2021/07/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
タマモ > 少女には、普段から目的を持たず、行動する事が多い。
あったとしても、まぁ、禄でもない事ばかりだ。
そんな少女が、今日向かったのは…偶然か、この遺跡の中だった。
…正しくは、適当に歩いていたら、迷い込んだのだが。

この遺跡にやって来て、事故で迷う、その相手とは違い。
完全に、ここに居るのは、偶然の賜物であった。

ぴくん、狐を模した耳が揺れる。
その先に居る、何者かを感じたからだ。
まだ距離があるせいか、その相手が、何者かは分からない。

「ふむ…」

ならば、どうするか。
そもそも、こんな場所に居る相手だ、まともな相手でもないだろう。
そう思ったならば、軽く頷き、その手に、灯りにしているのとは別の、狐火を出す。

と、その狐火を、構え…投げた。
この狐火、灯りの代用品だ、火力等はまったくない。
それが、凄まじい勢いで、前を進む何者かに向かい飛んで行く。
相手からすれば、発光体が、凄まじい勢いで突っ込んで来るように見える事だろう。

アルシェ > 陽の射さない地下の通路
外の熱気とは裏腹に涼しいのは幸いだけれど、それに喜んでいられたのは落ちるまでの話
ただでさえ右も左も分からないのに、このうえ灯りまで尽きてしまったら、戻れる見込みなど無くなってしまう。
そんな矢先に、今の今まで人の気配はおろか生き物の気配もなかった遺跡の先にぼんやりとした光源が見えた。

「え? もしかして、誰か……え? ちょ……待っ――!?」

揺れる光源はおそらくは灯火だろう。
だとすれば自分と同じような冒険者かもしれない。
なら外へ出る道を知っているかもしれない。

そんな淡い期待が一気に膨らむ。
けれど、その期待が裏切られるまでわずか数秒
どう考えても人とは思えないスピードでこちらに飛来するそれ。

まず間違いなく衝突コース
回れ右してダッシュしてもすぐに追いつかれるだろう。
かと言って左右に避けたところで、まっすぐに通り過ぎてくれる確証などもないわけで。

「く、来るなら、来いっ! 受けて立ってあげるからっ」

一か八かで、ギリギリまで引き付けてさっと避ける作戦で。
ぐっと足腰に力を込めて、飛んでくる火の玉に向かい合う。
それもひとつならともかく、複数飛んで来たらどうにもならないだろう。

タマモ > 「………あ」

ぽつりと、そう声を漏らす。
なぜならば、灯りが近付いた事で、その相手が己にはしっかりと見えたからだ。
…とは言っても、常人で見える距離ではまだない。
相手からは、こちらはまだ見えないだろう。

何やら、飛ばした狐火に、構えを見せるのは、見覚えのある少女。
まぁ、あの狐火には、何の害も及ぼす力は無い、問題はないのだが…

すっ、と指先を、前へと向ける。
飛来する狐火は、避けようと思えば、何とか避けられる。
だが、避けたのを確認した途端、向けた指を、くいっ、とこちらに向かい曲げた。
もし避けたならば、その狐火が、軌道を180度変え、戻って、そしてぽんっ、と音を立てて消えるだろう。
しかし、当たった場合は、音を立てて消えるまでは同じだが、何かしらの力が掛けられる、それに気付きはしないだろうが。

アルシェ > 猛スピードで迫りくる火の玉
魔法か、そうでなければそういう魔物なのか。
どちらにしても碌なものではないだろう。

「――――ここ!」

ギリギリまで引き付けて、全身のバネを使って右前方へと避ける。
そのまま火の玉の行方も確認せずに、まっすぐに通路の奥へと駆け出した。

魔法なら次を撃たれたら堪ったものではない。
魔物なら追いかけてくる前に逃げなくてはならない。
振り返って見ている余裕などあるはずがなく。

「きゃっ!?」

けれど、駆け出して数歩行ったところで、背後から軽い衝撃が襲う。
ぶつかってきた火の玉が気の抜けるような音を立てて弾け飛んだ。
衝撃に前のめりになりながらも、見えたのはそんな光景で。

「え? なんで、熱くない……?」

慌ててぶつかられた背中を確認するも、焦げ目ひとつない。
どういうことだろうと、通路の奥を見てみるけれど、次の火の玉はなく暗がりが続くばかりで。

タマモ > おや、当たってしまったか。
なんて、当てておきながら、軽い気持ちでそう考える。
それが、何を起こすものなのか?
今のところ、当たって、何もなかった、それだけだろうが…
行使したのが己であれば、きっと、碌なものではないだろう。

己はと言えば、そんな少女の様子も気にせずに、変わらぬ歩調で歩み進む。
そうすれば、すぐにこちらの灯りも、見える距離になるだろうか?

「何じゃ、誰かと思えば…
様子見にあれを投げただけで、良かった良かった」

顔の確認出来そうな、灯りの届く距離。
そこまで寄ったところで、そう少女へと言葉を掛ける。
挨拶代わりに、ひらりと手を振りながら。

アルシェ > 前に進むか、後ろに戻るべきか。
ここで待つという手もなくはない。
どうしたのものかと悩んだのはほんの数舜のこと。

さっきのが魔法だったなら、敵だろうと味方だろうと関係ない。
こんなところでひとりでいるよりは遥かにマシなわけで。
先程のように駆け出しはしないものの、速足で前へと進む。

「……さっきと同じ火―――って、タマモさん!?」

やがて先程と同じ色合いの明かりが見えてくる。
警戒しながらも尚も近づいてみると、見覚えのあるもふもふが目に入る。

「様子見って……いや、まぁ、理に適ってる行動だとは思うけど……」

知り合いのなんとも軽い調子に、先程までの緊張がどっと抜ける。
火の玉に追いかけられた身としては文句のひとつも言いたいけれど、実質被害もなかったわけで。
とはいえ、何か要求はされそうな気がするけれど、お願いすれば外に出る道くらいなら教えてくれるだろう。
そんな安心感もあって、その場に座り込んでしまい。

タマモ > どうやら、少女もこちらを確認出来たらしい。
己の名を呼ばれれば、そこで、はた、と何かに気付いた。
…まずい、名前が出てこない…いつもの事である。

己の言い分に、何か言いたそうだが、特に問題なしと考えたのだろう。
特に文句の一つも無く、安堵感からか、その場に座り込んでしまったようだ。

「うむ、久方振りじゃな。
…うん?…おや、どうかしたか?」

そんな様子に、軽く屈み込み、顔を覗き込みながら、そう問うてみる。
一人、こんな場所に居るんだ、何か目的があるのか、とも考えられる訳で。
まさか、油断で落ちて、危なかったなんて、知りもしない。
とりあえず、落ち着かせるように、ぽんぽん、と頭を撫でる。

アルシェ > 冒険者なんてやっていれば、いつ命を落とすかもわからないのは覚悟済み。
とはいえ、遺跡で道に迷ってお腹を空かせて死ぬというのはいただけない。
安堵のあまり腰が抜けてしまったせいで、相手が自分の名前をど忘れしているなどとは気づかずに。

「ふぇ……あ、えっと……まぁ、その……」

頭を撫でられると、何だか恥ずかしくなってくる。
どうかしたかと問われて、素直に事情を説明―――したら呆れられてしまいそうで。
視線を右に左に彷徨わせて、しどろもどろに。

「そ、その……ちょっと穴に落ちて、道に迷ってたと言うか……
 外に出る道を知ってたら、教えて欲しいなぁ……と思わなくもなかったり……?」

とはいえ、相手も何か目的があっての遺跡探索だろう。
まさか散歩ついでのノリで遺跡に来ているとは思わずに、
どこかに行かれてしまう前にと助けを請う。

腰が抜けたまま、チラチラと様子を伺いながら。
相手が渋るようならば、DoGeZaも止むを得ない。
先程までとは違う緊張に、ごくりと唾を飲み込み。

タマモ > 少女のような冒険者と違い、好き勝手にやっている自由人…人ではないが。
力伴ってこその、その立場であるがゆえに、少女のような覚悟は無いものの。
何が起こっても、それを愉しむ、そうあるのだ。
まぁ、それでも、そんな少女の気持ちはきっと分かるだろうが。

撫でながらの問いに、少女は少々躊躇っているようだ。
が、黙っていても、と思ったか、説明を始める。
それを聞けば、なるほど、と言うように、ぽんっ、と手を打ち。
続くお願いに、軽く思案する仕草。
…己を知る者から見れば、こうする時の己は、何を考えているのか、と言う感じだが。
目の前の少女は、まだ、それを知らない。

「別に構わん、せっかくじゃ、妾が案内してやろう。
いい加減、散歩も飽きて、戻ろうと思っておったところじゃ」

…まぁ、面白そうな、遊び相手も得た事じゃからな、との本音は隠し。
表向きは、帰り道の案内を買って出た。
まだ、少女が腰を抜かしているならば、ひょい、とお姫様抱っこでもしてあげよう。
動けるようになったならば、普通に、案内を始める事だろう。

アルシェ > 「ほんとに!? いいの? ありがとう!
 ……さんぽ?」

思ったよりもあっさりと、こちらの希望満点の回答が返ってくる。
一瞬、自分の耳を疑ってしまったほど。
けれども、聞き間違えでないのなら、相手の気が変わらないうちにと前のめりでお礼を述べる。
今更なかったことには出来ないとばかりの勢いで。
続く意味不明な単語には首を傾げることになるけれど、実力者からすればこの遺跡くらいは散歩のようなものなのかもしれない。

自分と変わらない背丈の相手にお姫様抱っこをされかけて慌てるという一幕はあったものの、出口を目指して遺跡の奥へと進んでいき―――

ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からアルシェさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にメルビレイさんが現れました。