2020/03/21 のログ
ご案内:「無名遺跡」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――っふぅ、ふぅ、ふーっ…

 乱れた呼気が漏れ、大きく胸を弾ませ、汗を滲ませ、

「せあぁぁ!!」

 が、ごん!

 周囲を取り囲んでいる魔物の一匹が迫ろうとした瞬間、その脳天に向かって思い切りスタッフを振り下ろして迎撃し。壁を背にして周囲をぐるりと囲むスケルトンの群れに、ギリ…と奥歯を噛み締めて目を眇めた。

 ――数刻前、この遺跡にパーティを組んで潜ったのだが、スカウトが仕事しなかったお蔭で転送型のトラップを作動させてしまい、数名で編成されたパーティは一瞬でバラバラに離散した。

 そうなると厳しいのは後衛職。ヒーラーは一人、スケルトンがうようよと湧く小部屋に飛ばされて、あっと云う間に周囲を取り囲まれ、出口を塞がれて離脱することもできず、どうにか壁際を死守して、様子を窺いながらじりじりと包囲を狭めて襲って来るスケルトンをギリギリで撃退していた、が、それもいつまで持つかは分からない。

 はあ、はあっ、と何体目かのスケルトンを打ち倒して、身体がバラけたところ、光るコアを破壊し、それでも後からまだまだ湧く連中に絶望気味な心地で対峙し。

「ど…んだけ湧く、のよ……!」

 汗を滲ませながら焦燥気味に呟いた。

ティアフェル >  不意に鮮血が赤く飛び散った。

「――っ! あぁあぁぁ!」

 右手から踏み込んできたスケルトンの振り上げた棍棒をいなして、大きくコアに向かって踵落としを食らわせたがその間に、左手に回り込んできたスケルトンに刃毀れした長剣で上腕を斬りつけられ、焼けつくような痛みに悲鳴が上がる。

「っ、くぅ…!!」

 咄嗟に斬り込んできたスケルトンをスタッフをフルスイングさせて打ち飛ばし、左腕を抑え。はあっ、と苦し気な呼気を吐き出したところで、

「きゃあぁぁぁあぁ!!」

 また空間を裂くような悲鳴が上がる。明らかに動きの鈍った様子を好機、と捉えわらわらと群がるようにして数体まとめて襲い掛かられ、遺跡の床に引き倒され、殴打され、踏みつけられて物の数秒でボロ雑巾状態に陥った。

ご案内:「無名遺跡」にファイネアさんが現れました。
ファイネア > 悲鳴が聞こえた気がする。
そう思ったファイネアは悲鳴の方向へと足を向けた。
決して駆け出したりはしない。何せこのダンジョンで独り身だ。
理由はトラップの探索をサボった奴がいるから、というモノだった。
しかし急がないわけにもいかず、小走りと言った調子で進んでいく。

(……あぁ、あそこね。ひぃ、ふぅ、み……。)

冷静に考えながら、カチャカチャと音を立てる場所に向かう。
向かいながら、骨と武装の音を隠さないスケルトンの数を数えていく。
そして一定の距離まで近づけば、こちらの気配に気づいて振り返る骸達。
こちらに向かおうとする姿に、足を止めず持っていた荷袋を思い切り投げつけた。

ばきゃっと音がして数体のスケルトンが少女の上から吹き飛ぶ。
それで動揺しないのがアンデッド。向かってきた一体の頭部を短槍の石突でばかんと砕く。

ティアフェル > 「っぅ゛、っぐ……んん゛っ……」

 多勢に無勢、これだけ数がいては一人ではどうにも立ち行かずボッコボコにされてしまっていたが、もう、ここで死ぬかも知らん――そう思いかけた所で。

「ッ……!」

 骨が小刻みに乾いた音色を奏で、悲鳴が迸る最中のスケルトン部屋に不意に混じる異質な音。己の身を踏みつけていたスケルトンが吹っ飛ばされて、パキペキと音を立てて砕けた。

 目を見開いて、仲間が来たのか、とそちらを見ながらも、

「っんの…!!」

 軽く満身創痍ながらも、どうにかまだ握っていたスタッフで手近なスケルトンを蹴散らし。

ファイネア > 接近すれば当然斬り合いだ。
こちらの得物は短槍。が、そこはそれ。槍という得物は突くだけが脳ではない。
骨を相手に突くという愚行は当然犯さず。

(あぁ、遅いわね。)

桃色の瞳は振り回される長剣を冷静に見定め半歩後ろに下がる。
長剣の届かない間合い。しかしそれは槍の届く間合い。
その柄を横薙ぎに振るえば砕ける音と共に骨の腕がまとめて吹き飛んだ。
武器を落とした骨共の頭を、踏み込んで砕きながら様子を確認すると、
その奥では倒れていた女性が身を起こし始めている。

「あら、意外と元気。」

軽口を少し叩いてから、ぐしゃりと核を一つ踏み砕いた。
あとは野となれ山となれ。
ファイネアは冒険者になってそれほどの時を過ごしたわけではないが、
元々身体能力と合わせれば、数体のスケルトン相手ならばすぐに処理し終わるだろう。
ひとまずの処理が終われば、倒れていた女性に目を落とす。

「…災難だったわね。」

一緒に遺跡に入った…えーっと、後衛担当の…とそのまま少し考えている様子。

ティアフェル > 「っはあ、はあっ……ファイ、ネア…ちゃん…?」

 腕から血を流し全身に打撲を負って、髪を乱し衣服は汚れて一部裂けてしまいつつも、どうにかこうにか致命傷だけは負わずに済んでいた。襲っていた数体を吹き飛ばしてくれたせいで、よろめきながら上半身を起こし、スタッフを支えにしてふらつきながら立ち。
 急場にギリギリ駆けつけてくれた彼女を見て目を細めて見遣り、ターゲットをこちらからそちらに変更したスケルトンの群れを鮮やかに薙ぎ払い、一掃してくれる様を安堵の心地で見つめながら、

「……ありがと、助かった……。
 ヒーラーのティアフェル……だよ……、ぁー……やばかったぁ……ちょ、ヒールさしてね」

 はあ、とまた大きく息を吐き出し、ボロボロになってしまった身を癒そうと自身にスタッフを掲げて集中し、詠唱に入る。術式を紡ぎ出すと、淡い光がスタッフの先から産まれ、傷を塞ぎ痛みを取り去っていく。

 どうにか回復を済ませると、よろけつつ壁に背を凭せ掛けながら。

「ぅーあぁ……死ぬかと思ったぁ…!
 そっちは大丈夫? 怪我ない?」

ファイネア > (そういえばちゃんづけだったかしら。)

多分自分の方が長生きしてそうだけど、と口には出さずに考えつつ様子を伺う。
正直組んだとは言えあまりパーティ内での名前は把握しきってはなかった。
失礼だとも思うが、仕事だけなら…という所はあったからだ。

「そう、ティアフェルね。治療するのは構わないのだけど…。」

よろよろと壁にもたれかかる様子を眺めながら、こつこつ歩いて投げつけた荷物を拾い上げる。
中身は乱れてはいるだろうが、そんなにヤワな道具類は入れてはいない。
埃を叩き落しながら彼女に近づくと、肩を貸して少し強引に立ち上がらせるだろう。

「私は大丈夫。あのくらいならね。
それよりも少し移動しましょ。後続が来ない保証はないものね。」

まだ痛いかもしれないけれどと、容姿よりは大人びた少しだけ艶やかな微笑みを向けて。
通ってきた道の内、少し離れた場所まで案内していくだろうか。

ティアフェル >  実年齢など知らないので、彼女のことは年下の女の子、と認識。
 大体冒険者パーティの編成は男性メンバーが多く、前衛系の女性はちょっと珍しいので、他のメンバーは正直うろ憶えのもいたが、彼女の名前は憶えていて。

「ティアでいーよ。……ってか、例によって野郎どもは何してる!
 女の子が真っ先に駆けつけてくれたよ! ったく、使えねえー」

 何だか知らないが、女性メンバーは少ない方なのだがこういうピンチに陥ると男性メンバーよりも女性が駆けつけてくれるパターン多い。回復を終えれば、彼女が一人でやって来たのは明白で舌打ちカマして愚痴った。
 そして、肩を貸してもらえば、壁から背を話して立ち。

「ぁ、大丈夫だよ、どうにか……歩ける。ありがとね。
 ぁー、女子ありがたい、女子癒されるゥー」

 窮地の後に綺麗な女の子の笑顔を見ると心安らぐ。ほど近い位置にいると良い香りもする。
 ほっとしながら歩き出して。

ファイネア > ティアね。と名前を聞けば今度こそ記憶しただろう。
歩けそうな彼女を連れ戦闘の場所からはそこそこに離れた場所へ。
道中2体程のスケルトンはいたが、自分が前に立っていた為問題なく処理していた。

「この辺なら視界も通るし、ひと休みできると思うわ。」
野郎どもも今頃迷っているのではないかしら。」

他のはどうだか知らないが、あのスカウトは確かに使えなかった。
そんな様子を男より男らしく愚痴る様子にくすくすと笑う。
怪我の程度はどう?と荷物から水の入った革袋を取り出て差し出だすだろう。
自分はと言えば、槍を抱えたままで壁に背を預けている。
笑いながらも周囲には気を配り、いつでも走り出せそうな独特の気配を持っている。

「女子癒されるって。酒飲み親父じゃないのだから。」

ティアフェル >  連れられてひとまず退避できる場所に向かう最中、出て来たスケ二体をこともなげに屠る姿に、「ッフゥ~、強ーいッ」と少々軽々しい調子で賞賛して。
 頼れる女子やわあ……と目をまっすぐに細めていた。

「おー。お手頃な場所があったもんだねー。
 できる子、この子できる子や……。
 他の連中も無事だといーけど。後衛の魔法使いが心配だね」

 詠唱までに隙ができてしまうのが魔法職の最大の壁。
 案内してもらった場所に感心して見回しながら、隅にある瓦礫に腰かけて、

「あ、ありがと。てーか、マジ強いんだね。どっかで修行とかしたの?
 冒険者経験はまだ浅い方だって聞いたけど、大したもんだねえ」

 水の革袋を頂いて両手で抱えて口をつけ、ぷは、と心地よさげに息づくと周囲を警戒してくれている様子に感心したような眼差しを注ぎ。

「っぇー? でも、そんなもんっしょ。
 ここであの前衛の、誰だっけ……つるっぱげで筋肉ダルマみたいなあの拳闘士の顔見ても、安心はするけど正直癒されるぅって思えなくない?」

 ディスってるつもりはないが、前衛にいた仲間を引き合いに出して云い出した。口の悪い女。

ファイネア > 「手ごろとは言えここも安全という程ではないけれど。
休息くらいはできるでしょ。見張っているから落ち着くまではゆっくりして?」

賞賛に対しても特に感慨もなく、社交辞令的にありがとと返すのみ。
照れたり喜んだりというよりは当たり前の事という風な様子だっただろう。

「魔法使い、ね…本人の技量と運よね。杖術でも修めていたらどうにかなるとは思うけれど。
私? 私は、そんな所。多少なり心得があったからこうしてる、ってトコかな。」

落ち着いて休息をとる様子を、かすかに目を細めて見下ろしながら。
すぐに視線は通路の奥へ。そして逆の方へ。今の所は問題もない様子。

「ふふ。確かに女の子の方が癒されるわね。
癒しとは無縁そうで…どちらかと言えばがっつく系よね。…おっと。」

口が過ぎたかしら、と口元を抑えて微笑む。
落ち着いたら連中探しに行く?と提案はするだろう。
もしくは一度脱出を目指すか、だ。

ティアフェル > 「うむ、確かに。ダンジョンに平穏を求めてはいけません、よね。
 んー……助かるぅー。お言葉に甘えてちょっと休むよ」

 クールだなぁ、と年齢不相応な対応を見て膝の上に頬杖をついて眺めながら思い。
 どこか観察するような視線を向けていた。

「ま、こっちもこっちでヤバイんだし。心配する余裕はないか。
 頑張ってると信じよう……。
 ふうん? まだ若いのにすごいね。才能ってやつかな」

 ほー。とどこか言葉を濁すような返答に少し小首を傾げながらも深くツッコムのも失礼かと肯いて。
 油断なく周囲の警戒に当たる様子に、頼れる女子……助かる。と密かに拝むように手を合わせていた。

「でしょ? あなたくらいの歳の子と一緒になることってあんまりないから余計ね。
 一番悲しいのは、本人のせいではないんだけど、すごい近づかれると体臭がツラい」

 本人には絶対にいえないけれども拳闘士はもちろん匂いケアなんてしないので、汗でムレている上に当然軽装なので、男の匂いダイレクトアタックでキッツい。
 
「そーね。こっちも女二人の状態だし……脱出した方がいいかも。
 どこに飛ばされてるのか全く分かんないし戻る途中合流できるかもだし」

 探すのは危険に思えた。幸い前衛後衛の二人で行動できるのだからギリギリ脱出できそうに考え。

ファイネア > 視線を向けられても気にする様子はない。
視線そのものには気づいてはいる様子だが、あまり油断せずに周囲を警戒しているようで。
ただ、視線を彼女に戻した際には、

「そんなに見つめられると照れちゃうわ。」

と、艶っぽい笑みを返すくらいには余裕はあるようだ。

「才能…かしら? あまり自覚はないけれど。
貴女だって医術や治癒術を修めているのでしょう? 似たようなものだと思うけれど、ね。」

少し手持無沙汰になったか、先程から手荒く骨を砕いていく槍の様子をチェック。
拝む様子の前で、槍の柄や穂先をつなげた部分などを簡単に調べていく。

「あぁ、匂いね。…あれは…あぁいうモノだと思うけれど。
お風呂の無い砦の中とかなかなか凄いわ。あんまりずっと嗅いでいたくは、という所かしら。」


特に冒険中なんて水浴びもできない事が多々あるのだ。慣れはあれど、好き嫌いとかいう話。
ちなみに私はいい匂いだった?と少しだけ茶目っ気を見せるように問いかけた。
探索中なのでその気はなかったが。元来の体質、多少フェロモンちっくに香っても不思議はない。

「じゃあ、方針としては一度脱出する方向でいきましょうか。
出会わなくても待つ間に外で野営する事もできるしね。」

遺跡の中で寝泊まりするよりは外の方がマシだろう、と同意をしておく。
彼女の様子を見て、動けそうなら動くのがいいかしらね、と考えながら。

ティアフェル > 「ああー。ごめんごめん、美少女だなーと思って見惚れちゃった」

 ちょっと凝視し過ぎたかも知れない、何だか婀娜な笑みを刻む表情に少女のものではないような大人っぽさを感じながら、誤魔化すように笑って後頭部に手を当て……ついでにぐっしゃぐしゃになってた髪に気づいて一度解いて、アップではなく首の後ろにひとつにまとめて結び。

「そんだけやれれば立派な才能じゃない?
 まー…ねえ。だけどわたしはそんな大したことないよ。まだまだ甘い自覚はあるし」

 もらった水を少しずつ傾けていたがやがて口を閉じて、「ごちそうさま」と立ち上がってお返しし。
 大分調子が戻ったかな、と肩を回したり腰を捻ったりして確認し。

「匂いもさ、好みあるよね。わたしあの拳闘士が遺伝子レベルで駄目みたいで匂いがツライんだわあ……いや、本当に申し訳ないんだけどさ。
 ファイネアちゃんはね…なんというか、香しい。何か香水? いい匂いする」

 他の人はそうでもないのだが、苦手な匂いを発する相手というのは、遺伝子的に近いので本能的に嫌煙してしまう対象ということ。パーティプレイだと前衛後衛の位置は遠いので、そんな風に感じていることを誰も気づいていなかったろうが。
 お茶目な問いかけには素直にお答えした。同性でもいい匂いと思うのに男性メンバーには逆に毒だったかも知れない。

「おっし、じゃ。行きますか。
 ――と、云ってもどっちだかねえ……普通に迷ったのとも違うから……転送されちゃうと現在地がさっぱり分かんないな……」

 気合を入れて頬を両手で軽くたたいたが。
 その二秒後には困った、と眉を寄せて。進路はどう行くと正解か…。

ファイネア > ありがと、と小さく返し髪をまとめる様子を見ながら荷物をまとめ直す。
探索用の荷袋だ。さほど大きいサイズでもない。一応、簡単な食料なども入ってはいるが。
差し出される水袋を受け取り、しまい込んだ。

「あなたも十分綺麗な子だと思うけれど。
ふぅん、そんなものかしら。…けれど、隣の芝生だものね。」

自分にないものはうらやましく見えるものだ。
人間的な感想ではあるが、実際にそうなのだから仕方がない。

「ふふ。そういう事もあるんじゃない?
些細な事だもの、割と多いくらいじゃないかしら。口に出さないだけ偉いと思うわ。よ。
少しくらいは香水をね。安くて薄いものだけど。」

香水を使わないという事はない。今回は使用してはいなかったが…。
冒険中に使う事もある。水浴びのできない時とかに。
気合を入れる彼女を横目に、現在地の壁にごりりと手ごろな石で傷をつけておく。

「ひとまず歩きましょ。風の流れでもあれば嬉しいけれども。
誰かとここで合流できても転送後の状況でしょうし、留まっているよりはいいでしょ。」

あとに着いてきて。と言ってから先立って歩き始める。
ひょっとしたらティアのいた奥かもしれないけれど、とも思うが。
ひとまずは自分の来た道とは別の道に入っていくだろう。