2019/10/23 のログ
■焔 > 「―――――あらぁ?」
決意を決めて数歩、足を止める女、その視線は自分の足元へと向けられている。
石畳に小さな違和感を感じるのだ、その違和感の正体には直ぐにたどり着いて、笑みを浮かべて見せるのだ。
確認するように一度しゃがんでみれば、確かにある。
――trap――
「ふふ、どぉんな、罠ですかぁ?」
間延びした女の声は問いかけるようにして、立ち上がる。
そして、右の足をそっと延ばして。
ガコン
鉄板を仕込んだ靴のつま先で踏み込めば、そのまま女はのけ反ってトンボを切る。
女の顔が有ったあたりに、左手から幾つもの矢が飛んで反対側のスリットへと消えていく。
あれは何回も使える―――恐らく飛んで行った先で回収し、又飛んでくるタイプの罠、なのだろう。
先ずは一個目ねぇ、と、地図を取り出し、罠の仕掛けを書き込んでいく。
■焔 > 「こぉんな感じで、行けば、良いのねぇ」
うん、愉しいわ、女は月の様な笑みを浮かべてもう一度罠のスイッチを踏み込む。
先程見たのと同じように罠が作動し、やはり繰り返し系ね、と認識するのだ。
それが終われば、次に行きましょうか、と視線を動かす。
そして、そのまま遺跡の闇の中へと消えていくのだった。
ご案内:「無名遺跡」から焔さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にファントムハンドさんが現れました。
■ファントムハンド > 「テレポーター」無名遺跡で見かける事が多い罠。
魔法陣かはたまた壁か宝箱か、無用心に触れると発動する典型的な罠である。
それは罠に触れた犠牲者を罠を設置した者が望んだ場所へと転移させる罠なのだが、その中の一つに更なる罠のある場所へと落す「テレポーター」が紛れ込んでいた。
転移先は密室。
狭くも広くも無い部屋。
部屋の中央には宝箱があるが、逆に言えばそれしかない部屋。
脱出を試みるのであれば天井を見上げると、其処にはポッカリと穴が空き、空から注ぐ月の輝きが宝箱をスポットライトのように照らしている。
さてその唯一外界に通じる天井の穴であるが、床から高さを数えて4m程。
宝箱が大きめなもので踏み台にしてジャンプするかしてもギリギリ届かないような高さである。
手持ちにフック付きロープなどがあれば脱出は可能ではある。
だが罠である、この部屋自体が罠となり室内には天井から注ぐ月明かりだけでは見づらい是もまたよく見かけられる罠「ファントムハンド」が設置されている。
誰かが罠を踏み部屋へ招かれればそれは犠牲者を無名遺跡を徘徊するモンスターを産ませる装置に仕立て上げようと群がるだろう、激しく抵抗をするならば部屋の壁の一部に引きずり込み、更なる危険な場所へと犠牲者を招こう。
■ファントムハンド > 不幸にもテレポーターを踏みしめて転移した冒険者が、月明かりのスポットライトに照らされた宝箱を見て何を思うか。
その箱は普通の箱よりも人が入り込めるほどに大きく、確りと装飾された宝箱らしい宝箱である。
運が良い、と思って開けるのか。
転移で体調不良を起こして寄りかかって休むのか座るのか。
宝箱を取り囲むように空中に張り巡らされる細かな埃のようにも見える侵入者探知の粒子。
そして粒子に僅かでも触れるなら、空中には無数の輝く光で描かれた魔法陣が展開され、其処から透明なる手が現れるだろう。
だが、粒子に触れなければ月明かり降り注ぐ中で浮遊する埃がまった汚らしい部屋のままである。
罠は静かに冒険者の到来を待つ。
若しかしたら冒険者以外かもしれない、がそれでも罠は役目を果たすため製作者が下した命令を実行するために来訪者を選別し、創造主の望むとおりに動くだろう。