2020/02/03 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは九頭龍山脈、そこにある無名遺跡の一つ。
今回の遺跡は結構なもので、内部の装飾とか、なかなかのものだった。
奥に行けば、きっとお宝の一つでもあるだろう、そんな期待の持てる場所だ。
見付けたのは偶然、好奇心に駈られ、入ったのは…どれくらい前だっただろうか?
ともあれ、せっかく見付けたからと、こうして探索をしている訳だ。

己が初めての来訪者なのか、それとも、他に誰か先に入っているのか、それは分からないが。
だが、今のところ、冒険者とか、その手の者達には会っていない。
まぁ、そうは言っても…

「………おっと、危ない危ない。
今回は、当たりやもしれんのぅ?
やはり、探索は、こうしたすりるもなければならん、うむ」

ぶんっ、と刃が己を掠めるように、振り下ろされる。
狐火に照らされた相手の姿は…何だったっけか、トカゲみたいな見た目をした人型の魔物だ。
…いやまぁ、なんでこんな場所に?と問いたいものだが、唸り声しか上げないところを見ると、言語理解能力はなさそうか。

言葉を掛けながら、ひょい、と軽く避ける少女。
指を振るい、その魔物へと指す。
途端に、魔物は、その動きをぴたりと止めてしまう。

「何もないより、十二分にましじゃろう。
………が、相手をするには、まだまだじゃな?」

すっ、と少女は指を横に振るう。
それに合わせ、魔物は吹っ飛ばされ、鈍い音を立てて壁に激突した。
結構大きな振動と音から、かなりの衝撃だろう。
指を戻すと、どさり、と魔物はそのまま床に落ち、動かなくなって。
ただ、よく見れば、気を失っているだけだ。
少女は、魔物であれ、相手を殺める意思はなかった。

それを確認すれば、その場と後にして、少女は先へと足を向ける。

ご案内:「無名遺跡」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……?」

九頭龍山脈、無名遺跡。
新たに発見されては冒険者に荒らされ。
そしてまた、別の遺跡が発見される。
そんな、冒険者の腕試しなどにふさわしい遺跡。
そこの探索に来ていた男は、轟音に首を傾げる。

「……ご同輩かな?
 ……罠にでもかかっておっ死んだか。
 あるいは、強烈な一発をお見舞いした?」

遺跡に埋もれている薬草などを回収しつつ。
男はふ~む、と考える。
もしも同業者だとしても、別に会いに行く必要性は無い。
とはいえ、不意打ちを喰らうかもしれない可能性もあるから。
だったらこっちから会いに行くほうがいいか? などと思いつつ。

「……ま、とりあえず行ってみますか?」

興味本位、といえばそれまでだが。
男は、音のした方向へと歩いていく。
ちょうど、まだ足を踏み入れていないルートだ。
探索のついでだ、と。男は鼻歌交じりに遺跡の中を歩いていく。

タマモ > ぴくん、と不意に、歩みを進めていた少女の耳が揺れる。
普通に耳を済ませても、人間であれば、聞き取るも困難な、それなりの距離からの足音。
しかし、鋭敏な聴覚を持つ少女には、それを聞き取るに十分な物音だった。

「ほほぅ…忍ばず、歩み寄っておるようじゃのぅ。
音を聞き、また別の魔物?やらでも………の割には、音がはっきりとしておるな…」

知性を持たぬ魔物ならば、履物っぽさもない独特の足音であろう。
しかし、今聞こえた足音は、そうではなかった。
つまり、冒険者やら何やらの可能性が高い。
そう考えが到れば、少女もまた、それに興味を持つ事だろう。

「………ふむ」

ただ、少女は普通とは言い難い。
ふと何か思い付き、頷けば、ぽんっ、と灯りである狐火を消す。
何も映さぬ暗闇の中、少女は、にんまりと意地悪な笑みを浮かべていた。
それを見れるものがいれば、少女が、禄でもない事を考えたのは、分かる事だろう。

音と感覚を頼りに、少女は暗闇の中、相手である男へと近付いてゆく。
しかも、気配を、匂いを消す、そんな徹底ぶりだ。
適当な距離で、男が気付かぬ範囲で、行うのは…待ち伏せだった。

セイン=ディバン > 「……ん」

道を歩く中。男が鼻をくん、と鳴らした。
何か、嗅いだことがあるような匂い。
とはいえ、遺跡のカビ臭さや埃臭さに混じってよく分からない。
だが、男は気にせずにそのまま歩いていき……。
曲がり角を曲がれば。

「……」

違和感。おかしい。距離的に、そろそろ遭遇してもいいはずだ。
そう思っているのに、目の前には誰もいない。
周囲観察。魔物の死体やら、冒険者の荷物やら。
視界が通らない。

「……あれ。罠にはまったのはオレかな?」

おかしい。と思った時には遅い。
男は、見事に相手の射程距離の中に入っていた。

タマモ > 少女は待つ、暗闇の中、身を潜めたまま。
どうやら、相手は気付かぬまま、近くまで寄って来そう、そんな雰囲気。
そして、それは現実となり、今まさに、男が少女のすぐ側を歩いて過ぎようとしていた。

「………?」

と、男が感じた違和感とは違う、少女独特の違和感。
よく分からないが、覚えのある感覚が、してるような、してないような…
まぁ、うん、ここまで来れば、この際、どうでも良いか。
と言う訳で、少女は、せっかく感じた違和感を、無視した。

するりと、少女は男の背後へと忍び寄る。
気付かれぬように、大きく、大きく、息を吸い込んで…

「どーんっ!」

と、そんな大声を張り上げると同時に、声と同じく、どーんっ、と男の背中を思いっ切り突き飛ばした。
…とは言っても、つんのめったり、転がったり、そうなる程度の力加減だ。
さすがに、吹っ飛ばすなんて、酷い事はしない。

セイン=ディバン > 「……」

立ち止まり、周囲に気を配る男であったが。
さすがに色々なものがありすぎるし。
動物や魔物の気配も多い。
どうにも集中できずにいた男。
そして、背中を押されるのであれば。

「おぉぉっとっとっとっ!」

そこでようやっと相手の気配に気づき、男は相手の身体を捕まえ、くるり、と一回転。
その場でダンスでも踊るかのように。相手の身体を支えてみせ……。

「……って、タマモさま!?」

そこで相手の姿を見て、男は素っ頓狂な声を上げるのであった。

タマモ > 「よし、せいk…おおおおぉっ!?」

突き飛ばしての驚かせ、成功。
驚く男の声を聞きながら、満足そうにしようとするも、伸びる手に捕まり、支えられる。
予想外の、がくん、とくる衝撃に、むしろ己も驚いた。

「あ、あぶっ…って、ん…?…おや、お主は…」

と、男と同じく、そこでやっと、少女は男の正体に気付く。
確かな覚えのある男、名もしっかりと呼んでくるのだ、間違いない。

「お、おぉ…何じゃ、お主じゃったのか…こんな場所で会うとは、奇遇であるも、久しいのぅ?」

とりあえず、しゅた、と手を上げて、挨拶をしておいた。

セイン=ディバン > 「……久しい。久しいって言いました?」

相手の言葉に、男が驚いたような表情になる。
そのまま、相手の身体を抱き上げ。高い高い。

「タマモさまですよね? 玉藻ちゃんじゃなくって。
 あぁ、だとすればそりゃあお久しぶりですけど!」

続けて、男は相手に。まるで確認するかのように問い。
地面に下ろした相手を、なでたり。
ほっぺた触ったり。ついでに胸を揉んでみたり。

「あぁもう。聞きたいことは色々ありますけど。
 なんて聞いたらいいのやら……」

男は、頭を掻きながら何と言葉にしていいのかと悩む。
なにせ、相手の存在は、今の男の混乱の種だ。
……近しくも、違う、と思う存在に出会ったのだから。
こうして再会できたことが、また混乱を増幅させるのだが。

タマモ > 「…?…いや、お主、前に会ったのはいつだと思うておるのじゃ?」

男の言葉に、かくん?と首傾げ、そう答える。
実際、少女として男と会ったのは、結構前の話であるからだ。

「様付けなのか、ちゃん付けなのか、はっきりせい。
まったく…えぇいっ、べたべた触れるでないっ!」

首傾げたまま、男の問い掛けに、びしり、頭を叩く。
普通は届かないが、抱え上げてたお陰で、手が届いた。
その叩きは、別に胸を揉まれたから…と言う訳でなく、言葉の通り、の意味である。

ぐいっ、と体を捩れば、男の手から抜け出し、しゅたん、と床に着地。
はふー…わざとらしく、深い溜息を吐きながら、両手を腰に、じとーっと見上げる。

セイン=ディバン > 「……いやぁ、そこは難しい話なんですけどね」

恐らくはそういうことなのだろう、と。
男だって、考えなかったわけでもない。
だが、いざ説明するとなると本当に難しいのだ。

「いや、ですからね。その。あいたっ!
 ……な、何も殴らなくてもいいじゃあないですか」

べしっ、と殴られれば。男は相手から手を離してしまう。
相手の見事な着地を見ながら、男はしゃがみこみ、相手と目線を合わせ。

「端的に言いますと。あなたとクリソツな妖怪さんに会いまして。
 気配もすげー似てたんすよ。
 名前も、玉藻、って名乗ってまして。
 タマモさま、親類縁者とかいます?」

とりあえず、なんかにらまれているので。
説明しつつ。相手の頭をなでてみる。相変わらずのなで心地。
実に心地よかった。

タマモ > 「うん?…難しい話?………面倒そうじゃのぅ」

そんな単語が出てこれば、少女は明らかに、嫌そうな表情。
と言うか、視線を逸らしたりと、あからさまに聞きたくなさそうな素振りまで。
まぁ、実際には、話せば聞いてはいるのだが。

「ふふんっ、女子を無遠慮に触れるからじゃ、反省せい」

とか、胸を張りながら、そう答える少女。
そんな少女も、場所が場所では、人の事を言えない訳だが、気にしない。
…人ではないが。

「………気配も似た上、名も同じ…じゃと?
いやいや、同名の妖なんぞ、母様以外に聞いた事なんぞないぞ?
あれはあれで、気配は近くも、名は違うしのぅ…はてさて」

むむむ、と唸りながら、男の説明に考える仕草。
考えてはみるも、やはり、己の記憶には、そんな相手は居なかった。
浮かぶ相手は一人だけ、同じこの地に降りた天狐を思い出すも、伝えた通り、名が違うのだ。
もっとも、そちらは男が会った事もない訳だが。

セイン=ディバン > 「相変わらずっすねぇ、タマモ様」

この人、自分よりも明らかに頭いいのに。
難しい話嫌いなんだよなぁ、と呆れ顔の男。
なんというべきか。親しみやすい、とでも言うべきか。

「あい。すいませんでした」

相手に反省しろ、と言われたのなら素直に謝る男。
確かに、ちょっと失礼な触り方だったかもしれない。

「う~ん……本当に良く似た、無関係の人、なんですかねぇ。
 ……まぁ、それだったらそれで、納得はしますけど」

どうやら、相手の知人ではないらしく。男は、う~ん、と首を傾げるのだが。
いつしか、相手の頭を撫でていた手が、相手の尻尾をモフりはじめる。
男は、この相手の尻尾が大好きであった。
なによりも、モフったときの手ごたえが段違いなのである。

タマモ > 「何を言う、難しい話が面倒事以外、何があるのじゃ?」

それがさも当然と言わんばかりに、そんな事をのたまう少女。
頭が良いかどうかは、まぁ、別として、嫌いなものは嫌いなのだ。

「うむ、よろしい」

あっさりと謝罪する男に、満足気に頷いてみせる。
素直なのは良い事である、多分?

「うぅむ…その辺り、詳しく知りたくば、ナズナに聞けば良いじゃろう。
あやつならば、答えが出て来るやもしれんぞ?
………あー…教えたりした事、あったかのぅ?妾の式の一人じゃ」

お互いに、首を傾げる男と少女。
結局、少女は答えを他人に丸投げした。
ちなみに、頭を撫でてる手は、気にしていない。
それくらいならば、まぁ、許しておこう。
尻尾ももふる?注意は払っているし、これも問題ないか。
自慢の尻尾であり、手触りは確かなものである。

セイン=ディバン > 「難しいからこそ楽しい話、ってのもあります」

興味のあるジャンルの、勉強とか、などと。
男は自分の考えを口にするものの。
男も基本、面倒ごとは嫌いなので。そういう意味合いの難しい話も必然キライだったりする。

「……ナズナさん、ですか。
 いや、お名前とかは、聞いたことはなかったですね。
 あぁ、タマモ様の部下の方ですか」

ふむ、と男は相手の言葉になるほどなるほど、と頷く。
確か、この相手には三名ほど。有能な部下がいる、とは聞いたことがあった気がする。
とはいえ、会ったことがあるのはとある女性のみ。
蜘蛛の美しい女性であり。男が、ちょっと気に入っている存在。
それ以外の人物の名前、となれば。いずれであった時に話を聞くため。その名前を記憶する。
相手の尻尾は、あたたかいしモフモフだしで。男としてはとてもお気に入りの尻尾であり。
男は、そのまま、相手の尻尾をモフり倒すのだが。

「……っていうか、タマモさま。
 こんなところで何してるんです?」

そこで男は、相手がなぜ遺跡などにいるのか、と。
疑問に思ったことを素直にたずねてみる。

タマモ > 「難しいから楽しい話とか、想像出来んのぅ…」

少女は、その頭脳をいかに楽をするかに費やす。
難しければ、そこを回避して、興味ある事に関わる事だろう。
だからこそ、賢くも愚かであるのだ、この少女は。
まぁ、そこを突けば怒り出すので、触れるな危険である。

「おっと、そうじゃったか?
シノ、ナズナ、そしてジンじゃ。
他にも居る事は居るが…妖であるのは、その三人だけじゃな」

正直、話したのが前過ぎて、覚えてない。
なので、とりあえず、改めてなのか分からないが、教えておいた。
細かい説明は、やはり省く、会えば分かるから大丈夫。

さて、なんだかんだで、すっかり尻尾にじゃれ付いてる男ではあるが…

「うん?…暇潰しの、お宝探しじゃ。
お主とて、こんな場所、目的なんぞ、そんなもんじゃろう?」

己からも、尻尾を男に絡めさせながら、さらっとそう答えた。
別に嘘付く必要も、理由もないし、考えるだけ面倒だから。
そうした考えを、男にも向けてはみるが…
まぁ、冒険者として普通に考えれば、それ以外にも色々とあるものである。

セイン=ディバン > 「案外ありますって。難しいと楽しいが両立してる話」

目の前の相手も、きっと興味のある話であれば食いつくだろうに。
そう思いつつも、あまり話を掘り下げたりはしない。
あまり難しい話ばかりしてても楽しくは無い。
その辺、バランスが大事だ、ということくらいは。男にも理解できる。

「ふむふむ。なるほど、覚えましたよ。
 ……そのぅ。シノさんは、お元気ですか?」

三人の名前を聞けば、しっかりと記憶する男。
そんな中で、自身が出会ったことのある女性のことについてしれっとたずねてみたり。

「ほぅ。暇つぶしですか。
 まぁ、俺も似たようなもんです。
 何か掘り出し物でもないかなぁ、と」

相手の尻尾を堪能しつつ。男も簡単に答える。
男としては、何かマジックアイテムでもあれば、と。
そのくらいの考えでここに来たので。
まぁ、今のところマジックアイテムは無いが。
知人に会えたので、良しとしている感じだ。

タマモ > 「むむむ…まぁ、あれじゃ…それはまた、いずれじゃな」

確かに、興味ある話であれば、少女は食い付くだろう。
が、すぐにそんな話題を、と言うのは難しい話である。
と言う訳で、ひらひらと手を振り、この話題を打ち切った。

「………そんなすぐに、よぅ覚えられるのぅ…
っと、シノか?元気と言うか、いつも通りと言うか…まぁ、変わらずじゃ。
拠点である、あの邸宅に行けば、大概会えるじゃろうて」

男の言葉に、思い出すように、そう答える。
まぁ、妾はそう戻る事はないがな、とも、付け加えて。
あんな場所に居たら、色々と弄られてしまう、居てられるか。
…とは、さすがに言えないが。

「ふむ…せっかくじゃ、共に巡るか?
お主の方が、何か見付けた時、それが何かとか、妾より分かるじゃろうしな。
………荷物持ちにも、ちょうど良かろう」

軽く思案すれば、男の言葉に、少女はそう返す。
言葉の端は、ぼそりと呟くように、だが。
今のところ、暇潰しにはなっているが、収獲なしである。
さすがに、何か欲しいところ、もう少し進む予定ではあった。
まぁ、同行するかは、男次第ではあるところだ。
するにせよ、しないにせよ、少女自身は、まだまだ進む気である訳で。

セイン=ディバン > 「そうですね。いずれまた、たっぷりと」

相手が、難しい話を避けようとするのなら。
男は苦笑し、話を打ち切る。
いずれ、機会があればそういった会話をすることもあるかもしれない。

「タマモ様が人の名前覚えなさ過ぎなんです。
 ……あ~。そうですか。。
 ……あはははは、あぇ~っと、えぇ。まぁ、いずれ……」

相手の返答に、男は困ったような苦笑。
気に入っている相手だからこそ、なかなか会いに行きづらい部分もあるのである。
女の子だけではない。中年男子の心もまた、複雑なのであった。

「えぇ、いいですよ。
 タマモ様となら、探索も楽になるでしょうし。
 まぁ、荷物持ちくらいは。えぇ。問題ないです」

相手が提案するのなら、男はそれに応じる。
一人よりも、二人のほうが探索は楽だし。
男としては、この相手は尊敬に値する相手なので。
荷物持ちくらいは、喜んでやりますよ、と。
この辺り、この男は小物であるが。
なにぶん、相手はとっても強いお方なので。
男としては、相手に付き従うのも嬉しいものなのだ。

タマモ > たっぷりと、最後にそう付けた男の言葉に、無意識に視線を逸らす。
その辺り、自然に流したり出来ないだけに、分かり易いところであるか。

「うぐっ…ちゃ、ちゃんと、覚えてはおるのじゃぞ?顔は。
完全に忘れた訳ではないのじゃ、それくらい、良いじゃろう?
…?…ふむ…そうかそう、そうじゃない、いずれな?」

唸りながらも、食い下がるように、こう。
あれだ、世の中、得手不得手は仕方無いのだ…うん、そう思いたい。
と、歯切りの悪い答えには、軽く視線を上げ、何か考え…
ぽむ、と手を打てば、にまーっと笑いながら、そう言うのであった、最後の言葉を強調して。

「よし、ならば、もう少し探ってみるとしよう。
………あぁ、そうそう、お主は何か、美味いもので持ってきてないか?
小腹が空いてきたところじゃ、歩きながらでも食べられるものが、ちょうど良いんじゃがのぅ」

そうと決まれば、話は早い。
先を進もうとするも、くるり、と振り返り、そう問うた。
いきなり、食べ物をせびる気満々である少女であった。

さて、なんやかんやあるも、これから先は…
二人のみぞ知る、と言ったところだろうか?

セイン=ディバン > この相手は、困ったりするとよく視線を逸らしたりする。
そこがまた、男にしてみると可愛らしい、と思えるポイントなのだが。

「顔じゃなくて名前で覚えてくだせぇ。
 ……まぁ。最終的に思い出してくれればいいんですけどね。
 ……あい。いずれです。いずれ」

目の前の相手が名前を覚えてくれないのはいつものことなので。気にしない。
だが、相手に笑われながら言葉を繰り返されれば、男は、弱りきった、という表情に変わる。
なにせ、かの美しき蜘蛛とも、ずいぶん会っていない。
いくら男がアプローチをしていた、といってもそれも昔の話。
相手にもしも『アナタのことなんてとうに忘れました』とか言われたら泣く自信があるのだから。

「そうですね。ある程度キリのいいところまでいきましょうか。
 ……もってきてはないですけど、ちょっと取り出してみますか。
 何かあったかなぁ……」

相手と共に歩きつつ、食い物、と言われれば。
男は物体転送の呪文で、適当に家から食料を引き寄せる。
出てきたのは、男が手ずから作った干し肉であった。
特殊な製法のおかげでやわらかいそれを相手に渡し。
男は、暇つぶしたる探索を楽しんだのだった……。

ご案内:「無名遺跡」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。