2018/05/04 のログ
ご案内:「無名遺跡」にギィギさんが現れました。
ギィギ > 外気の入り込まない遺跡の中は常に一定の温度が保たれている。
湿度もまた同じ誰かが持ち込んだ水分かそれとも遺跡になる水源から蒸発した水なのか、それとも地表からの水が染み出しているのか、理由は様々であるが、スライム族には酷く過ごしやすい世界であった。

此処は無名遺跡の中でも比較的攻略が容易いといわれている
地表近くの浅い階層のまたの名を石の迷宮と呼ばれる初心者向け遺跡である。

お陰で冒険者達に踏破された罠やら倒された魔物の屍骸、それに運悪く命を失った冒険者の骸が転がっている。

だが此処はあくまでも深い階層への通過点、危険性が少ないのを迷宮に来る冒険者は理解しているだろうし、新しく冒険を始める者達も知っている筈、だがそれはギィギと呼ばれるスライムが巣食っていないという前提条件である。

ヒカリゴケの輝きで辛うじて明るい通路。
その少ない光源で表面をキラキラと輝かせるのはその件のギィギと呼ばれるスライム族の1種である。

石畳のひんやりした感触を得る為に廊下に広く身体を伸ばし、水分をこそぎ舐めるように縮んではうね、うね、うねと進む姿はコミカルとも言えよう、だが危険性は他のスライムより非ではない。

ただのスライムであれば装備が解けるか運悪くても死ぬ事で終われるだろう、だがギィギは違う、生かさず殺さず、捕らえた獲物を身体の一部を飾るモノとして、体内に内包しながら繁殖行動をくり返す習性がある。

つまり、一度捕まると死ぬまで栄養と悦楽を与え続けられ、他の冒険者に痴態を晒すという地獄が待っているだ。

それでも生きたい、というのであれば……安全とも言えるのかもしれない。
何故ならギィギは内包した宝を手放す事は無い、隠して嬲って独占するのだ。
だから死ぬ事は無い、他の魔物からも守ってくれる、但し母体として苗床としてだ。

ギィギ > 湿った空気、苔より得られる水分、適度な温度、あまり例を見ない活性化した状態のギィギは苔すらもこそぎとって喰らい始め、傍目から見ればわかる程にサイズを肥大化させていき、最後には通路一杯に広がって、そのままごりごりと壁を床を天井を削り取りながら奥へ奥へと消えていく……。

其処に残るのは無数の金属で削られたボロボロの壁と床と天井だけで、何がそれを行ったか知る術はほとんど無いだろう…

ご案内:「無名遺跡」からギィギさんが去りました。