2019/07/30 のログ
> 静かな遺跡の中は、生きている者の気配はなく、死者の念もまた無いものだ。
只々、静寂の中、生きている女が一人歩く音が響くだけなのである。

「ここもまた、ある意味の墓場、なのかしらね。」

女は遺跡の中を進みながら、小さく呟く。
それに応えるような人は誰もいない。

別に質問の答えを待っているわけでもないから、女はさらに進む。
タカラは、在ればいいけれど、なくてもかまわない。
危険を望んでいるわけでもない、ただ、この、わくわく感が、良いの、と女は嘯いた。

> コツ、コツ、と進んでいた足が止まる。
死せる都、自分の対面の方から誰かが歩いてくる音がするのだ。
女は、少しだけ腰を落として見守る。

他の冒険者なのか。
それとも、此処に住まう存在『死体』なのか。
どちらにせよ、警戒はしなければなるまい。
何が来るのだろう、女は笑みを持って相対することになる。

> それは、やはりと言えばやはり、なのだろう。
カンテラの明かりに映し出され始めたのは、所々敗れた鎧に服装。
折れた武器をもつ、ぐずぐずに崩れた顔。
元冒険者―――否もと、生者と言う所。
死んだ人間が、何らかの方法でよみがえった存在であった。

アンデッドであり、つまりは、敵で。
それは数は少ないので、斃して進むことにしよう。
闇の色のナイフを女は引き抜いて。

そして、死体に駆け寄って、暗転する――――。

ご案内:「無名遺跡」からさんが去りました。