2019/11/19 のログ
ご案内:「無名遺跡」にプリシラさんが現れました。
プリシラ > ぽう―――――と燈る青白い光球をしるべに、しばらく歩いていたけれど。
あちらこちらで枝分かれした細い通路の途中、やや道幅の広がったところで、
いったん足を止めてみることにした。
魔力で点した光球は、己の頭上でふよりと制止する。
ある意味、光る迷子札と言えなくもなかったが―――――

「おかしい、です……皆さん、どこに行ってしまった、の、でしょう……」

呟いて、深い溜め息を吐く。
傍らの壁にそっと背中を預け、己が辿ってきた、と思しき方向と、
これから向かおうと思っていた方向を、何度か見比べて眉根を寄せ。

「皆さん、ちゃんとついて来て下さってると思ってたのに……
 やっぱり、しんがりを務めるべき、だったのでは」

つい先日、最後尾についていて、まんまと迷ったばかりの身。
パーティの面々がここに居れば、どっちでも一緒だろ、というツッコミが、
盛大に炸裂しそうな場面である。

しん、と静まり返った通路には、誰の足音も聞こえない。
どこではぐれてしまったのか、それとも何か、不測の事態が起こったのか。
―――――頭上に光る玉を浮かばせた不用心さにも気づかず、己は思案げに首を傾げていた。

プリシラ > 「―――――あ」

ふわ、と、通路の奥から光球がひとつ、こちらへ漂ってくる。
己が操るのとは違う、仄かに赤味を帯びた色は、確かパーティの魔術師が使うものと同じ。
ふよふよと己の眼前で揺れ、ついて来い、と言わんばかりに現れた方へ戻り始める光球に、
慌ててロッドを持ち直し、身を起こして歩き出した。

無事パーティの面々と再会し、ドジだ方向音痴だと散々笑われるのは、
もう、ほんの少し先の話であろう―――――。

ご案内:「無名遺跡」からプリシラさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にファントムハンドさんが現れました。
ファントムハンド > ――其処は一見行き止まりに見える通路の果てである。
だがその先から少しだけ生臭い風が吹き込んでくる。

無名遺跡の中にある迷宮。
その石造りの迷宮の中ほどに存在する通路。
魔物に追い立てられたか者の物か、はたまた探索の最中迷子になった者の物か、
袋小路見えるそんな通路の石畳の床にはドロか砂かで誰かしらが入り込んだ足跡がある。

そんな行き止まりに見える通路には壁に括られた松明の照らす明かりの加減でわかり辛いが人が一人通れるほどの隙間があった。

隙間を覗けばその先から少し生臭い香りの風が吹き込むのを感じれる、
覗き込めばその向こう側には何かぼんやりと明るいものさえ見える。
人を誘いこむように見えて、誰にも入れないような微妙な広さの隙間になっている。

――誰が見ても怪しい隙間、狭い通路でもあった。

もし通ろうとするならば身体を横向きにして入るほか無い。

石畳を良く観察すれば足跡は狭い通路に向う足跡、
狭い通路から引き返そうとする足跡はあるが、
狭い通路?から外に向う足跡は一切ないのである。

それでも此処にたどり着いたものは迷い込んだものは
狭い通路を通ろうとするならば無名遺跡らしい罠に歓待される事になる。

その名はファントムハンド。
狭い通路や宝箱のある小部屋などに設置される魔法生物型のトラップである。

ファントムハンド > モンスターにすら通るのは難しい亀裂から続く狭い通路。
向こう側からは生臭い香り、獣香りとも感じ取れるかもしれないし、
沼地の香りとも感じ取れるような香り。
狭い通路の床は石畳に薄らと砂埃が積もり足跡は容易く残り、
通路を形成する壁は擦り合わせ続けたようなつるりとした表面で引っ掛かりはない。

壁と壁との狭間。
其処に目を凝らせば通路の奥の輝き以外にも薄らと見えるものがあるかもしれない……ファントムハンドの姿が。

狭い壁から伸びる無数の手は侵入者を待ちわびて、
その柔らかく冷たい指先をくねくねとうねらせている。

その度にぺちゃとかぴちゃとか何か水分が飛び散る音がする。

それもまた罠の一つである。
より奥に奥に侵入者を招く潤滑油。
ただそれが乾くと前にも後ろにも進み辛くなる。

そうなると……侵入者は籠の中の鳥となろう。