2020/03/30 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 予め教えられていた場所で街道を外れ、騎士は九頭竜山の麓へと小径を分け入ってゆく。
そこにあるという遺跡。
その地下は迷宮になっているという。
冒険者としての経験は決して深くはないが、鍛錬の一環としてこうしたダンジョンにはよく連れられたものだった。
なんとなれば、人を相手にした戦い方と、人以外…けものや魔獣、そして魔族を相手にした戦い方は根本的に異なる。
対人武術として鍛え上げた腕が、けもの相手にはまったく要領が異なるということを、師は経験として叩き込んでくれたのだ。
跨ってきた軍馬は、遺跡の入り口において放してやる。
賢いがあまりに随分と人くさい仕草をするこの軍馬は、遺跡の入り口から漂う風に、さも不満げに鼻を鳴らした。
剣呑だと、そう言っているようにすら感じられてしまう。
「よしよし…。少しばかり、いい子で待っててくれ…」
手綱で脚を縛るようなこともしない。鞍と銜も外してやる。
しばらくは自由にそのあたりを歩き、後は馬具の番をしていてくれることだろう。
低級の妖魔が相手であれば、それが群れであれど文字通り蹴散らしてくれることはわかっている。
相棒への不要な心配を抱くこともなく、騎士は鞍袋から地下迷宮へと潜るため、火打石や松明など、様々な道具を取り出し支度を始め…。

アルヴィン > バックパックを背負い、腰のベルトにポーチを。ポーチの中には油瓶、火打石を。そして、バックパックのちょうど下、腰の裏側には丸め束にしたロープを。
そして右の腰には細身の短剣を佩く。逆手で抜けるように工夫したそれは、万一懐に入られたとて抜き放ち、突き立てられるようにしたものだ。
光源は松明を用意してあるが…騎士は、まず火を点す前にその松明に『光』の呪文を唱えた。知恵のある襲撃者であれば、騎士を不意打ちするに光源を狙うだろう。
手にしているのが松明であれば、物理的に炎を消しに来る公算が高くなる。その松明に魔法の明かりも燈されていたとしたら…これは物理的には消せない。
こういった『遺跡漁りのコツ』と、師が笑いながら言っていたコツを、騎士は愚直に守っている。

アルヴィン > 「…よし」
短く、己に言い聞かせるようにして。騎士はそう口にした。
準備は万端整ったと、そういう合図でもあった。
「じゃあ、行ってくる」
騎士のその言葉がわかるかのように、軍馬はブルルル、と鼻を鳴らし、鬣を揺らして首を振った。
その様子に瞳細めて微笑むと、騎士は一人、遺跡の闇の中へと降りてゆく…。

ご案内:「無名遺跡」からアルヴィンさんが去りました。