2020/04/20 のログ
ご案内:「無名遺跡」にナランさんが現れました。
■ナラン > 遺跡の深部か、その入り口。
ぱた、ぱた、と何処からか雫の音が響く、大人が2人並ぶのがやっとの石造りの通路。
ヒカリゴケだけがぼんやりと、その壁や天井の隅にしがみついて蛍光色の光を零す中、ざり、と靴音を響かせる人影ひとつ。
石畳の合間には蔦植物の根太が這って、戦闘の跡か大きく欠ける場所もあったりで、決して平坦ではない。
「―――…ここ、も」
爪先で床を探るように歩いていた人影が不意に蹲って、床へと手を這わせる。
床の合間のヒカリゴケの灯りにぼんやりと、民族着を纏った女が浮かび上がる。
女はまるで暗闇が見通せるように指先を石畳に這わせていって―――やがて、何かを探り当てた様で、引き結んでいた唇に笑みが浮かぶ。
「よし、と……」
探り当てた場所に、近くの細い根太を折ったものをいくつか差し込んで
再度その場所を探ってから、達成感のある笑みを浮かべて立ち上がる。
鳶色の瞳が細められて、暗闇の先を見通す。
―――――あと幾つ、あるだろう?
明日には、最近見つかったばかりだというこの隠し通路に、遺跡探索の専門部隊が潜り込んでくるという。
その前の、罠解除。
歩合だというのだから、数は多い方がいい。が。
(――――あんまり、潜りすぎないようにしないと)
夜目が効くから、灯りを灯す事で呼び寄せるような輩を集めることはないけれども
闇を住処にする者も幾らでも、この遺跡には居るはずだ。
そっと吐息を漏らすと、再び忍ぶ足取りを進める。
―――奥へ、と