2021/02/28 のログ
■アルシェ > 九頭竜山脈の麓に数ある遺跡。
中でもギルドでは初心者向けと言われる遺跡のひとつ。
その入り口付近で、ひとりの駆け出し冒険者が立ち往生していた。
「……えっと、ここがこうなってて、さっきの分かれ道を右に来たから……」
カンテラの明かりを頼りに、手元の紙を凝視する。
そこには縦横に等間隔に線が引かれており、その一部がペンでなぞってある。
途中、いくつか枝分かれしたそれは、無秩序に伸びた芋蔓のような状態になっていた。
もちろん、初心者用と謳われるような遺跡が、そんなに複雑なはずはなく。
けれど、どうあっても地図と現在地が合致しない。
自分で描いたそれを、ひっくり返してみたり、はたまた裏から透かしてみたりと、謎の行動を起こしてみても、やっぱりそれは変わらず。
■アルシェ > 「もうとりあえず、進んじゃえばいいよね!」
いくら地図を見ても埒が明かない。
となると、採れる選択肢は限られる。
つまり、地図を丸めてバッグの中へと押し込んだ。
それから数十時間掛けてその階層を踏破し尽くすまで、少女が外に出られることはなく―――
ご案内:「無名遺跡」からアルシェさんが去りました。