2020/01/22 のログ
■レンチェフ > 同族の冒険者など本当に滅多に見ることはない。
あの二人のお陰で気分的に最悪であったが少女が同族と知れただけで新な気分もマシになり。
だが目の前の難敵、伝えられた情報を聞けば聞くほどに己たちでは対処できないのがわかる。
「入らない限りは安全ならそれでいい。
あの二人に協力を仰いだところで下手すりゃ俺ごと殺しにかかるのは目に見えてるな。
命あっての物種だ、撤退してギルドに投げるぞ」
有効手段のない二人では倒される事もないが倒せもしない。
それどころは疲れない金属の人形であるガーディアンの方が最終的には優位となる。
頼りの綱の魔術師はあてにならないとなれば撤退に異論を挟むこともない。
報酬は惜しいが死んでは意味はなく、想定外の難敵がいる以上文句も出ないだろうと。
それゆえに少女の提案にそれで良いと賛同して来た通路へと振り返る。
■イルルゥ > 帰り道の罠は既に解除、あるいは看破済みだ。
魔物も蹴散らしてきたばかりであるため、居ないことは確か。
ガーディアンを倒せなかったのは、冒険者として少し悔しい想いはあるが、命あっての物種だ。
「そうですね。一度、撤退しましょう…。
それで、その……」
再び、通路を先導しつつ。
ただ、一度伝えた罠の位置も、もう一度伝えて…引っかからないように最大限気を付ける。
安全を求めて撤退しているのに、ちょっとした油断で罠にかかってはしようがない。
しかし…あの二人と別れた広間に近づいてくると、少しそわそわと。
「あの…フードを、申し訳ないのですが…貸していただけますか。
…もしかすると、変な風に思われるかもしれませんが…」
ギルド内でも有名になるほど、常にフードを被っている少女。
だからこそ、そのフードが変わっていれば注目を集めるかもしれず。
更にあの二人に見つかれば…妙な勘違いを受ける可能性もある。
だから少しもじもじと。
出来れば、男の匂いが薄い方が…少女の体質としては、ありがたいけれど、贅沢は言っていられず。
■レンチェフ > 少女のお陰で帰りの道は安全と言えるもの。
罠は解除か既に見つけられ、魔物は打ち砕いた後となれば危険はないと言ってもいい。
最後の最後で大物を始末できなかった事は惜しくはあるが話が違うなら仕方のない事と割りきる。
途中にもう一度罠の位置を伝えられ、引き上げにかかるというドジだけはしまいと注意し。
引き上げるまでは油断をしないのが本業だという考えなだけに何度菓子を止めて再確認を促し。
「あぁ、そろそろか。そこは諦めろ。
バレるよりはマシだ」
もしかすれば先に二人が戻っているかもしれない。
少女の言葉に足を止め背嚢から己のサイズ、少女には少々大きすぎるかもしれないローブを取り出せば手渡す。
正体を隠さない己とは別な意味、常にローブ姿の少女のローブが変われば勘違いもあり得る。
そこは正体がバレるよりはとマシだろうと告げるしかなく。
私はローブには己の匂いがしっかりと染みついているがそこは勘弁しろとしか言えず。
「さて……戻ってるか……?」
やがて進む先に広間が見えれば少女より先に入り、二人はいるかと視線を巡らせる。
■イルルゥ > 「そ、そうです、よね。確かに、バレるよりは…ありがとう、ございます」
撤退は順調。
集合の時間にも、十分間に合う。
通路の一角でローブを受け取り。
しゅるりと一度自分のローブを脱いで畳み…自分の背嚢に入れて。
代わりの…男の匂いが染みついたローブを身に纏う。
(う、う……、大丈夫、大丈夫、これくらないなら、まだ…)
雄の…しかも種族まで一致した同族の匂いに。
は、と…自然に少し息が荒くなってしまう。
だが、この程度なら…戦闘で息が上がったと思われるだろう。
そのまま、ぶかぶかのローブ、その裾を引きずってしまいながら、最初に別れた広間へと戻ってくる。
あちらの道も、マッパーによればそこそこに奥行きがあったが。
それ故か、二人が戻ってきた時にはまだ、魔術師と神官は帰ってきておらず。
ただし、定刻付近になれば、少し憔悴したその二人が戻ってくる。
『ほほう、先に帰っているなんてな。やはり奴隷種族には荷が勝ちすぎたか?』
息が荒くとも、人を嘲ることを止めない魔術師。
神官はその後ろでじっとしている。
「…私の、体調が悪くなったので。その、レンチェフさんが、撤退を提案して、くれたん、です。
命があってこそ、冒険者、ですから…」
フードのおかげで、彼女がミレーとは思われていない。
喧嘩が起こらないようにと、自身の発情の予兆を、体調不良だと誤魔化して。
隣のミレーの男にはもしかすると本当の理由がバレてしまうかもしれないが、そこは仕方がない。
少し息が荒い少女の姿と、男の姿を見て、ち、と舌打ちし。
その不穏な空気のまま、入ってきた入口に向かっていこう。
外には、馬車が一台、迎えに来ているはずだ。
■レンチェフ > 遺跡では優秀な斥候がいると安心できるほどに撤退は順調。
時間も十分にあれば気も抜くことが出来る。
少女がローブを着替える間は背を向けて念の為と警戒をしておくのは忘れないが。
少女が着替え終えたのを確認すれば合流場所へと。
しかし息が荒くなっていく様子に同族のある体質を思い出す。
久しく会っていなかった種族すら同じ同族に己の匂いが染みついたローブを渡せばどうなるか。
何も知らない人間二人なら騙せるだろうが…気を付けるとかと広間へと共に戻る。
確かどちらも奥行きはあったはずなのでまだ戻っていない魔術師と神官を待ち。
憔悴はしているが定刻付近に戻ってきたことにだけは感じんし。
顔を見るなりに己を嘲う魔術師、じっとしている神官を睨みつけ。
「こいつの言うとおりだ。調子の悪い奴に無理をさせる意味がねぇだろ。
素人みたいなこと言ってんじゃねえよ」
評価がある割に素人の様な事を言う魔術師に呆れたように返すが揉め事を起こすつもりはなく。
それよりも今は隣の少女の本当の理由、察したそれを二人にごまかすあの方が重要。
舌打ちをした魔術師と神官に先に行けと追いやる様に先導させ。
万が一の入り口からの風で少女からの匂いを知られないようにする。
そして外に出れば迎えの馬車が見え、二人が乗り込んだのを見掛からい。
「必要なら一晩だろうが二晩だろうが付き合うぞ」
少女にだけ聞こえるように囁いて馬車に先に乗れと促す。
■イルルゥ > 『は。体調管理もできない奴が冒険者とはな。フン、来た時と同じく、お前は端っこに行けよ』
男の言葉を受け、魔術師は言葉を返して。
神官は、疲れているのか何も言葉を発さず。
ただ、レンチェフの方には近寄らずに、馬車へと向かう。
「――――――――っ!」
追いやる様に先導させられた二人が馬車に乗り込んだ直後。
傍から見れば、何もしていないかのように見えるが。
耳の良い同族にだけ聞こえる声での囁きに、かぁ、と顔を熱くする少女。
その場で返事はせず…予定通り、馬車は王都へと帰り始め。
馬車の中、先ほどの男の言葉を意識してしまうと、胸の高鳴りは更に酷くなり。
頭がぼう、としてきてしまうが。
何とか、ローブではなく馬車内の空気や景色に意識を反らすことで耐えていた。
しかし王都に着き、後はギルドに寄って報酬と報告を行い、解散という場面。
馬車から最後に降りたところで。
「その…おねがい、します」
いくら意識を反らしていたとはいえ。
同族の逞しい雄の匂いにずっと晒されていた体は疼き始めてしまい。
そっと、同じように…男にしか聞こえない小さな声で囁いて。
報酬を受け取れば、怪しまれないように…少し道を変えて、男と同じ宿に向かうだろう――
ご案内:「無名遺跡」からイルルゥさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からレンチェフさんが去りました。