2020/01/21 のログ
ご案内:「無名遺跡」にイルルゥさんが現れました。
イルルゥ > 【お約束待ち合わせ】
ご案内:「無名遺跡」にレンチェフさんが現れました。
イルルゥ > 無名遺跡の一角。
入り組んだダンジョンとなっているそこは、とある研究のために調査されている遺跡だ。
冒険者に依頼を出し、遺跡内の魔物を討伐させ、古代の遺物を研究する――
そんなよくある流れに乗った、冒険者のパーティがあった。

この依頼は複数の魔物討伐が含まれるため、パーティが推奨されており。
その分、古代の遺物が確実にあるとされている遺跡の調査であるためか、報酬もそこそこに良い。
手配した馬車に乗り、突発的な…その場で募集されたパーティで、いざ遺跡に乗り込もうと。

「今日はよろしく。えーと、レンチェフさんと…」

そんな中、フードを被り、口元以外はほとんど見えない小柄な姿が友好的に和を作ろうとする。
自分と、大柄なミレー以外にも、魔術師と駆け出しの神官が居るが。
大柄とはいえ、迫害されているミレーが混ざっているからか、雰囲気が微妙に重い。

「この遺跡、魔物のランクもまちまちで予想が付かないみたい。だから、協力していきましょう?」

遺跡の中ではどんなトラブルがあるかわからない。
もしかすると、殺されるような目に会うことも考えられる。
だから気持ち明るく、声をかけて。少しでも場が和んだのなら、遺跡の中に入っていこう。

レンチェフ > 普段は単独依頼が多いが時折にパーティーとして参加する依頼が遺跡の探索。
遺跡内は大抵は魔物の巣窟になってる事も多くそれを討伐にはパーティー単位が効率的というものあり。

特に今回の依頼は複数の討伐が含まれる。
今回の遺跡廃物は確実いあるとされている明けに報酬も良い物。
偶々募集時にその場にいた為に募集に乗り遺跡へと乗り込む事となり。

「あぁ……よろしく頼む。そっちの二人もな」

募集に集まったのは4人。
己と小柄なフート姿の少女、魔術師に神官というメンバー。
普通ならば打ち合わせなどをするものだが正体を隠さない己のせいで空気が重いものになり。
少しでも場を和ませようとする少女に合わせて軽くだが挨拶をし。

「臨時とは言えパーティーだ。全員で生きて帰れる程度にはな?
先は頼んだ。二人は後ろだ、気を付けろ」

魔物だけで済まないのが遺跡の内部。
罠や倒壊などの危険も否定できないだけに協力は必至。
斥候役の少女に先頭を頼めば魔術師と神官には後ろを頼み少女に続いて遺跡へと足を踏み入れていく。
判っていると頷き少女と、あと二人に声をかけ。

イルルゥ > (うーん。空気が悪い…いや、依頼を達成する気はあるみたいなんだけど…)

大柄のミレー…レンチェフと名乗る前衛役が挨拶をしたけれど。
どうにも、軽く頷いたものの、人間の魔術師と神官の反応は薄い。
特に神官は嫌悪に近い目線を向けている。

(そういう場合じゃないんだけどなー…)

心の中でため息をつきながら、パーティを先導。
横道や不意打ち用の通路が無いかどうかも確かめつつ、先に進む。
警報魔法がある場所を教えて躱してもらい、危険な罠は解除する。
そうして、斥候として仕事をしていると。

遺跡内を進んだところで…天井も高く、道幅も広い通路に着く。
戦いやすいのはいいが、囲まれやすい場所だ。
と、不意に。

オオオオオオオオオオオ…!

身の竦むような、雄たけびがあがる。

「この声は…、レンチェフさん。ミノタウロスです。…私が頭を下げさせますから、一撃、お願いします。
二人は援護を!」

斥候の役目として、対処を具申した途端。
どすんどすん、と音を立てて、二足歩行し、頭に角を生やした牛魔物…ミノタウロスが現れる。
理性を持つ魔物も稀に居るには居るが、魔物とは大体、魔力に侵されておかしくなっている。
中級クラスの魔物だが、筋肉が分厚く、腕や胸に対する斬撃、打撃に対して耐性を持っている。
狙うなら頭だが、2mを超える巨躯であるため、中々攻撃が届かない。

「――――っ!」

だからこそ、頭を下げさせる必要があり。
小さな体躯は、言葉を告げた後疾駆し、ミノタウロスの足元に接近。
膝を狙って蹴りを打ち込む。
同時、魔力を浸透、破裂させ、相手の膝を砕いて。
そうなれば当然、ミノタウロスは崩れ落ちる。
その隙間を縫って脱出し。頭を垂れた相手へのとどめは任せよう。

レンチェフ > 募集でのパーティーではよくある事ではあるが人間他tの反応はよくない。
魔術師は兎も角、この先はどういう場所か判っていない神官の視線は嫌悪と言っていいもの。
そういう視線や雰囲気は馴染んだ同業者以外ではよくあるだけに気にもせず。

「お前だけが頼りなようだぞ」

先を歩く少女に後ろから声をかけ、確認の間は警戒し進めば後に続く。
魔法関連は魔術師が、罠は少女が解除しているの現状は安全に進めている。
だがそれでもいつ何が現れるか判らず、警戒は解かずにいて。

遺跡内を進めば広い通路に着けば魔物の数に気を付ければ戦いやすく引きやすい場所。
ここならば獲物を振り回すに問題はないと抜刀した直後。

「みたいだな。主ならいいがそうじゃないだろうな。
任せておけ、お前らは前に出るなよ」

少女の言葉に勇んで前に出ようとした神官を止めるように声を上げて前に。
少女の言葉の直後に通路の奥から現れるのは時折に遺跡で見かけるミノタウロス。
狭い場では戦いやすい相手ではあるは広いこの場では少々面倒。
理性もあり、ともかく頑丈な牛魔物を正面から打ち倒すのは骨なもの。
だが少女が頭を下げさせるというなら期待に応えるのは当然と獲物を担ぎあげ。

疾駆した少女の蹴りの一撃で膝を砕かれたミノタウロスが崩れ落ちれば突き進み。

「おらぁ!!」

低くなったその頭に必殺の一撃を叩き込み、頭に食い込んだ刀身を押し込むように体重をかけ。
断末魔の悲鳴と共に動かなくなったミノタウロスの頭に足をかけ振り返り。

「しょっぱなからこいつが出るからには予想よりも期待できそうだな」

他には来そうか?視線で3人に問う様に見返して獲物を引き抜く。

イルルゥ > いかな頑丈な皮膚を持っていようとも、その奥、肉や骨にまで衝撃が伝われば崩れるのは道理。
そこに大柄ミレーの必殺の一撃が振り下ろされ。血を吹き出し、叫びをあげながら魔物は絶命した。

「―――…、どうやら、群れではないみたいです。
主と決めつけるのも危ないですが。この程度なら問題なさそうですね
ただ、叫びが響いたので、何かがまた向かってくるかも…今は、気配はありません。」

もし、一撃で決めれなければ追撃を後ろの二人に行ってもらうつもりだったが。
余力を残したまま勝てるのは良い。
今は増援が来る様子は無いが、もしかすると来るかもしれないと注意を促し。
だが、そこで…男の魔術師が。

『は。やっぱり俺にはミレーとの連携は無理だな。この程度の魔物なら俺一人でやれるし。
ほれ、丁度良く道もわかれている。お前らも、二人で何とかなるだろう?、魔物を殲滅し、――刻後にここで集合でどうだ?』

『私も、その…ミレーの方は……』

耐えかねたのか、集合する時間を決めて、勝手にパーティを分けるという。
神官も、ノーシス主教を信仰しているためかミレーには懐疑的なようで。
確かに、冒険者ギルド内ではこの男の魔術師はそこそこに力量のある評価だが…

「……別れたくはないんですが。レンチェフさん、どうします?」

自分は反対だ。
こんな未調査の遺跡で別れたらどうなるかわからない。
だが、既に賛成が2人。覆すのは難しいが…一応、大柄なミレーに聞いてみよう。

レンチェフ > 「有言実行出来るやつがいるならこいつも楽だな」

獲物を引き抜き念の為と魔物に一撃蹴りを入れるが動く様子はなく視線を外し。
群れではないという言葉になら安心だと口元を緩める。

「今の連携がうまく行くなら後4,5匹は大丈夫だ。
なら早く移動すべきだな。わざわざ来るかもしれねえのを待つ理由もない」

無駄な力を使わずにデカブツをを倒せ、少なくとも少女とは連携が出来ると確認できただけでも収穫。
しかも後の油断も無いなら先も安心だ。そう考えた束の間で…。

魔術師と神官は己との連携は無理と言い出す始末。
更に遺跡での自殺行為と言えるパーティー分けを言い出す二人の評価を下げるには十分すぎる。

新米神官は兎も角、そこそこの評価がある魔術師の言葉は呆れるばかり。

「向こうが嫌がるなら別れるしかねぇだろ。時間までに来ねぇと置いてくからな」

反対の意見を出す少女に己としては賛成であるが。
もし反対しても賛成2の反対2、そうなるとどっちにしても別れるだろうと。
それに対しての押し問答で時価を使うなら別れるべきだとはっきりと言い切き分かれ道の片方へと歩きだす。

イルルゥ > 「…一撃が重い方が居ると助かりますが…。…はい」

少女とて、ある理由から人間を憎んではいるが。
それでも、心配にはなる。
ただ、このままここに居ては依頼も進まず、不和は深まるばかり。

大柄なミレーも、仕方なさそうに了承し、場は決してしまった。

「わかりました。では後で…叫びを上げてくれれば、多分聞こえますから…」

今度は明らかなため息をつきつつ、パーティを二つに分けて別の道へ。

「…ごめんなさい、私がもう少し気を遣えていれば…」

暗い道をカンテラで照らしつつ、申し訳なさそうに。
その場での募集であったため、不和をもたらしそうな組み合わせになったのは仕方ないが
その後も…例えば馬車内などで親交を深めれたのではないかと。
今のところ、魔物や危険な罠の気配はない。自分たち冒険者にとっては価値の無さそうな壁画などが通路を埋めているだけだ。

レンチェフ > 「その代わりに物探しは向かねぇよ。行くぞ」

人間に対しては思うことが全くない男。
相手から敵視し差別されればあえて無理にかかわろうともせず。
二人がそれで良いならと投げやりな感じも少しだけ見られるかもしれず。

少女が二人に緊急時の事を言ってはいるが、ここで別れるという二人が叫びをあげるとも思えず。

「なんでお前が謝る。十分にやってくれただろ」

申し訳なさそうにする少女にはむしろ己なりに気を使い。
この結果はある意味その場での募集でのパーティ―だからこその揉め事。
己がミレー族、その理由で親交を深めようとせず危険な判断をしたのはあの二人、少女は悪くはないと。

「……この絵、価値があると思うか?」

魔物や危険な罠がなければカンテラの明かりが頼りの暗い通路。
通路を埋める壁絵に時折に視線を向け、少女なら価値がわかるかもと口にする。

イルルゥ > 先ほどと同じように、しかし人数は半分になった状態で、少女が前を歩く。
時折少し立ち止まり、罠が無いかを確かめながら、通路を進み。

「ありがとうございます。…どうでしょう。私は研究には疎くて…」

男の問いに…軽く壁画に触れながら呟く。
抽象的な絵で何かと何かが戦っているようだが、やはりカンテラだけでは光量が足りない。
そもそも、全体がわかったとしても、自分には理解できないような気がする。

困ったように笑い声をあげながら、通路を進んでいくと。
カタカタカタカタ、と奇妙な音。
それは…相変わらず天井は高い物の、横幅は狭い通路の先から近づいてくるようで。

「次はスケルトン…でしょうか。お任せしても?」

スケルトンは、遺跡内でよく見る下級魔物だ。
死んだ人間の骨に古代の遺跡などの魔力が染みつき、動き出したものと言われている。
これが居るということはやはり、この遺跡は人を殺せる何かがあるということだ。

ただ、耐久力自体は大したこともない。
狭い通路だからこそ、スケルトンの集団は縦列でやってくる。
男の体格と獲物なら上から打ち下ろすようにすれば効果的に倒せるだろうと判断して。
するりと男の後ろに回ろうとする。
その拍子にちらりと。カンテラの灯りを照り返し、金と黒の混じった少女の髪がフードから漏れて。

レンチェフ > 少女が再び前を歩き、罠の有無を確かめる姿を見て。
斥候がこちらにいるのにあの二人は罠の確認はどうするつもりか、そんな事が頭によぎり。

「俺もこの性格だ、お前が居かねりゃ馬車でパーティーは終わってたよ。そうか……」

もし器量なものなら傷つけないようにする必要があり、そうでなければ気にしない。
その判断が欲しかったが疎いと聞けば気を遣うしかないと。
こういうものは魔術師が詳しかったかも知れないと今更に。

少女の笑い声に仕方がないな、そう笑ってしまい。
しかしその笑いも聞こえた奇妙な、硬いものが鳴るような音に消え。
次は何が来やがったと獲物を手に通路の先にを睨みつけ。

「骨なら砕いて終わりだ。任せておきな」

ミノタウロスに比べれば雑魚と言っていいスケルトン。
元は人間だったか同族だったかは判らないがそれなりな数に獰猛な笑みを浮かべ。

「念の為だ、後ろを警戒しときな」

スケルトンから一瞬だけ後ろに回ろうとした少女に視線を向け。
カンテラの灯りにフードから少女の髪が見えたように思えたが先ずは始末が先と視線を戻し。
少女と入れ替わりに前に、スケルトンの群れに突き進めば獲物を振り下ろし一体を粉砕。
それを皮切りに襲い掛かるスケルトンの攻撃を避け、または受けては傷を作りながら獲物を振り回し粉砕していき。

「一匹抜けたぞ!!」

ただ数が多いだけに完全には防ぎ倒しきれず、少女に向けて一体を通してしまう。

イルルゥ > 同じミレーとは、相手にはバレていないだろうけれど。
自然に、笑い声が漏れてしまう。
それは、ミレーでありながら強く生きる姿に少し、羨ましさを感じていたのかもしれない。

「はい、お願いします」

カンテラを腰に固定し、スケルトンの群れが砕かれる音を聞く。
ただ、雑魚とはいえ…余程この遺跡で以前に死者が出たのか、結構な数だ。
何か支援でもできたらいいのだが、あいにくとそういった魔法は使えず。
警戒して、待つことしかできず。

しかし、その警戒が一応は功を奏する。

「任せてください。この程度なら…!」

あれだけの数に集られて、一匹しか抜けてこないことから、男の大剣はこういった時に非常に有効であることが伺える。
それならば、抜けてきた一匹ぐらいは、こちらで倒さなければならない。

「――――っ!」

ミノタウロスの時と同じ要領。
乱雑に振り回される骨の手足を避け、最も魔力が集まっている頭を粉砕する。
ばらばらにするか、こうして急所を狙うことが、アンデッド系に対する常套手段だ。
神官が居れば強制的にその魔力を霧散させることもできただろうが、それは仕方ない。

「ふぅ。収まりましたね。……その、大丈夫ですか?」

そうして、男が切り漏らす僅かなスケルトンを少女は撃退し。
少しして、ようやく不気味な骨の音は全く聞こえなくなった。
いくらか傷を負ったらしい男を心配して、様子を見よう。

レンチェフ > 少女の正体を知らない己にとっては差別をしない貴重な仲間。
それが少女に対する感想、こうして笑いあえるのは貴重な事。

そんな仲間にこの程度の雑魚が手を出すなど許せるかとばかりに粉砕する。
支援があれば少しは楽だろうが魔術師も神官も居ない今は己の腕と肉体だけが頼り。
スケルトンが持つ鈍器や刃物に傷を負うが致命傷ではなければとあえて無視。

抜けた一体も即追いかけたがそれをすれば残りが一気に襲い掛かるのがわかるだけに追えずに警告を出すだけに。

「邪魔だ、どきやがれ!」

多少隙が大きくはなるが思い切り獲物を振り回してまとめて粉砕し。
少女に視線を向ければミノタウロスの時と同じ種だなのか頭を粉砕し倒す姿に安堵の息を吐き。

「さっきのデカブツに比べりゃ雑魚だ。この程度なら問題ねぇよ」

襲い掛かってきたスケルトンを粉砕してしまえば通路に響いていた不気味な音は聞こえなくなり。
多少の打撲や切り傷はあるが問題はないと軽く告げ、唯一深手と言える腕の傷にポーチからぼろ布を取り出し雑に巻き付けて。

イルルゥ > 「雑魚は雑魚でも、油断すると危ないです。
…毒の武器は無かったようですけど…体調が悪くなったらすぐ言ってくださいね」

盗賊などがスケルトンになった場合そんな武器を持っていることもある。
男の様子とちらりと見えた傷口から、毒は無さそうだったけれど。
心配しつつ、治療が終わればまた先に進もう。

依頼は…既に入口から少し離れたところまではマッピングされているこの遺跡の脅威排除だ。
目的地…ここまで魔物を倒して回ってくれれば依頼達成、という地点まではもう少しだ。

「と。少し待ってください。何か違和感が…」

再び前に出て、慎重に進む少女がぴたりと止まる。
男を制止するように腕を横に広げて。
何か、床に違和感があることを察知し、どんな罠か確かめようとするが…
その罠は、少し悪辣に仕掛けられており。
人の体重ほどの重さが加わる時には何も起こらないのだが。
罠を起動させないように慎重に触れた際に、発動する罠だった。

「っ!!!」

男は後ろに下がらせているため問題ないだろうが…何かが飛んでくる音がする。
その音を聞いた瞬間、頭を下げたのが幸運だった。
狭い通路の左右の壁…罠を調べていた少女を狙って、矢が勢いよく発射され。
咄嗟にしゃがんだ少女の、フードだけを射抜いて壁に突き刺さる。

「あ……、う……その、戻すまで、見ないでください…」

当然、フードは捲られ。
その中から一瞬、虎耳と、黒と金の髪が覗く。
それに気づいたのか、少女も声をあげて。
急いでフードから矢を外し、被り直す。
破れてしまったが、まだ暗い中なら隠せるだろう。
ただし、ミレーであることを知られてしまったかもしれない。
同族であるから、酷い迫害はされないだろうが、少しどきどきとしていて。

レンチェフ > 「どんな雑魚でも油断はしねぇよ。
……スケルトンにそんな知恵があるのか?」

スケルトンが元が人間だったり同族なのは知ってはいる。
だが生前が盗賊などではそう言う事があるという知識はなく。
少女の言葉に傷のある腕を動かし問題がない事を確認する。

ここまでにデカブツにスケルトンの群れを排除はしたが目的地はあと少し先。
この先で魔物を倒せば終わりなのだからこの程度の怪我なら持つだろうと。

「罠か?魔物か?」

再び前を歩く少女が止まり制止をかければ足を止め。
魔物ではなく罠、床に設置されているのかと見れば数歩下がり。
どんな罠か判らないだけに少女に任せるしかなく、何かあれば動けるようにだけはして見守り。

「っ!あぶね…!」

罠を調べていた少女が失敗したか、下がった己が掛かったかは判らない。
だが聞こえる何かが飛んでくる音はある意味馴染みがあるもの。
それを大剣で払おうとするが矢の精確な飛来位置がわからずそれが出来ず。

「無事か!」

フードを射抜いた矢に思わず声を荒げるが壁に突き刺さった矢を見て避けれたかと。
壁の矢を見て少女に視線を戻し。

「……仲間かよ……ったく」

捲れたフードから覗いたトラ耳に黒と金の髪。
お仲間でしかも同族と判ればフードを取らなかった理由も判るもの。
慌ててフードをかぶり直してはいるが外に出れば隠しきれないフードの破損、二人と別れて正解だったなと。

「合流前に俺のローブをやる。それで隠せ、いいな」

隠していた事をどうと言う事はなく、むしろ隠さない己がどうかしているのだ。
むしろ同族と判れば変に気を張る必要がなくなったと笑みを浮かべ。

イルルゥ > 盗賊に変わったスケルトンの話をして。
罠を何とか避ければ…恥ずかしそうにくしくし、とフードを掻く。

「あ、あはは…ありがとうございます…、ありがたい、です。
それに、その、レンチェフさんだけで良かった…かな…」

確かにあちらに行った二人は、少女にとっては心配だけれど。
この状況になることを考えれば、都合が良かった。
厚手のローブを弄りつつ、困ったように笑い。

「…悪質なトラップでしたね。耳が良くて良かったです」

矢が空気を裂いて進む音を察知できていなければ、頭を撃ち抜かれていただろう。
フードだけで済んだのは幸いだった。
そう誤魔化しながら、先に進んでいこう。

「ここ…ですね。マッパーの方が書いた地図によれば。
……あれ、明らかにガーディアンですよね。依頼内容に書いてなかったですけど…」

狭い通路を抜けた先は、また広間。
そこに居たのは、寸胴の人形のような姿。
ガーディアンと呼ばれる金属の身体を魔法で動かす魔物の一種だ。
特定のエリアで命令を受け、侵入者を撃退する役目を持つ。
剣も魔法も一応は通るものの、防御力はミノタウロスの比ではなく。
金属の身体による攻撃は重い。
攻撃自体は単調であるものの、中々の難敵だ。

「…ここで帰っちゃうと、研究はできないでしょうし、何とかするしか…」

広間の入り口から様子を伺いつつ、どうしようかと悩んでいる。

レンチェフ > 話を聞けば、あの中に盗賊のスケルトンが居ない幸運に珍しく感謝し。
罠は発動したが少女が無事なら些細だと安堵の息を吐く。

「ばれると面倒になるだろ。仲間を困らせる趣味はないんでな。
今だけは本当にそうだな……」

あの二人が居ればミレー族が二人ということに更に空気は悪く、最悪は黙っていた少女を攻め立てる恐れまである。
それを思えばいない事は非常に都合がいい。
困ったように笑う少女に、よかったなというように笑い」

「調べれば発動か、俺やお前じゃなければ今頃な」

少女でなければ今頃は死亡1という結果だった。
耳の良さに救われたなと少女のごまかしに頷き、先ほどよりも警戒をして後に続き。

「ならここが終着点か。
……居なかったか、後から沸いたか?」

通路を抜ければ広間にと着き。
そこに居座る寸胴の人型、少女が言うにはガーディアンという魔物。
初見の魔物なので行動パターンは読めないが問題はその素材。
金属の身体を持つだけに攻防共に隙は無いのが見て取れる。

「奴も依頼の一部だ。だが問題はだ……アレは魔術師がいねぇとどうにもならんぞ」

ガーディアンは己とは相性が悪いのは直ぐに見て取れ。
あの金属の身体は砕く前に己の剣が砕けるのが早いのは簡単に分かる事。
魔術師も居ない今、排除する手はあるかと少女と後ろから問いかけて。

イルルゥ > 隣に居たのがミレー族であったことは幸運だった。
しかしその幸運を打ち消すような難敵が、置物のように広間に鎮座している。
簡単に、知る限りの攻撃方法などを伝えつつ。
どれも、その金属の身体を利用した、単純な攻撃ばかりではある。
後は、体のどこか…大抵は中心にコアがあり、そこを壊せば機能停止することを伝えて。

「経緯はわかりません…。ですが、ええと…あれは防衛しているエリアに何かが入り込まなければただの置物です。
なので、ここで撤退して…報酬は少し減るでしょうけど、あれが居ることをギルドに伝えるのはどうでしょう。
その…あの二人に協力を要請しても、連携してもらえるとは思えませんし…」

少女の側も、有効な手段があるわけではない。
ガーディアンは動きが鈍重であるため、戦い続けることはできるだろう。
しかし、それではどちらも有効打がない千日手となってしまう。
それならば一度撤退して、自分たちの身の安全を確保する方がいいだろうと。

依頼人の研究者たちとしては二度手間になるが。
そんなことよりも、自分たちの安全を優先しようという提案。
男が依頼を遂行するというのなら、手伝うつもりではあるが…