2018/08/04 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアークデーモンさんが現れました。
アークデーモン > 高い天井と広い空間の伽藍。
一見の印象はそういう空間だ。
床は磨き上げられた白い何かであからさまな魔法陣が描かれている。
四方に、蝋燭が灯り薄明かりを提供しているが、明らかに普通の蝋燭で照らせる範囲ではない。
天井の構造は闇に飲まれ詳細がはっきりしないが、透き通ったステンドグラスから光が射すのは見える。

「…何かと思って顔を出せば。つまらん」

その魔法陣の中央に青年が佇んでいた。貴族らしいマントにローブ。
頭からは二本の角が生え、顔色は白い。
白皙の顔立ちは整っている、と言っていいが生気に欠ける。
その顔を四方へ興味深げに見やるが眉は下がり、芳しくないのを隠そうとしない。

「昨今見ない、旧い召喚術式と思って来たがこれは当然か」

足元の魔法陣を一瞥し落胆の呟きをこぼした。

この迷宮を攻略する者達からは『召喚の間』と呼ばれ恐れられるトラップ部屋だった。
誰かが足を踏み入れると魔法陣に貯蓄された魔力を無作為に消費して応じたモンスターを召喚する。
部屋には逃げる為の一切の通路もなく、戦うに十分な広い空間しかない。
どんなモンスターが出ても真剣戦闘を強制される、運試しとも言える部屋だった。

ご案内:「無名遺跡」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

最近探索できてない、と、気付いてしまった今日この頃。
このままでは本職がトレジャーハンターからヒーラーになってしまう。
そこで久々に、まだ行ったことのない遺跡に入ってはみたものの。

「……やらかした…」

久々に盛大に罠にかかった気がする。
傍らに鬼火を侍らせたままに困り顔で呟く。

…しかし、偶然とは恐ろしいものだ。
この気配の感じ、既視感…あの、泉の。

「久方ぶり、なぁんて。
…私を喰べにきたのかしら?」

念のために鉄線を握り締めたまま問おうか。

アークデーモン > 半眼に目を伏せ、静寂に思索を歩ませる表情。
暫し佇み、そうしていて次に零した言葉は少々乱暴だった。

「…この罠を壊してしまうのも忍びない。ヘルハウンドの大群でも詰めて…?」

伽藍の中がにわかに活気づいた。眼にも耳にも無い気配の挙動。

「おや?」

このトラップ部屋を踏んだ者が居るようだった。
僅かに上げて確認した顔が僅かに緩んだのは。

「ふむ。侵入者か。仕方ない、役不足とはいえ自らの撒いた種。自らで刈るとしようか」

そう呟くと何処か愉しげに片手を振り上げるとズルリ、と炎が蛇のように宙へ踊り出る。
部屋が外部からの侵入を防ぐ結界を起動させるのを確認して笑った。

「何処の誰ぞは知らぬが、この部屋からは逃れられぬぞ!」

迷宮の一角から二つの存在は隔離された。

「………?」

大仰なセリフを吐いた後に僅かに眉をひそめ、首を傾いだのを最後に。

ご案内:「無名遺跡」から紅月さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からアークデーモンさんが去りました。