2018/05/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にデミゴブリンさんが現れました。
デミゴブリン > 遺跡の中の迷宮、石で出来た通路を汚水が沸く様な声で笑うモンスターの影がある、全部で3体ほど、それも何かを引き摺っているようだ。

ぴちゃ、ぴちゃ……と天井から滴る苔に浸み込んだ水が通路の床に落ちる音と聞くものに怖気を覚えさせる笑い声が響く今宵の迷宮は明らかに普段の迷宮とは空気が違っており、気配を読むに長けた冒険者であれば踏み入れるのを戸惑うだろう。

三引きのモンスターの名前は同族を率先して喰らい奪いすり潰すゴブリンの中でも特に危険視されているデミゴブリンと呼ばれるモンスター達。

彼らはゴブリンと人間やミレー、それどころか様々な亜人やモンスターとの間に産まされたゴブリン族と他種族の混血児であり、どれもがゴブリンを基にした醜悪な姿と凶暴性を持っている。

その証拠に引き摺っているモノは冒険者か他の魔物から身包み剥いで略奪した物の数々、それをつぎはぎだらけの皮袋に突っ込んで、重たいのかずっと引き摺り迷宮の中を彷徨っているのだ。

目的は欲望を満たす事。
食欲、破壊欲、を満たせば次なる欲望は睡眠欲以外には一つしかない。

――性欲。
戦闘で破壊で昂ぶった身体を冷ます為、滾る血を沈めるため、そして仲間を増やすため迷宮をさ迷い歩きながら亜人の雌か冒険者と遭遇する機会を待っている。

3匹が3匹とも灯りがない通路を闇に包まれた廊下を躓く事無く平然とした顔で歩き、数々の獲物を屠った錆びて刃が欠けている斧や剣を振り回し、ギヤァギャァと耳障りな鳴声をあげて、笑いながら先程の戦闘について言い合っているようだ。

――…鉄錆の香り、醜悪な子鬼達、張り詰めた空気、何時も以上に静かな遺跡の迷宮、此処が惨劇の場所と化すか、デミゴブリン達は何事も無く得るものも無く、今夜の稼ぎを手にして迷宮を出て行くか、それは悪戯な運命次第だろう。

デミゴブリン > 通路を歩く足音は複数有るが、その音は獣の足音に近く、薄らと産毛の生えた足裏は歩く音を吸収し、辛うじて鳴っているのは鋭く曲がった足の爪が床を削り引っ掻く音だけ。

三匹の醜悪なデミゴブリン達は唐突に歩みを遅め、ピタっと十字路の入り口付近で足を止めると、口元をニタリと笑みと呼ぶには不気味な表情に歪め、ギャァギャァ鳴き喚きながら、1匹を指差すと通路の一つをまた1匹を指差すと別の通路を指差し、再びギャアギャアと喚いて、三匹はバラバラに通路に向って歩き出す。

どうも三匹バラバラに行動し、誰が最初に獲物を見つけてくるか、賭けを始めたようで、三匹が三匹ともげらげら笑い声を上げながら待ち合わせの十字路を忘れないようにわざと足で床に爪痕を残し、手元に武器の刃先で通路に傷を残して、通路の闇の中へと消えていく。

三匹の中でも狡賢く狡猾な一匹は他の二匹に指図したその鬼族の血を半分ほどデミゴブリンは自分ひとりだけ僅かながら気配を感じた通路の方を歩いていく、無論獲物が見つかればまず自分が最初に楽しんで、それから他の二匹に貸してやり、最後に集落に連れ帰って手柄にする心算。

意気揚々、他の通路を違う何かしらの生物の反応のあるくらい廊下に両目を細めて睨みつけ、嘗め回すように視線を這わせながら、足音を消して、笑いを止めて息を潜めて進む、何時でも姿が確認出来次第奇襲をかけるためだ。

それと、もし相手が極上の獲物であるか敵わない相手とわかれば仲間を呼ぶための鳴声が遠くまで通るように、なるべく音を立てていない……。

ご案内:「無名遺跡」にフローディアさんが現れました。
フローディア > (最近、この近辺に足を運んだ冒険者や商人といった者達が立て続けに行方不明になっている。危険種と呼ばれるような魔物・・・他の魔物を統率する能力を持つもの、もしくは単体で強力な力を持つもの・・・そういった魔物が産まれ、生息している可能性が高い。そのため、現地にて魔物の生息調査。もしくは討伐を依頼する――・・・。

そういった話を受け、この遺跡に赴いたのは一人の少女である。丁度、この近辺に出現する魔物を標的にした狩りの予定があったし、丁度よい・・・そんな気軽さでその依頼を受諾した。狩猟できそうであれば、その危険種、と呼ばれる希少な魔物を狩れば良い。無理であったとしても、その情報を持ち帰るだけで報酬を受取ることが出来る。どちらであったとしても、まぁ・・・珍しく悪くない仕事であった。

・・・けれど、遺跡に足を踏み込んで数時間が経過した頃であろうか。肌をピリピリと刺すような空気を感じだす。遺跡に潜るのはこれが初めてではない。何度か踏み込んだことがある。その経験がささやく・・・この空気。そして、緊張感。これは、普通じゃない、と。明らかに・・・普通じゃない 何か が ある。 そう少女の直感に囁く。そして・・・こういった悪い直感というのはたいてい当たる――。)

(そして、獲物の匂い、気配・・・そういったものを辿って足を運んだデミゴブリンはその視界に捉えるだろう。曲がり角の先、その暗い廊下の先に爛々とその暗い廊下を照らすランタンの光を。そして、そのランタンが照らす冒険者の姿を。 向こうからこちらに近づいてくる小さな足音が、一歩、また一歩とかの魔物へ近づいていく。その主は目の前の危険に気づかぬままに。)

デミゴブリン > ――…予想は当っていた。
鬼の血を引くデミゴブリンの勘と感、二つのカンが導く先には人影がひとつ見える、鼻腔に香る微かな得意な香りからミレー族の女である事は理解でき、混じる香りからかなりの純度の高い雌である事もわかる。

だが嫌な匂い、既に誰かの色がついたか、それともその類の魔力が施されているか、鼻につく苦手な香りに、顔を顰めて獲物を襲うのを諦めて、相手が此方に気がつくか距離を詰める前に離れ、隙有らば仲間に低い鳴声をあげて、遺跡より脱出するように促す。

脅威で言えば3人掛りで不意を突けば一方的に負ける事は無いだろうが、念には念を入れてと言う事だ。

余計な魔力が無ければ十分に喰らうに値する雌であろう、それだけが悔やまれるとデミゴブリンは苦虫を噛み締めた顔をしながら棄権を回避する為に迷宮より立ち去るのだった。

ご案内:「無名遺跡」からデミゴブリンさんが去りました。