2020/06/19 のログ
ご案内:「無名遺跡」にエゼルさんが現れました。
■エゼル > そこは、無名遺跡の浅い層──
冒険者の主戦場であるダンジョンに、配達人の女は居た。
ダンジョンの外でキャンプをしている冒険者相手に配達を行うことはよくあるが、内部にまで配達に行くのは、よくあることとまでは言えない。
女はあくまで配達人であって、プロフェッショナルな冒険者ではないが、それなりに長い年月一人旅を続けて来たせいで、
そこいらの素人冒険者よりよほど冒険の経験を積んでいた。
■エゼル > ダンジョン内でも浅い層までであれば、こうして配達を請け負う程度には、冒険慣れしている。
もちろん、それでもプロの冒険者の領分を侵すほどではないし、その点を自覚してもいた。
自覚があれば安全、というわけでもなく、女はダンジョン内を小走りに移動する。
全力で走ると、足音が響いて魔物を呼び寄せてしまうためだった。
どれだけ気を配っても、現れる時は現れるのが魔物というもので、逃げ足に自信があろうが油断は禁物……
なのだが、慣れというものは、自分ではどうしようもない油断を生む。時刻もあって、女は欠伸を噛み殺した。