2019/07/30 のログ
■焔 > 静かな遺跡の中は、生きている者の気配はなく、死者の念もまた無いものだ。
只々、静寂の中、生きている女が一人歩く音が響くだけなのである。
「ここもまた、ある意味の墓場、なのかしらね。」
女は遺跡の中を進みながら、小さく呟く。
それに応えるような人は誰もいない。
別に質問の答えを待っているわけでもないから、女はさらに進む。
タカラは、在ればいいけれど、なくてもかまわない。
危険を望んでいるわけでもない、ただ、この、わくわく感が、良いの、と女は嘯いた。
■焔 > コツ、コツ、と進んでいた足が止まる。
死せる都、自分の対面の方から誰かが歩いてくる音がするのだ。
女は、少しだけ腰を落として見守る。
他の冒険者なのか。
それとも、此処に住まう存在『死体』なのか。
どちらにせよ、警戒はしなければなるまい。
何が来るのだろう、女は笑みを持って相対することになる。
■焔 > それは、やはりと言えばやはり、なのだろう。
カンテラの明かりに映し出され始めたのは、所々敗れた鎧に服装。
折れた武器をもつ、ぐずぐずに崩れた顔。
元冒険者―――否もと、生者と言う所。
死んだ人間が、何らかの方法でよみがえった存在であった。
アンデッドであり、つまりは、敵で。
それは数は少ないので、斃して進むことにしよう。
闇の色のナイフを女は引き抜いて。
そして、死体に駆け寄って、暗転する――――。
ご案内:「無名遺跡」から焔さんが去りました。