2021/09/01 のログ
ご案内:「無名遺跡」にヘルティナさんが現れました。
■ヘルティナ > 遺跡の奥、迷宮のように入り組んだ細く長い回廊を、カツン、コツン、と靴の音色を伴いながら。
まるで夜会にでも赴くかのような軽い足取りで進むのは、赤いドレスに身を包んだ一人の女。
道中で遭遇した迷宮に巣食う魔物も難無く撃退しながら、長く続く回廊を奥へ奥へと進んでいたのだけれども。
不意に、カツン――と響いた靴の音色を最後に、その足取りは停止する。
「――あら……此処まで来て行き止まり……?」
女の眼前に広がっていたのは、行く手を阻む岩の壁。
最後の分かれ道から随分と先へ進んだ筈なのに、突然の袋小路に落胆を隠し切れない様子で溜息を零して。
「だけど、唯の行き止まりにしては少し不自然かしら……。
大抵こういう場合、何処かに仕掛けや隠し通路があったりするものだけど……。」
そう独白を零しながら、手にしたランタンの灯りを掲げると、眼前のゴツゴツした岩肌を探るように伸ばした指先を這わせてゆく。
■ヘルティナ > そうしていると、不意に指先に感じた違和感。
岩壁の一部分が押し込めるような仕掛けになっており、漸く見つけたとばかりにそれを力強く押し込むのだけれども。
「――えっ……?ちょっ、と……!!」
次の瞬間、足元から消え失せる床の感触。
自身の迂闊さを呪った時には既に遅く、ぽっかりと空いた縦穴へと落ちてゆく身体。
幸い、中は急勾配の下り坂になっていて、高所からの転落死は免れたようだけれども。
女を飲み込んだ縦穴は、押し込まれた岩壁の仕掛けが戻ってゆくのと同時に、
何事もなかったかのように元の袋小路へと姿を変えて。
急勾配の坂道を滑り落ちて行ったその先で待ち構えていたもの。
それを知っているのは、当事者である女唯一人で――
ご案内:「無名遺跡」からヘルティナさんが去りました。