2021/10/30 のログ
ご案内:「無名遺跡」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 九頭龍山脈の麓にある、名前も存在も忘れ去られた遺跡群。
築き上げた古代王朝は既に滅び、誰に何の目的で作られたのかも分からなくなった遺跡は、
人々には見向きもされなくなった代わりに、魔族や魔物の住処として活用されている。
今、中年冒険者が潜り込んでいる遺跡も、そのような魔族の巣穴と化した内のひとつ。
小型の魔族、ゴブリンが巣穴とする古代遺跡の中で中年冒険者は独り言ちる。
「全く……、此処まで酷い事になるとはなぁ」
近隣の街道で乗合馬車が襲撃を受けて、乗客が攫われた事で調査と討伐の依頼がギルドに寄せられて数日。
被害に遭った御者の証言や、先行する斥候のお陰で場所の特定までは順調に行なえたものの、
其処から先に待ち受けていたのは悲惨極まりない有り様であった。
当の斥候を含む冒険者の一党がまずは挑むも、遺跡を熟知したゴブリンの前に壊滅の憂き目に遭い、
その後、複数の一党が依頼を引き受けて、ゴブリンの数体を退治するが目的の達成には至っていない。
ゴブリン自体は然程に強い魔族ではないが、古代遺跡の罠との合わせ技は厄介極まりないらしい。
先程、見掛けた酸性の罠で装備を溶かされた上でゴブリンの矢を浴びたらしき冒険者の末路を思い返しながら、
嘆息めいた吐息を漏らして安全地帯で小休止を取るために、床の上に腰を降ろして。
ご案内:「無名遺跡」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にエルファラさんが現れました。
■エルファラ > ――名もなき遺跡の奥深くでは、異臭が漂っていた。
ことことと音を立てて震える、焚火にかけられた鍋。廃材を燃している焚火の煙に混ざって漏れているにおいは、階層型になった石造りの遺跡ダンジョンの3階層付近、その最深部から。
「ま……不 味 い ……」
異臭鍋が煮えているその前では、ぴくぴくと細かに痙攣しながらノックアウトしている屍……と化している赤髪の女。
異臭発生源である鉄鍋の中にはダンジョンに生息していたと思しき魔物の肉と野草、香草の類が煮込まれていて、臭気に当たれば目や鼻がツーンと来るような得も言われぬ刺激臭が。
混沌とした鍋を木匙ですくって味見した直後、悲劇は起きた。
自分で調理したモノの余りの不味さに気絶寸前でぱたりと倒れ。
そのまま痙攣し、度を越した味覚破壊に行動不能となってしまっている現状。
「 M A Z U I 」
その口惜し気な声が女の最期の言葉と―――