2019/12/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にメルトスラッグさんが現れました。
メルトスラッグ > ――…無名遺跡

その中でも比較的難易度が低いといわれている迷宮がひとつ。
迷宮らしい迷宮と表現すべきか、天然の岩山を刳り貫いて出来たような極シンプルなダンジョンである。

数多の人間達が踏破し攻略した証として、今はダンジョン自体が管理されて、ひよっ子冒険者や冒険者の真似事をしてみたい貴族やダンジョンの気分を味わいたいだけの一般人にでさえ開放され、入り口には常に中級冒険者がキャンプを張りギルドの指示で万が一の為に行動できるように住み込みで管理している。

そんな人間の管理下にあるダンジョンであるが1歩踏み込めば独特の空気や雰囲気を味わえ、時折自然と湧くモンスターは誰でも勝てるように冒険者たちの手により洞窟内は結界の魔法が張られモンスターは弱体化している。

冒険者の中にはこの弱体化結界の管理やほころびが無いかの確認を行う仕事すら発生しクエストとしてこなしている者もいる。

――…しかし、例外がない例外なんてものは存在しない。

結界の穴と呼ぶか綻びと呼ぶかは其処に落ちた者か結界のメンテナンスに来た人間が決めればよい、が……あるのだ文字通りの穴が。

迷宮の入り口を入り込んで暫く歩いたところ。
入り口近いから大丈夫だろうと慢心した人間が生み出した死角。
点々と松明が壁に設置されたその通路の真ん中ではなく、通夜の端の方にあるのだ「落とし穴」が。

それもだ。
松明と松明の間で丁度薄暗い闇に包まれたところに、天然の岩を磨いて作ったようなツルツルの床に人間が両手を広げても足りぬ程の広い口の落とし穴があり、その穴の壁面は通路と同じ様にツルツルと引っ掛かりどころか傷一つ無い滑らかな表面、つまりは落ちるに容易く昇るに難しい。

更に不幸な事に深さ4~5mの穴の底は初心者殺しとも冒険者泣かせとも呼ばれる巨大なナメクジが横たわっている。
おかげで落ちて怪我をする事は無いが、間違いなく怪我をする方がましという運命がまっているのであった。