索を生業とする冒険者とは決定的に違う点がひとつ。
それは手にした小振りなツルハシ。
武器にしても掘削道具にしても、あまりに頼りない。
そんなものを手にしただけの姿を見られれば、
お節介な冒険者には引き止められてしまうかもしれない。
けれど、少女の目的は魔物を倒することでも、穴を掘ることでもない。
遺跡の奥に埋まっているかもしれない鉱石を掘り出すことで。
「っていうか、ちょっと研究費を使い込んだだけで、自分で採ってこいとかおーぼーじゃない?」
誰に言うでもなく、ぶつくさとぶー垂れながら、仮想敵に向かってツルハシをぶん回し。
ご案内:「無名遺跡」にハクラさんが現れました。
■ハクラ > このあたりの遺跡名もなき遺跡は特徴があまりあるわけではない。
だが、鉱石があったり、珍しい魔物がいたりと、まあソロで稼ぐにはそれなりに稼ぐことも出来たりもしない、そんな中途半端な場所であった。
ハクラもそんな稼ぎを狙い来た冒険者の一人であるが……
何というかあまり慣れていなさそうな少女を見かけ、後ろから声をかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
つるはしを持っていること自体は珍しいことではない。自分も一個、大きなものを担いでいる。
だが、あまりに小さすぎるそれに不安を覚えて声をかけたのであった。
■アニス > 「ん? 何が?」
呼びかけられた声に、ぶんぶんと振り回していた腕を止める。
特に危険があるようなこともなく、むしろ欠伸が出てしまいそうなほどに平穏極まりない。
何について尋ねられたのかと訝しんでしまうほど。
念のために辺りを見渡してみたけれど、やっぱり魔物の「ま」の字はおろか、罠のひとつもありそうにない。
声の主の方へと視線を向けると、自分よりも幼く見える流れるような銀髪の少女で。
んー、と少し考えるようなしぐさを見せてから。
「あんまり大丈夫じゃない、かも。
いくらなんでも、ミスリル銀をインゴット換算で50単位とか、無茶だと思わない?」
とりあえず、そんな愚痴を漏らしてみる。
相手も似たようなものを持っていたというのが理由ではあるのだけれど。
■ハクラ > 「50単位ですか。それはずいぶん大変ですね。掘るのもですが、運ぶのが大変そうです」
案外気楽そうに答える彼女に、何か対応策はあるのだろうと納得をする。
無名の遺跡は魔族の悪辣なトラップなどもあったりすることがあるので警戒は必要だが……
「私も鉱石とかとれればいいかな、と思っていたので、同行しますよ。一緒の方が安全でしょうし」
自分が持ってきた大きなつるはしは武器代わりにもなる。
剣ほどじゃないが、威力は十分だろう。このお奥にミスリル銀があるならある程度期待も出来そうだ。
自分も一人よりは二人の方が安心だ。そう思って同行を申し出た。
「あ、自己紹介まだでしたね。私はハクラ。しがない冒険者です」
■アニス > 「え? もしかして手伝ってくれるの?
いいの? それはものすごぉーっく嬉しいけど、ほんとにいいの?」
相手の申し出はあくまで同行
けれども、こちらとしてはその背に背負った得物を使わないという手はない。
つまりは掘り出すのも手伝ってくれるという風に勝手に解釈してしまい。
「ハクラちゃん、ハクラさん……? あたしは、アニスだよ。
こんなところに来てるし、可愛くても冒険者だって言うのは納得。
あたしは、なんていうか、魔導具屋さんの弟子みたいな感じかな。」
よろしくー、と気さくに右手を差し出し。
こっちの奥の方に鉱脈があるんだよー、とギルドでも出回っていない情報を口にしながら、
地図も無しに奥へと進んでいく。
こそかしこに罠が破壊された跡が見え、既に誰かが通った後なのは丸わかりで。
■ハクラ > 「手伝ってもいいですけど、成果分のお金もらいますよ。私も正直貧乏なので…… 無料では手伝えません」
手伝うこと自体は問題ないが、ただとなると厳しい。
なんせお金がないのだ。その分もらえるなら手伝ってもいいが……
そんなことを言いながらアニスについていく。
「お弟子さんということは、ミスリル銀も魔道具に使うんですか? それにしても結構な量ですね」
罠が破壊され、誰かが通った後をアニスについて進んでいく。
誰か、この先にいるのだろうか。
そんなことも考えながら、ハクラはゆっくりとついていった。
■アニス > 「依頼ってことだよね。まぁ、それは当然か。
ハクラちゃん的にはどのくらいが相場なの?」
外見は可愛らしくとも、相手もプロ。
そうであれば無料のボランティアというわけにはいかないのは理解できる。
初対面の相手であれば尚のこと。
真面目な顔で金額交渉に入りながら、道中の罠には全くと言っていいほど無頓着に進んでいく。
さすがに周辺の様子には気を配っているものの、足元に転がる罠だったモノには興味はない様子で。
「あ、ほら見えてきた。あそこなんだ。
さすがにあたしひとりで掘り起こすのはちょっとねー」
通路の突き当り。やや広くなった空間の壁が崩れ落ちたように剥き出しになっている。
そこから、白銀に光る鎧の一部が突き出ているのが見える。
どうやらいくつもの全身鎧が土の中に埋まっているようで。
「たぶん、昔の人のお墓か、宝物庫だと思うんだよね。
他にお金になりそうなのがあったら、持ってっていいよ。」
コンコン、と鎧を叩いてそう言って。
■ハクラ > 「これくらいで……」
と相場通りの金額交渉をするハクラ。
そう高くもなかったからか、交渉は無事成立して二人で先へと進んでいく。
警戒はしているが、罠は全て壊されており、魔物もおらず、進むのはそう難しくはなかった。
「へえ、こんなところが」
鎧やら、なんやらが埋まっていそうな場所にたどり着き、感嘆の声をあげる。
掘り出したらそれなりの金額になるのだろうか。
ただ、最初の目的はミスリル銀だ。インゴット50単位はそれなりな量になる。
さっさと掘り出そうと、つるはしを握る手に力を入れた。
「ひとまず、さっさとミスリルを掘りますよー」
そういいながらつるはしに魔力を帯びさせながら、鉱脈につるはしを突き立てた。
■アニス > 「おっけー、契約成立だね。
うちの師匠ってば、何でもかんでも作っては放置だから。
素材がいくらあっても足りないんだよ。」
気が済んだのなら、またバラシて使えばいいのにと思ったりもするのだけど。
自分も試作品をバラそうなどとは思えないので、結局、作ったものは山積みになる運命で。
早速ツルハシを振るい出す勤勉な少女の様子に、「おぉー」と感心した声が出る。
魔力を纏わせた武器というのは見たことがあるけれど、ツルハシにというのは初めて見る。
「その調子だとあっという間かも。ハクラちゃん、実はかなり有能だったりする?
あたしのコレだと、結構時間が掛かるんだ。」
よろしくね、と声を掛けてから、こちらも小振りなそれで鎧の隙間の土を掘り出していく。
こちらは魔力の欠片も込められていないために、純粋な力作業
ある程度、土を掘り出したところで、芋でも引っこ抜くように、鎧に手を掛けて。
「よいっしょ……っと!
あとはこれをバラシて、っと……」
鎧のままでは嵩張って仕方がない。
ノミとハンマーをポーチから取り出すと、カンカンと手際よく分解していく。
■ハクラ > 「私なんてまだまだですよ」
小柄な外見に似合わないパワーと魔力のハイブリットで、ガンガン掘り返していく。
必要なものはミスリル銀という素材そのものであるらしいので、多少壊れても問題はないはずだと言わんばかりの力技である。
ハクラの冒険者としての地位は中堅といったところである。
戦闘能力その他能力は平均的に高めだが、よく男性に襲われたりしてトラブルもたえなかったりする。
そんなこともあり中堅レベルといったところであった。
「魔法剣は、一件強力そうですが、当たらないと意味が無いですし、当たれば剣なら大体致命的ですから実はあまり意味ないんですよね。つるはしとかに使った方がよほど効率的です」
通常なら硬いミスリルの鉱脈もどんどん削れていく。
勢い余って埋まっている何かも粉砕しているが、問題はないだろう。
すぐに必要数のミスリルは集まるはずだ。
■アニス > 「うーん、そういうものなんだ。
魔法剣…っていうのも、難しいんだね。そのまま斬っちゃばいいのに。」
剣に魔力を載せられるのであれば、その魔力ごと斬撃に載せて飛ばせば命中範囲も増すだろう。
けれどそうすると消費量も膨大になるから現実的ではないか……それを抑えるには……
ブツブツと何かを考え込みだすけれど、今はそんなことをしている場合じゃないと頭を振る。
「戦槌に魔力を載せて、一気に叩き潰すとかも、良いかもね。」
鎧をパーツにバラしながら、今まさにやって欲しい事を口にする。
この場でインゴットとまでは言わずとも、圧縮できれば運ぶのは楽になる。
もちろんだけれど戦槌などは持ち合わせていないから、残念ながら試すこともできない。
大量の鎧パーツをロープでぐるぐる巻きに縛り上げ。
少し量が多くなってしまったのもあって、想定よりも重量オーバー
顔を真っ赤にして、持ち上げようとして。
■ハクラ > 「なるほど。圧縮ですか」
道具はないが、手足がある。
脚を振り上げ、思いっきり蹴り落とすことで、鉱石やら鎧のパーツやらを圧縮していく。
力とパワーと魔力を泡あせた単なる脳筋である。
多少は圧縮して持ちやすくなったか。
「私が運びますよ。アニスさんは周囲を警戒してください」
持ち上がらない荷物を代わりに受け取り、背負う。
かなり重い、重いが魔力まで使えば動けないほどではない。
よろよろしながらアニスの先導についていくだろう。
■アニス > 「………それ一応、鎧なんだけど。
素手とか蹴りで、ベこべこに出来るものなんだ……」
いくら魔力を載せているからといっても、魔法耐性に定評のある金属で作った全身鎧
それがこうもあっさりと潰されて行く様を見てしまうと、開いた口が塞がらなくなる。
これが戦闘ならば、まさに無双といったところ
「お任せできるのはありがたいけど……ほんとに重いよ?」
圧縮したとて、単位当たり重量は変わらない。
けれど嵩が減れば、同じ体積当たりの重量は増える。
結果的に、それを作り出した少女にしか持てないシロモノになってしまう。
そんな鈍器の塊のような荷物を持ってもらいながら、王都へと戻ることになる。
やっぱり空間収納や空間転移の魔導具が欲しい。
こういう時には、便利なことはこの上ないだろう。
「ないものねだりしても仕方がないね。
依頼料はもちろんとして、ご飯くらいおごるよ? 何でも言って!」
どん、とあまりない胸を叩く。
そんな余裕を出せるのも、想定以上の量の金属塊を運んできてくれた少女のおかげであって。
少女がその身体つきに似合わない大食漢でもない限りは大丈夫のはず。
途中でおかしな魔物に襲われることもなく、重たい荷物を手に王都へと戻っていき。
■ハクラ > 「ご飯ですか、お肉がいいですね!!」
おごると言われてがっつりと注文を言うハクラ。
魔力が尽きるまでには王都につかないと、本当に誰も動かせない代物になってしまう。
だからこそ、早め早めに移動をしていくことになる。
「空間収納とかの魔法が使えたらいいんですけどねぇ」
そんなことをボヤキながら、彼女は王都へと必死に向かうのであった。
なお、食べる量はヒト並みより多い程度であったので財布にはあまり厳しくはなかった。
ご案内:「無名遺跡」からハクラさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からアニスさんが去りました。