2021/10/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にイファさんが現れました。
イファ > 自然地帯と溶け合う遺跡の中、その内部の何処か。
さして広くもない、大人が3人並べば精一杯の石造りの通路。灯りも持たずに進む人影がひとつ。
何処かで通じている外界からの風に黒髪を微かに靡かせ、靴音を隠すでもなく、只慎重に歩みを進めている。

ぴたん、ぴたん、と滴る音。
通路の至る所に蔓延るヒカリゴケが、斑に辺りの様子を浮かび上がらせる。合間を時折素早く奔る影は蜥蜴か何かだろうか。生き物の痕跡を光の気配として残して、音も立てずにまた闇に溶ける。
その気配を時折は視線で追って、時折は気配だけ肌に感じながら、女は先へ、深層へと進む。

ギルドにあった魔物の討伐依頼、というより、己の鍛錬の意味も込めての探索。狭い空間で如何にして相手を屠るか、その実践のためにここに居る。
数はさておきさして手ごたえのない巨大蝙蝠だとかゾンビだとかを数度相手にしただけで、まだ体力はある、が

(初めてにしては、この辺が引き時だろうか……)

思ったような成果を得られた気はしていないが、間合いの取り方の感覚は身体が覚えた。今回はそれくらいで十分かも知れない。
女はかつ、かつ、と迷いない足取りは止めないままに考えている。
この先迷いそうな分岐か、外へと通じる、この風が吹いて来る場所に辿り着いたら、その辺りで引き返そうか……