2018/05/21 のログ
ご案内:「無名遺跡」にセレーナさんが現れました。
セレーナ > [待ち合わせ待機中]
ご案内:「無名遺跡」にバルジリスさんが現れました。
バルジリス > ある日。ダンジョンに挑むとセレーナから言われたバルジリス。
微妙に心配だったため、そのダンジョンを下調べしたのだが……
そのダンジョン、妊婦のセレーナにはきつくは無いか?なんて思った妻馬鹿は。

「俺も行くぜ」

と言って譲らず、今日、そのダンジョンに先に来ていたのだ。

「さぁて……サーベルは持った。念のためのマジックアイテムも持ったし……お昼ごはんのサンドイッチも。あとは、セレーナ待ちかぁ……」

そう呟き、少し遅れてくるはずの妻を待って、大きめの岩の上に座りながら、念には念をのために連れてきた、蛇たちと雑談しようか……

「しっかし、セレーナももう少し自分を大切にしてくれねぇと……触手とか、淫獣とかが心配だし…もう、一人の体じゃねぇんだし…って、おいウンザリした顔すんなよ。まだ57回目だろ」

そんなことを、表情があればウンザリしているだろう蛇たちと話して…

セレーナ > 日々の糧を得る。それイコールとても大事。
少女のお仕事は冒険者。なので、冒険もお仕事なのですが。

「……むぅ」

待ち合わせ場所に指定したダンジョンの前まで来た少女は、若干不服そうな表情。
その原因は、先に来ていた夫である。

「前から思ってましたけど、バルちゃんは私の実力を過小評価してませんか」

蛇たちと作戦会議していた夫に、後ろから声をかけるが。
途中、聞こえた声。触手、だとか。淫獣、とか聞こえれば。

「……」

視線反らし、汗を流す少女。痛いところを突かれている。
というか、まさに最近その手の存在に襲われまくっている今日この頃。
夫の心配はありがたくも、ちょっと過保護が過ぎると思いつつ。
そういった女性を襲う存在に見事襲われ絶頂繰り返した身としては反論できず、である。

バルジリス > 後ろから妻の声が聞こえれば、ふっと笑い振り返って……

「あぁ?そんなことねぇよ、セレーナ。俺ほどテメェを評価してる奴はいねぇぜ?」

何て言おうか。そして、冷や汗を流しながら目線を逸らされれば……
少々にぶちんな蛇にも、何かあったなと伝わって。
サングラスの下で苦笑しながら。

「……まあ、よ。冒険者になること許してる俺が言うのもなんだけどよ…
あんまし危ない目に合うようだったら、何て言うか……」

閉じ込めちまうぞ?何て本気で言おうかと思ったが、それは……セレーナの未来を考えるに、よろしくはない。なので……

「蛇に四六時中監視させるぜぇ?……なんてな。」

そう、冗談めかして言おうか。まあ、こっそり後でセレーナ監視用に蛇を…なんて本気で考えてはいる当り、妻馬鹿である。

「ま、そこらへんは家に帰ったらじっくり話そうぜ……俺以外じゃ満足できなくなるまで……な」

そう、ニヤリと笑い言った後。

「さーて、じゃあ、この遺跡の調査だったな。行こうぜ」

そう言って、セレーナの背中をポム。と掌で叩こうか……

セレーナ > 微笑みながら振り返る愛しい人。
その声と笑顔は少女の心を酷く落ち着かせる。

「そうですかね。だったらいいですけど~」

夫の言葉に、ふてくされたような演技をする少女。
しかし、相手の様子を見れば、バツの悪そうな表情になる。
更に念を押されるように言われれば……。

「……そ、それは困る、かな~、なんて」

監視なんてされたらひっじょーにマズイ状況なのだ。
何せ、少女は今日夫に相談したいこともあって。
それを監視されてバレたりしたらマズいことこの上なしである。

「う、うぅ……は、はい。分かりました」

このタイミングではまずいな、と思い。少女は一度話を切る。
タイミングを見極めねば、と考えつつ。
相手と一緒にダンジョンに入る。

「はい。このダンジョンは調査しまくっても調査しきれないらしいですから」

ふんす、と鼻息荒く、気合を入れる少女。
夫との冒険。考えてみればはじめてかもしれない。
ちょっと、いやかなり楽しみだ。

バルジリス > 「……?」

なんか、様子がおかしいな?とは感じる当り、何時もセレーナを見ているだけはある。
まあ、セインだったころも言ったが……

「安心しな。誰かのペットになったとか、俺以外のガキを生みたくなったとか…
そんなレベルじゃねぇ限り、テメェを縛ることはねぇよ」

そうやって笑いながら、ダンジョンに入る。さあ……バルジリス・セレーナ夫婦を待ち受ける運命は……?
[1d10→2=2]
バルジリス > 2・キングモフルム出現!倒して毛皮を剥ぐもよし、もふり倒すのもよし…ただし、キングモフルムは魔術が使えるぞ!
バルジリス > 遺跡に入ってすぐ、少し大きめの部屋に到着した。どうやら、奥に行くにはこの部屋を通るようだ……が、扉の前に、人間大のモフモフ毛玉が鎮座していて。
『もっふっふ~』
「こいつ……モフルムか?やけにでけぇけど」

そう呟いて……

「こいつの小さいバージョンをアルシャ様が飼ってるんだが……木の実とか食う、大人しい奴だ。ただ、毛皮が高く売れるらしいが…どうする?」

そう聞きながら、そのキングモフルムのお腹をモフモフ……すばらしい手触りだ。

「うーん、子供のベッドにこいつの毛皮、つか……」

「使うか?」なんて言おうとしたら、
『モフルムファイアー』ドーン!

上空から、一筋の火の玉が振ってきて、バルジリスの頭上へ…
「うおぉぉぉ!」
間一髪回避するが……ほんの少し、かすった髪が焦げたかも…

セレーナ > 何でもこの遺跡、入るたびに内部も違うらしく。
少女としてはお宝ゲットを期待しているのだが……。
さてさて最初の部屋。

「……か、可愛い~……」

部屋に鎮座してるデカ毛玉を見て、棒読みで一言口にする少女。
可愛いのは確かなのだが、あまりにもでかい。

「へぇ~。ちっちゃいと可愛いと思いますけどね。
 ……う~ん。毛皮、ってことは……」

夫の言葉に、少女は考え込む。毛皮を刈るということは。
このもふもふちゃんと戦闘するってことで。

「ねぇバルちゃん。辞めておこ……」

うよ。そう言おうとしたら。目の前でモフモフが怒って火炎呪文を発動していた。
夫、緊急回避。壁に直撃する火炎。慌てる夫。焦げ臭い匂い。

「うわぁ、怖~い……。
 よしよし、大丈夫だよ。キミを狩ったりなんてしないから」

髪が焦げた夫は一度無視し、モフルムをモフる少女。
モフりながら、落ち着くように話しかける。
なかなかの手触り。毛皮が高く売れるというのも納得だが。

「バルちゃん。やっぱり辞めよう。
 この子悪いモンスターじゃないんでしょ?
 モンスターを私利私欲の為に狩るなんて。
 ……『私たち』はしちゃいけない」

バルジリス > 「あちぃ……ったく」

少し焦げた髪の毛をチリチリと撫でながら……
妻、セレーナが言う言葉。それには……正直、同意する。
この何の罪もない生き物を……殺すことは、あまりにもひどいことだ。

「……ああ、分かったよ。怖いこと言って悪かったな。モフルム」

そう謝罪しつつ、もふ、もふと撫でてやる。今度は魔術は飛んでこなかった
しかし……セレーナには、少し厳しい表情で。

「…だが、よ。セレーナ。冒険者なら……悪い、悪くない。良い奴、嫌な奴。可愛い、可愛くない……
関係なく、狩るもんだぜ。そんな甘い考えで……冒険者を究めようとしてるんなら。俺は…その夢を、否定しなきゃいけねぇ。
セレーナ。テメェが……長生きするために。てめェが……天使のような顔の悪魔に、
ひでぇことされねぇように」

そう、少し厳しいことを言っていると、キングモフルムは扉の前からどいて……
そして、その下にはモフルムの卵だろうか?何かの卵があった……

「あぁ、テメェも親だったのか………っはは、セレーナ。テメェのおかげで、
この卵たちは親なし子にならなくて済んだぜ」

そう言って、セレーナの頭を撫で、抱き締めよう……

「……まあ、テメェのなりたい冒険者像が、そう言う選択をするなら…俺は何も言わねぇよ。
テメェらしい…優しい冒険者だ」

なんて、囁こう……

セレーナ > しっかりと髪を焦がした夫。その姿に少女はくすり、と笑う。
せっかくのハンサムが台無しだなぁ、なんて思いつつ。
夫と一緒にモフルムをもっふもっふ。だが……。

「……それは、違いますよバルちゃん。
 私は冒険者としての矜持があります。ただ依頼を受けるだけなんて真っ平ごめんです。
 私は、人の役に立つ冒険者になりたいんです。そしてその為に無辜の命を狩るなんてしたくない。
 最大多数の幸福の為の最小の犠牲なんてクソ喰らえですよ」

夫の言っていることも分かる。でも、少女にだって言い分があって。
珍しくそう強く言っていれば。まるでシリアスな雰囲気を嫌うかのようにモフルムがもふもふ移動していた。

「あ……。ふふ、ね? 倒さなくて正解だったでしょ?」

卵を見つけ、顔を見合わせて言う少女。
そのまま抱きしめられれば、うれしそうにする。
やはりこの人は、私にとっての憩いだ。そう確認しながら。

「はい。優しく強く。正しい冒険者になりますよ。私は。
 さてさて、お次の部屋こそお宝あるといいですね!」

気恥ずかしさから、そう言って離れると。少女はドアを確認する。
幸い罠は無いようだ。少女は夫へ、目線だけで開けていいだろうか、と確認する。
視界の端ではモフルムが卵を転がし、部屋の隅で温めていた。

バルジリス > 少々、シリアスになりすぎたのかもしれない。だが、やはりセレーナは……
優しい、優しすぎるほどに……
バルジリスのとしては、そのままでいてほしいと切に願う。セレーナの夢を踏みにじる奴は……決して、生かしてはおかない。そう決意新たに、扉を開けていいかと確認すれば、こくり。と、開けようぜ。と伝えて……さあ、バルジリス・セレーナ夫妻の運命は…!
[1d10→8=8]
バルジリス > 8・魔方陣がある。知識があれば、転移用の魔方陣だとわかるだろう。ちなみに、転移先は宝箱(すべてミミック)だらけの部屋だ!
バルジリス > 次に進んだ部屋には、中央にでかでかと転送魔方陣が描かれていて。部屋には扉も何もな魔方陣人だけが……

「こりゃあ………罠だな」

ここまでわかりやすい罠も珍しい。そう思うほどに。隠そうともせずそこに魔方陣はあって。

「………こりゃあ、人が乗ることで発動する魔方陣だな。乗った瞬間、別の部屋に転送される……魔王軍にいた時に、兵士として送られるために使ったことがあるから、分かるんだ」

そう言いながら、セレーナの方を向く。

「どうする?この魔法陣に乗って、どことも知れず転送されるか、引き返してもっふもふするか……ん?」

そして、部屋の壁に書かれた魔族領の言葉。
「宝への片道切符」
それを、冷ややかなサングラスの下の目で見ながら読んで……

セレーナ > 「……こりゃあ、罠ですねぇ」

次の部屋に入り、夫同様に言う少女。
でかでかと描かれた魔法陣。それ自体は珍しい物ではないのだが。

「私も、別のダンジョンとかで使ったことありますけど。
 ……でも、ねぇ?」

少女は夫の言葉に、視線をつい、と移動させる。相手の視線の先。
なにやら文字が書いてあるが少女はそれを読めない。

「……何て書いてあるんですか?」

夫の顔を覗き込みながら聞く少女。その文字の内容によっては、もしかしたら罠ではないかもしれない可能性も出るので。
念のため聞いてみた。

バルジリス > 「宝への片道切符……だそうだ。まあ、魔族どもの意地の悪いやり方で、本当に宝があっても、それが入っている宝箱をすべてミミックに変えたりと……そういうことをするんだ」

そう言いながら、セレ-ナの手をとって、

「ま、今の俺達の実力で、ミミック何て相手にしてらんねぇよ。戻ろうぜ……あん?」

勝てないとは言わない。自分一人なら、命を賭ければ勝てる…それくらい、ミミックは強い。
だが……セレーナを守りながら、かばいながら戦えば、かなり難しい戦いになる。
だが、戻ろうとすれば、扉の向こう側が靄がかかっていて……どうやら、入ってもモフルムのいる場所には戻れないようだ。

「……どうやら、進も罠、戻れば別の部屋……らしいぜ。どうする?
俺なら、戻る方を選ぶが……今日の主役はテメェだからな。選択は譲るぜ」

そう言おうか…

セレーナ > 「ほほぉう……。なるほどなるほど~。バルちゃん物知りですねー」

夫の説明にうなずく少女。そうして手を握られれば、にこりと微笑み。

「そうですね。無茶をしないのも冒険者の資質……って、あれ?」

相手の言葉に素直に従う少女。ミミックは実はまっとうにやりあうとかなり強い。
対抗策も無いではないが。さすがにミミック対策は準備してきていない。
しかし振り返れば、扉がなにやら変な様子である。
このダンジョン特有の仕掛けか。戻ることができなくなっていた。

「……そうですね。これは迷うまでも無いでしょう。
 バルちゃん。戻りましょう。確定してるリスクは最悪でも回避できるわけですし。
 次の部屋が罠でも、まぁ仕方ないでしょうし」

少女はあっさりと戻ることを選択した。まだ未知の部屋のほうがリスクが少ないと判断したのだろう。
だが、そこで少女は息を吸い、扉に手をかけつつ言う。

「あの。バルちゃん。その。
 ……ペットとか、飼いたいとか思います?」

少女は、夫にそう尋ねた。そのまま、ゆっくりと扉を開けていく。

バルジリス > 「あん?ペットだぁ?……まあ、俺達共働きだし、子供のためにいてもいいとは思うけどよ」

いきなりの話。少しびっくりした表情で言うが……ふと、思い当たる事。

「そういや、結構前に、セレーナ……その、獣のガキを生んだって言ってたよな。
まさか……そいつ、か?」

なんて少し、サングラスと扉の霞でよく見えない表情で言おうか……?
さて、そんな夫婦の運命は……?
[1d10→9=9]
バルジリス > 9・ダイヤモンドでできたゴーレムが、宝箱を守っている。宝箱内部には、考古学上の価値のある、錆びた剣が入っているぞ!
セレーナ > 「そ、そうですか。あー、いえ。違うんですよ。
 この間お仕事してたら、魔物……っぽい何かに懐かれちゃいまして。
 で、今王都の貧民地区に買ったアジトに匿っていまして」

相手の言葉に、微妙な物言いの少女。
ドアを開ければ。

「……」

巨大なゴーレム。どどーん、と立っていた。
思わずドアを閉めて引き返そうか、なんて思うけど。
まずは夫に目を向け。

(ああああああ、あれはムリでしょー!?)

小声で叫ぶ少女。ゴーレムは何度か見たことがあるが、相手にしたことは無い。
ましてや、初めて見る種類のゴーレムだ。倒せる気がしない。

バルジリス > 「…………」

何とも言えない、表情から感情が消えたといえばいいのか、そんな表情。
妻を信じたい……だが、この世界は、残酷だと言うことはよく知っている。
ダイヤモンドでできた巨大な人の形をしたごついゴーレムが、宝箱の前にいる。
どうやら、宝箱を守っていて、此方から手を出さない限り、動かないようだ。
ちょうどいい。敵が動かないのなら……じっくりと話せる。

「………ま、そんなわけねぇよな。セレーナ。ワリィ。妻を疑うなんて…夫失格だな」

ちょうどいい段差が近くにあったので、ゴーレムも動かないようだし、そこに腰かけようか。

「別にいいぜ。そいつが、俺とセレーナに懐いて……子供に、手を出さないならよ
ほら、少し休憩しよう。サンドイッチ喰うか?」

そう苦笑しながら、セレーナにも、少し休憩しようかと、サンドイッチを出す……
ゴーレムがいる前での、異常なまでに落ち着いたような行動は……もしかしたら、
バルジリスが、元魔物としての本能で、何か自分のあずかり知らぬところで、起こったのではなんて感じているのの表れかも……

セレーナ > 夫からの言葉と態度に、少女は頭を下げる。何を考えているかは、大体分かった。
だが、少なくともその産み落とした魔獣でないのは本当なので。
相手から休憩の提案をされれば、少女も従い、床に座った。

「いえ、まぁ。その。疑われても仕方ないといいますか」

これから先、隠し事はしたくない。
嫌われるかもしれない。だけど、素直に話さないといけない。
少女はサンドイッチを受け取りながら言う。

「え~っと、多分、子供には手を出さないと思いますし。
 可愛いし、私とバルちゃんには懐いてくれると思うんですけど。
 ……えっと。私に、その。いやらし~いことをしてくるというか」

もっしょもっしょとサンドイッチを食べる。うん、おいしい。
こういう場所で食べる食事もまた、貴重な経験である。
しかして、少女は視線を反らしたままで。

「えっと、その。……ホント、可愛いんですけど。
 ちょ~っと、その。エッチな生き物といいますか」

思えば、夫にはいつも気を揉ませているな、と思う。
申し訳ないな、なんても思っている。思っているのに。
なぜ私は、いつもいつもそういう目に遭っちゃうんだろう、と。
少女はしょんぼり、落ち込んでしまった。

バルジリス > 「…………」

もぐもぐもぐ……咀嚼するサンドイッチ。味などするはずもなく、粘土を噛んでいる気がする。

「………そう、か」

しばらく咀嚼するだけだったが、たっぷり数分、時間を使い、その一言を絞り出す。

「………あの、な、セレーナ」

そう、言いながら、ぐちゃ……サンドイッチが、握りつぶされる。
その握りしめた手が震えるのは……怒りか、悲しみか、失望か……

「……わざわざ、テメェに手を出す奴を、テメェの傍にいさせろと…?」

そう、ぼそりと呟いて……

「…もう、そいつと、ヤったのか?股開いて、アンアン喘いで……っ!
俺とのガキが、腹の中にいるのに……っ!」

その表情は……言葉の激情さとは裏腹に、表情も出ず、涙も流さず、能面のように無表情……

「……けど………よ。良いぜ。その生き物が、俺に殺されてもいいのなら、
俺のその生き物に対する嫉妬と我慢を、眺めたいならよ……飼っても、良いぜ」

もし、その生物が、セレーナの子供だったら……まだ、許せたが。
ただ、セレーナに手を出す不埒な生き物なら……それと、常にそばに居なければならないのなら、
嫉妬に狂い、殺してしまうかもしれない。

セレーナ > 「……」

もっしょもっしょ。もっしょもっしょ。
気まずい。実に気まずい時間である。
この手の問題は常に付きまとう。いわゆる。
『本当のことを言って相手を傷つけるのが正解』か。
『ウソを吐いて相手を傷つけないのが正解』か問題。
模範解答は『そもそもそんな事態に巻き込まれるな』である。

「はい」

言葉、態度で相手の怒りが伝わる。
少女は、俯きながら相手の言葉を黙って聞く。
いつの間にやら、床に座る姿勢は、はるか東の国の『セイザ』という座り方に。

「……仰ること、ご尤もでございます……」

しょぼ~ん、という雰囲気すら消失。いよいよことここにいたり。
夫婦関係の危機到来。そも少女自身の星のめぐりの悪さと軽率さ。
更に言うなら性的行為への禁忌感やら、貞操観念の低さやらが一番の問題ではあるが。

「え、っと。えっと……」

強い追求に、少女は言葉を失う。よくよく考えれば……。
この人がこんなに激しく怒ったのを。少女は初めて見た。
感情をむき出しにするのは今までも見てきたけど。怒りは、初めてで。

「……。
 …………。

 ごめんなさい」

少女は、ただそう言い。深く頭を下げた。
言い訳もせず。許しをこうでもなく。ただの謝罪をし。

「もう言いません。アナタが不快に思うのも無理ない話です。
 本当に、ごめんなさい……許してなんて、言えません。
 貴方の気持ち、いつも私は踏みにじってる。
 ごめんなさい……ごめんなさい……」

この人は。どうして。こんなに優しくて真面目で。
素敵な人なのに。

私なんかに、愛を注いでしまったのだろう。

少女は、自身の軽率な発言を深く恥じ入った。

バルジリス > 東方で言う、せーざとか言う座り方をする相手。どうしようか……
ここで怒りながらセレーナの前から去るのは簡単だが……絶対に、選べない。
なぜなら……たとえ、セレーナの側が愛が覚めても…バルジリスの側の愛は、覚めないのだ。
だって……セレーナを、セインであった時から、深く、深く愛してしまったのだから。
何故か?セレーナは、セインは……真っ直ぐだから。優しくて……
少々性にゆるいことを除けば、とても好感が持てるし、その夢や心を、守ってやりたいと思ってしまうのだ。
しばらく、空気が冷えて……頭を下げるセレーナに、バルジリスは口を、開く。

「………頭、上げろよ」

はぁ……と軽く息を吐く。いけない。あまりの怒りで、セレーナを怖がらせたかもしれない。
ただ……やはり、その生き物の存在は、許せない。

「……どういう経緯で、とか、どうして飼うことにしたのか……聞きたくもねぇから、言わなくていい」

そして、座るセレーナを前に、立ち上がって。

「もう、情も湧いちまってるんだろ。今更……殺せとか、捨てろとか言わねぇよ……
ただ、俺の前には連れてくるな。その時は……その生き物の命、保証できねぇ……
その隠れ家とやらで……俺に飽きたら。遊べばいい」

そんなことを言いつつ、ふらりと、遺跡の入り口へと向かって、歩き勧めようか。
空気を読んだのか、扉は、遺跡の出口につながって。
そして、無言のまま遺跡を出れば

「……ワリィ、流石に……いや。ごめんな。怖がらせちまった……少し、頭冷やしてくる」

そう言って、近くの川へ向かおう……

「あぁ……くそ。冒険者を許した時から、こうなる可能性はあったとわかっていたのに……
何をいまさら……怒ってるんだ、俺は……っ!」

セレーナ > 深々と頭を下げたままの少女。微動だにせず。
そもそも少女は少し……いや、かなり計画性とかそういうものに疎い。
愛した男性がいるのにも関わらず、冒険者をやったりとかが最たる例。
これまで『うまいこと』行っていたのが奇跡のようなもの。
今回のこの一件こそ、罰であり、罪である。

「……」

相手の言葉を聞いても、少女は頭を上げない。
許してもらうまでは、とか。そういうことではなく。
どの面で相手を見ればいいのだ、という自責の気持ちからだ。

「……はい」

少女は、その言葉に従い、何も言わない。
これ以上話せば、きっと相手を更に傷つけるから。
何も言わず、ようやっと頭を上げる。だが、視線は地面に向けられている。

「……その。……わかりました」

その言葉が、少女の心を痛めつける。ここでようやっと。
少女は、自分のしでかしたことの大きさに気づいた。
可能ならば、自分自身を殺したいと願うほどに。
少女は、後悔を繰り返していた。そして、その後悔をするというのがまた自分自身の保身のようで。
酷く、吐き気がした。

「……あ」

そんなことない。私が悪いの。貴方はなにも悪くない。
そう言えればよかったのに。少女は、遺跡を去る相手に声をかけられなかった。
少女自身、おびえてしまったのは事実なのだ。自分に非があるのに。
去っていく夫の背中をしばし呆然と見つめていた少女だが。
こてん、と地面に寝転がると、ゴーレムへと視線を向けた。

「……あ゛あぁぁぁ~……。
 死にて~……アタシのバカ~……」

激しく後悔。激しく苦悩である。恐らくは、少女は今後もこの悩みを抱えていく。
元の母体ともいえる男の体にあったときから。少女は、性的行為を嫌いながらも、その快楽に溺れる癖があったのだ。
少女はごろんごろんと頭を抱えつつ、床を転がる。

ご案内:「無名遺跡」からバルジリスさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からセレーナさんが去りました。