2020/09/05 のログ
■イディオ > 「確かに、君の言うとおりの荒くれ者が多いけれど、全員が全員じゃない。
考えてもみなよ、礼儀の有る冒険者と、失礼な冒険者、依頼するとして、どっちがいいかってね。
仲間にするにしても、同じだろうさ。」
(続けて、よろしく、と言う男は、感心する彼女に笑って見せる。目に光がないからこそその笑いも不気味なものになってしまいがち。外見がこうなのだから、せめて態度位は、と思って居る男でもあった。
しけた顔と言われれば、どよん、と周囲の空気が重くなる、気にしてるらしい、弱点に直撃した模様。)
「マオか、よろしく、マオ。ドワーフは知っているけれど、俺の知識のドワーフとはちょっと違うみたいだな。
格闘家、判った。俺は、分類でいえば戦士、基本的に剣と盾での前衛タンク、若しくはクロスボウでの援護射撃の後衛という所かな。
頼りにさせてもらうよ、まあ、何方かと言えば、まずは俺が先に歩いて、戦闘になったらスイッチと言う方が良いのかな?」
(男として悲しい性か、バルんと、大きく震えるその二つのふくらみに視線が吸い寄せられそうになる。頑張って男は視線を彼女の顔に固定する。
確かに彼女は種族の差もあり、小さく見える。どうした物か、と考えて、思い立つ。
彼女の体格からするなら、肩車とかすれば、辛くないだろうが。………提案できない
こう、はたから見れば、幼女とおっさんなのである、兵士さん見たら、男が肩を叩かれ詰め所直行は間違いなさそうだ。)
「……うん、マオ。基本遺跡と言うのは入り組んだものだし、人の捜索となるととくに、一人で受ける依頼では、無いよ?
欲を言うなら、俺じゃなくて、探索の得意なタイプ、シーフとか、レンジャーとか、そっち系の人が来るべきと言うレベル。
まあ、ギルドにもいろいろあるし、多分、この依頼、色々なギルドで張り出されてるんだと思う。
だからこその、すれ違いだな。」
(彼女の言い分もお怒りもごもっともだ、でも、冒険者として言いたいのは遺跡探索は一人で行わない、だって、罠にかかった時に助けてくれる仲間はいないし。
そもそも、罠を探したりする仲間がいないじゃないか、と。そして、うちのギルドはちゃんとそういう事は言ってくれた、ギルドの内部は兎も角、ギルド外の冒険者同士の連携は難しい物なのだろう。
冒険者ギルドと言っても、ギルドマスターの方針によって色々性質が変わるのだから。)
「確かに、誘拐だとしても、気配も痕跡も無いのはおかしい所――と言っても、古代遺跡だから、下手したら、転送の罠とかあってもおかしくないし。
地図、ね。OK。こっちはちゃんと持ってきてる、もう、覚えてるから、渡しておくよ。
―――ちなみに、食料、水はちゃんと、有る?」
(古代遺跡と言っても、踏破されている場所はあるし、そういう場所の地図は出回る物だ、ギルドの依頼なので、その辺りはちゃんともらっていて。記憶している。
だからこそ、地図を渡すこと自体は否やはない。
其れよりも、彼女の軽装を見て、食料や水、生命維持に大事な方が気になった。
ばしばしと、痛いぐらいに腰を叩かれつつ、問いかける。持っていれば問題ないけれど、一抹の不安があったの問いかけ。)
■マオ > 「あっはははは! 違いないわ! なんだかんだ、信頼が武器の稼業だものね
……あっ、ごめん気にしてたっ!? つい口が滑っちゃって……!
あー、えっとー……ぉ、お菓子食べるっ?とっておきのクッキー!」
"シケた顔"を聴いてイディオがどんよりなムードを醸し出せば、
目を泳がせてわたわたと慌てた後、何処からか取り出した菓子を差し出した。
「へぇ……盾と弓が使えるのね! 前も後ろも任せられそうだわっ。
こういう狭い所では、あたしの手脚が唸るわよ! 即席にしては案外良いコンビになりそ……
……? どしたの? あんたも見下して話すの辛い? 座る?」
イディオの視線が自分の胸へと向くと、単に視線を下げたのかと勘違い。
先にその場に胡座をかいて座って見せ、イディオにも楽になる様にと促した。
「……わ、わかってるわよっ! 違うの、その、ほんとに! 職員の怠慢でっ!
って言うかちょっと子供扱いしてない!? あたし、17歳! そんなに幼くないんだからっ」
イディオの注意に頬を膨らませて返す仕草はむしろ幼女そのものだったが、
「子供扱いは不服」と一言付け足して、それでも、自分の落ち度は反省したのかシュンと顔を下げた。
「目撃者の証言がそもそもガセだったって可能性もありそうよ。
結構長いこと散策したけど、ウンザリする程手がかり無し。正直報酬返上して帰りたいくらい」
「……うん? あ、あー……え、えぇっとぉ……」
水と食料について問われれば、乾いた笑いと共に視線を反らす。
それなりの長時間を散策していたからか、持ってきた食料も水も殆ど憑きかけて居たのだ。
「い、一旦切り上げて、仕切り直し~……とか?」
ちら、ちら、と。イディオの顔を見上げながらバツが悪そうにそう提案する。
イディオのバックパックには目がいったものの、初対面の相手に借りを作るのは本意ではなかった。
■イディオ > 「そういう事、と、理解を得られて嬉しいよ。後、お菓子は良いよ。言われ慣れてるから、さ。」
(そう、しけた顔、と言うのはまだいい方だ、ゾンビよりも怖いとか、見てそのまま悲鳴を上げられるとかさえある。傷つかないと言えばうそになるが、まあ、その程度だ。
お菓子を出してくれる彼女に、しまっておきなさい、と。甘味は大事な栄養だ、冒険者にとって、最後の砦ともいえる。
大事にしまって為さいな、と。)
「ああ、場所を選ばないのが俺の強みだよ。と言うか、最大の得意は、盾だからな。それに。うまくすれば、盾に隠れて接近してもらい、一気呵成に、できるだろうしさ。
そうだな、流石に身長差はあると言え、見下ろしたままなのはちょっと辛いかも、喋るときは、座らせてもらおう。」
(現状、遺跡と言うだけあって気を抜いてはいけないだろうけれど、此処は袋小路であり、熟練の冒険者が二人、まあ、余りにもあまりな存在でなければ大丈夫だろう、と座る提案に頷いて。
腰を下ろせば、胡坐をかく彼女、ちょっと目のやりどころ困ります、ああお客様困ります。彼女、自分の肉体を何処まで理解してるのだろうか。
その凶器のような両手両足もそうだけど、男性にとっては暴力ともいえる色香の有る肢体。
一寸隠してほしいとか思い、ふーと、天井を見上げることにした。)
「うん、ちゃんと聞いてた、ギルドの職員がちゃんと説明してくれなかったと。
子ども扱いはしてない、というか、其れならもう少し、マントを羽織るとかで言い、肌を隠してほしい目の毒だ。」
(17歳、大人だというなら、大人としてちゃんと伝えよう、まあ、これで殴られるなら、仕方あるまい。痛みはあっても、これはちゃんと言うべきだ。
視線を合わせようとしない理由も、不自然にあちこち見る理由も、理解してもらえるはずだ。)
「……成程。しかし、複数のギルドに回るとしては不自然だな。
ガセとなると……なぜ、と考えなければならないよな。ギルドが、俺達を嵌めると言うのは理由として薄い。
冒険者を捉えるために、何者かが仕組んだ、とか。
後は、此処の遺跡の罠が作動して、奥の奥まで、行方不明の人が飛ばされた可能性。
他には、女の人を発情させる罠があるから、其処に連れて行って、とか。」
(ギルド地図にある罠を思い返しながら、一つ一つ推測を零していく冒険者。なんとなくガセならば、彼女のような冒険者を発情罠におびき寄せてが一番ありそうだな、とか。恨み返しとかで
とは言え、ギルドに行方不明者が―――)
「行方不明……?この、遺跡に?何故、こんな所に一般人が、来ようとする?
マオ、行方不明者って、冒険者……か??」
(ふと、整理するようにつぶやいていたが、疑問が浮かぶ。男も、ギルドでは、行方不明者、としか聞いていない。冒険者なのか、それとも、一般人なのか。
それによって考えるなら、これは。)
「撤退、した方がいいなこれ。
食料、水は渡すよ、どうせ、町に戻るまで必要なんだしさ。」
(彼女の言葉に頷く、食料も水も彼女は不足しているらしい。予備があるから、渡すことは出来る、しかし、それは戻るまでの分となるだろうし。
情報がいろいろと足りない、なので、此処は無理をせずに、撤退を。彼女からも進言がある事だ、無理をして、自分らが倒れては元も子もないと。)
■マオ > 遠慮されてしまったクッキーは暫く行き場を失った後、持ち主の口内へと放られた。
少し不機嫌そうに目を細めたが、イディオが前に座ればすぐに機嫌が戻った様で、再び笑顔を浮かべる。が――
「……ねーぇっ。今度は上向いちゃうの? なんでさっきから目逸らすのよっ。
ちゃんと、目を見て、話しなさいっ! それともあたし、何かヘン?」
笑顔になったのも束の間。目を逸らすイディオを見てすぐにまた頬を膨らませる。
四つん這いで距離を詰めると、ずい、と正面から詰め寄り、膝立ちになってその目をじっと見上げる。
四つん這いになれば垂れ落ちた乳房が左右に揺れるし、膝立ちで詰め寄れば
女性特有の匂いとクッキーの甘い香りがその鼻腔を擽るかもしれない。
当然、少女に自覚等というものは無い。一切無い。身体への理解等、意識の隅にも置いていない。
「目の、毒……やっぱりあたし、何かヘン!?
マントとか動き辛くて仕方ないし……この服と刀のおかげで、防寒も防熱も要らないから、余計に」
だから、視線を逸らす理由への理解も無い。目の毒、などという高等な言葉は、殆ど野生児の様な少女には響かなかった。
「……へ? な、なになに? 何かわかったの?
冒険者……?う、ううん。行方不明者がどういう子達だったのかは聴いてないわ。
確かに、全員冒険者だった可能性も無くもないけど……それがどうしたの?」
――可能性。
イディオとマオが受けた依頼が、別口であった場合。
マオは、パーティを編成しての依頼であると伝えられておらず、
単身遺跡へ向かう様に促されて今ここに居る。見ての通り、備蓄も少ない状態で。
ギルド職員を装った何者かが女性であるマオを陥れる為に企てた罠。
イディオの依頼主と別口であれば、互いの話が食い違うのも頷ける。
もし偶然イディオがこの場に現れていなければ。イディオの推測通りなのだとしたら。
単身遺跡奥へと進み、罠か、はたまた人か、魔物か。
待ち構えた何かによってマオは欲望の犠牲者となり、次の行方不明者となっていたかもしれない――
そんな推測はマオ自身に立てられる筈も無く。あくまで推測の域から出ない話でもあるが。
「そ、そう? 一旦帰る? う、うん、わかったわっ!
そうと決まれば、こんな暗くてジメジメした所、さっさと退散しちゃいましょっ
あ~、帰りは独りじゃないってだけで随分と気が楽だわ。あはははっ」
そんな風にカラカラと笑顔を浮かべて立ち上がるマオ。
非常に危険な状態であった可能性など考慮の隅にも入れず、気楽なもので。
■イディオ > (困った、果てしなく困った。理解してくださっていない模様だ、自分が視線を外す理由、全力で見ないようにしている、が、判る。
気配が、衣擦れの音が近づいてくるのが判る、距離が近くなれば彼女の匂いが、甘い香りが鼻腔を擽るのである。ナニコレ拷問ですか、拷問ですね。
物凄い近い所から聞こえてくる彼女の声に視線を戻せば、直ぐ近く、目の前に彼女の顔がある。
近いが、何となく安堵できるのはまあ、……彼女の肉体が見えないから、と言うt頃もあるのだろう。)
「そうだな、今まで言ってくれなかったのだろう、だれも。
殴られるのを覚悟で言わせてもらうよ、出会った直ぐだし。」
(彼女は自分の格好が変と言う思考に走っているようだ、そうではない、装備とかで、確かに格好が扇情的になるとかよくある。
女戦士では、魔法の力のこもったビキニアーマーで、どう見ても肌を晒してるのにプレートアーマーよりも防御力が高いとかそういう事もままあるのだ。
だから、格好に関してとやかくいう積りは、余りないのだけれども。
自覚がないなら、教えておくべきだろう、自覚したうえで、切るなら、それはもう、彼女の勝手、なのだと。)
「確かに、君の装備で、いろいろと便利なのだろうな、きっと。今聞いただけでも、魔法の守りがあるのだと思う。
でもな、その恰好、君の女性的な肉体を隠しきれてない。
つまり、男からしてみれば、エロイ格好なんだよ、性的に興奮させられてしまう格好だ。
それを理解したうえで、今のままでいるなら、これ以上は何も言わない。
目をそらしたり、君を視ないのは、真面目な話をしている時にむらむらするのは失礼だと考えてるから。」
(ド直球ストレートに言いましょう、屹度彼女は直球で言わないと判らないだろう、でも、多分この後は、ストレートなパンチで顔面をぶっ飛ばされるかもしれない。
覚悟はできた。とは言え、身長が小さいだけで、彼女の肢体は本当に女性的な丸みを持っていて、性的な興奮を引き出すような肉体なのは間違いない。それは、理解してもらえると嬉しいと思うのだが。)
「判った、訳ではないよ。でも、依頼人に有って、話しを聞かないといけないという事は、理解できた。
だって、おかしくないか?誰が行方不明なのかわからないのに、探しに行くことなんて、見つけられるはずがないからさ。
だから、依頼を蹴るのではなく、推敲するために、一度戻ってちゃんと確認をする。
この依頼は終わるまで、チームを組むことになるんだ、よろしく頼むよ、マオ。」
(状況に依っては、暴力も必要だ、彼女の格闘の腕は、信頼できるレベルなのが判る。この遺跡に再度戻るにしろ。罠にはめたものを殴り飛ばすにしろ。
それは必要なのだから、今は即席チームとして、しっかりやっていこう、と。
彼女に続き、男も立ち上がろうか。)
■マオ > 「う、うん……? じょせいてきな、に、にくたい……」
イディオの渾身の教義に、難しい顔を浮かべながら真摯に向き合う。
そうして言葉を耳に収めると……みるみる内に顔が真っ赤に染まっていき――
「ふぇ……っ!? ぁ、あ……っ! そ、そういうことっ!?」
反射的に、ばばっと両腕で胸元を隠す様に覆う。二つの大きな果実は腕から零れんばかりだった。
「ぁ、えっと、えぇと、…………え、えっ、エッチ!!!!」
語彙が無い。いろんな事を考えたり想像したりはしたものの、
短絡的な少女の口からは、童女でも返せる様な一言だけが紡がれた。
暫く、居住まいが悪そうにモジモジと身体を揺すりながら視線を泳がせていたが――
「…………で、でも……ありがと。あんた、良い奴ね。うん、ちょっと、考えるわ」
意外にも、不器用な笑顔を返してイディオに深々と頭を下げる。
自分の無自覚と無防備を啓発してくれた事に対する恩義を強く感じた様だ。少女は、そういう性分だった。
「……んっ! そうね、あたしも依頼人には言いたい事もあるし、賛成だわっ
言われてみれば……確かに、誰を探せば良いのかわかんない状況だったわ。
あんた……頭も良いのねっ! なかなか冴えてるじゃないっ!」
イディオの考察と推論を聞くと、素直に感心して、目を輝かせて称える。
思慮深いという言葉からあまりにも遠い少女からすれば、
イディオの思考は極めてレベルの高いものに感じる程だった。
「やー、偶然とはいえ、来たのがあんたでツいてたわ、あたしっ!
そうね、一時とは言えチームだもの。宜しく頼むわ、イディオ!」
そう返して、笑顔と共に握手の手を差し出す。小さな小さな、子供の様な手だ。
偶然出逢った二人の依頼は、一体どんな形で結末を迎えるのか。
想像以上に厄介そうだ、と内心うすら笑いを浮かべる少女。決着までは、もう少しかかりそうだ――
■イディオ > (理解してくださったようだ、真っ赤になっていく顔はかわいらしいと思ってしまう、仕方ない事だろう。実際可愛いのだから。
とは言え、口にはしない、今は真面目な時である、そんなことをしている場合ではないのだ。
もしかしたら、今この場でも、襲い掛かってくる存在があるのかもしれないと考えれば、此処は十分に危険地帯なのだから。)
「ああ、判ってくれて、嬉しいよ。そーゆーこと。その服装の有用性は、何となくわかるんだけれどな。
でも―――。ああ。うん。
男は基本的にエッチだから、そう考えて置くように。我慢するの辛いんだ。」
(彼女の返しに関しては、男は視線を彼女から外しつつ言う、見ていたらむらむらするのは嘘ではない。彼女の性格が一層のギャップとなっているのだろう。
頭を下げる彼女流石に、その行為に対しては、視線を戻して彼女の真摯な礼をみる。
それを見ないのは、失礼だから、と言う男の認識。)
「まあ、あれだ。自分なりに折り合いをつけるといいよ。
君の戦闘スタイルや性格など、それらを統合したうえで、その恰好が良いと言うのなら、誰も何も言わないだろうし。
ただ、エッチな目で見られること、覚悟して置いて、と言いたいだけだから。」
(彼女の格好に関しては、ここまでで、これ以上は必要ない、彼女は理解して、考えるなら、後は彼女の領分だ、必要以上の助言になる。この後は、求められたときに、教える、で良いと。
そして、立ち上がり、彼女を見下ろす形となる。)
「ま、之でも……ずっと一人で冒険してたし、ベテランと言われる程度の並の実力だから。
依頼については、色々調べないといけないこともあるし……今回は、緊急だという事で急いだけど。
出会えてよかったよ。」
(思い付いていなかった様子の彼女に、そして、信頼と共に手を差し伸べられて。男も笑って手を握る
彼女と大きさは違うが、武骨な手だ。こぶしを握るか、武器を握るかの違いでしかない。
さて、この依頼の結末は、どうなるのだろう。
ただ、一つ言える事は、彼女も、男も、依頼は達成できたという事である。
それを語るのは、別の時、別の場所で―――)
ご案内:「無名遺跡」からマオさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からイディオさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは九頭龍山脈にある、無名遺跡の一つ。
いつもの気紛れで…と言いたいが、今日はここを目的で、やって来ている少女であった。
名前は相変わらず覚える気がなく、分からない。
だが、見覚えはある、とだけは分かる魔物。
人型ではあるも、人と比べ幾回りもの巨体。
低度の獲物を使うところから、知性はそう高くないだろう。
己の分かっている相手の特徴は、そんなものだ。
「うむ、やはりこうした面では、冒険者ぎるど?とやらは、役に立つものじゃのぅ」
そんな相手を前に、特に慌てた様子もなく、うんうんと頷く。
そう、少女はこっそりと冒険者ギルドへと立ち入り、依頼が張り出されている掲示板を探って来たのだ。
依頼との形では興味はないし、そもそも冒険者ではないし。
とりあえず、ここの情報が手に入ったので、それで良い。
ちなみに、依頼内容なんて覚えてないのだが、気にしない。
と、そんな事を考えている間に、相手の攻撃が向けられる。
ゆらり、少女の体が揺れれば、その攻撃を紙一重に避わした。
「おっと、いかんいかん…
何か見付かる前に終わってしまっては、目も当てられん」
軽く肩を竦めながら、ちらりと視線を相手に向ける。
振り下ろされた棍棒は、僅かに地面にめり込む。
うん、威力は及第点だ、当たれば痛いだろう。
………まぁ、当たれば、だが。
■タマモ > 一歩下がり、ちらりと視線を周囲に。
まぁ、通路とは言え、こんな巨体が悠々と動けるのだ、結構広いと言えよう。
それを考えると、この遺跡自体も、それなりの大きさか。
となれば、こうした魔物は、まだまだ居ると言えよう。
…なかなかに、楽しみだ。
再び振るわれる棍棒だが、やはり単調か。
横殴りの一撃を、たんっ、と一歩下がり、やはり寸でで避ける。
「そうは言っても、この程度ばかり、と言うのもあれじゃがのぅ」
こきこき、と軽く首を左右に揺らし解す。
更に追撃と、棍棒を一旦引くのだが…
その瞬間、少女の姿が掻き消える。
「………やはり、ここを目的でやって来る。
そんな冒険者やらを待った方が、楽しめるかもしれんな」
その姿は、相手の懐。
だが、姿を見失った魔物は、正面から、視線を左右に移す。
ゆっくりと手が伸ばされ、その手は腹部に触れる。
触れた事も気付かせぬ程の柔らかな感触だが、そこで、やっと視線が下に。
気付いたか、一歩遅かったが。
そう唇が動き、言葉にせず相手に伝え。
ずどぉんっ!と、周囲に響く程の音と衝撃が発せられる。
少女と比べ倍以上の巨体、それが壁にまで吹っ飛ばされ…ずるずると崩れ落ちた。