2019/02/11 のログ
ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」にジンライさんが現れました。
ジンライ > 「…また来るたァ思って無かったわ…」

山脈が平地と交わる辺り、ぽっかりと空いている遺跡への入口に立って、誰に聞かせるでもなくこぼす男がひとり。
周囲は山脈を取り巻く森、というより雑木林で、丁度この遺跡への入口が街道から隠れる程度のものだった。
この『入口』も、どちらかというと遺跡の回廊の壁が一部崩れた様なもので、こんなものが付近には点在しているというというが…

「……まァ、『遺跡』ってェなら良い方か」

少なくとも『ヒト』の規格に合わせて作られている。天然の洞窟に潜ってこい、なんて言われるよりは余程マシ、なような気がする。
天然ものだと厄介だ。前に進むには骨を無くさないと駄目だとか、背丈が12尺くらい無ければ進めなさそうだとか、色々ある。
まあその分『ヒト』の規格に合わせた罠やらがあるわけだが…

男は別に調査員でも好奇心旺盛な人間というわけでもない。
ひとつ前の博打で負けて、遺跡に潜って「とある鉱物」を取ってくる羽目になっただけだ。
今回は「男が生きて帰って来れるか」が賭けの対象になっている。
当然だが、男は自分が生きて居る方に賭けている……が、倍率は8:2くらいだ。
…どちらの倍率が2なのかは言わずもがな

ジンライ > 時刻はまだ正午前、背の高い木々のせいで薄暗い雑木林からはギィギィと何だか不吉なような鳥の声が飛び交っている。
後頭部を引っ掻いてため息をつき、実にダルそうに遺跡の入口から首だけ突っ込んで中を覗いた。……当然と言えば当然、中は真っ暗だ。

「……ヤベ、明かり忘れたわ」

中を見回して思わず口に出す。めんどくせぇな。戻るのも、進むのもだ…

ジンライ > (…まァ行けるだけ行ってみッか)

実にゆっくりとした動作で後頭部を引っ掻き、遺跡の回廊らしき中へ踏み入れる。元々は石畳の床だったようだが、外からの浸食に泥砂が混じって、雪駄の下でざりり、とこすれる音がした。

奥へは男の足で数歩の所で壁、回廊自体は左右のみ続いているようで、どちらもゆるくカーブを描いてその先が見えない。

ジンライ > (とりあえず…)

何となく左へと足を進める。用心深く、というよりは実に面倒くさそうに、雑な歩き方だ。見通しが悪くなったら流石に一度明かりを取りに帰らなければ、と思っているので当然と言えば当然だった。
ざりざりと砂の擦れる音が回廊に響く。

未練がましく「一寸先は闇」という所まで進んでみて、腕組みをしてため息をついた。

「…やッぱ、ねェよなァ……」

まじないとかそんなので進むと付く明かりとか都合のいいモンがあるんじゃねーか、なんて少し期待していたわけだ…

ジンライ > と、その声に反応したように回廊の天井に薄明りが灯った。
思わず見上げれば、天井に敷き詰められている石がところどころで光を放っている。

「お?」

漏らした声で更に明かりが増える。
やった、…と思う反面このまま進まねばならないことを思い出してまた面倒くさくなってきた。

「ってェか声出さねえと点かねーてェと…歌いながら進め、とかってエことかよ?」

言いながら取り敢えず足は進めていく。
訊いてきた話だと、半日くらい潜っていれば辿り着けるところにあるという事だったから、急いだ方が良い。

ジンライ > その後も独り言を盛大に呟きつつ、その声で色んなものを呼び寄せつつ遺跡へ独り潜っていった。


…無事首尾を果たして街へと戻った後、件の「とある鉱物」が実はどこでも二束三文で手に入る類であったことを聴き、男は一気に老けた気がしたという…

ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」からジンライさんが去りました。