2019/03/02 のログ
魔晶蟲 > 進化の辿り着く先は魔力を動力にした飛行ユニットになる蛾か蝶か、それとも攻撃に特化した蜂となるか、それは装着者との相性にもよるだろう、キャタピター……芋虫型の魔晶蟲は装着者を求めて彷徨う、進むたびにギゃリギャリと耳障りな音を奏で、鬼火の如く輝く眼の残光が魔晶蟲の軌道をなぞり、遺跡の通路を照らす。

蟲が望むのは身体が丈夫な者に限らない。

身体が弱くても知性があればその身体を補助して助けるのも役目であるし、どちらも欠けていても、どちらも補い、その体内から肉体を装着に耐えうる身体に変えればいいだけだと、魔晶蟲はそう創られている。

ギャリ、ギャリ、ギャリ

生身の蟲より重たい身体が細かな石を踏み砕き。
水溜りもものともせずに只管に這い進む、その体内に内包した魔力が尽きて仮死状態になるまで、まだ十分に蓄えはある。

しかし、時間が経つにつれて生物で言う餓えた状態になるのは間違いなく、魔晶蟲は闇を見通す眼でセンサーでもある身体全体で獲物を探り、見つけようと時折身体を左右に揺らして、周囲を伺うような様子を見せた。

魔晶蟲 > 遺跡の中を暫く彷徨い続けた蟲であったが、体内の魔力が次第に枯渇に近づいてきたのか、動きが緩慢になり次第に動かなくなり仮死状態へとおちる。

だがそれは死ではなく眠り。
魔力が完全にゼロにならなければ体内で魔力を増幅させ、獲物が近づいてくるのを待つように遺跡の罠の一つとなって、冒険者を待ち続ける……。

ご案内:「無名遺跡」から魔晶蟲さんが去りました。