2018/01/26 のログ
■ゼロ > 闇の中に明かりは見えず、ただただ無機質な床畳を少年の足音と、鎧の擦れ合う音だけが響くのみ。
襲いかかって来るのが魔獣であれば、一撃の基に倒して進み、魔族であっても数合と掛けずに倒していく。
一人で歩く人間であるという事実が、彼らの油断を招き、その油断が死へと導く。
ただの人間がと皆叫び動かなくなっていくし、倒れた相手の心臓を突き、首をもぎりとる。
にくいわけでもない。淡々とした作業となっている。
白い仮面をつけた鎧の人物がそれを行えば、見る者が見れば、猟奇的であろう。
明かり一つのない闇の中故に、見える人がいれば。の話ではあるが。
作業をひとつ終えて、機械的に立ち上がり、少年は次を求める。
■ゼロ > 闇の中の通路を進み、十字路を曲がり、少年はさらに奥へと進んでいく。
誰もいないその場所を進んでいけば特に誰も見つからない。
それでも、遺跡を踏破するか、誰かを見つけたりしない限りは戻るという選択肢を見いだせない。
確かに、ほかの仲間は全滅しているけれど、正確に言えば同じ部隊に組み込まれたわけではない。
一人で放り込まれた物なので、自分にある程度以上のダメージ等撤退する為の条件が見通せないなら任務に従事するほかない。
―――闇の中を靴音を響かせながら兵士はひとりで進んでいく―――
ご案内:「無名遺跡」からゼロさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にギィギさんが現れました。
■ギィギ > ――天井から床へ落ちる水滴の音だけが木霊する静寂なる闇の世界。
此処は無名遺跡と呼ばれる遺跡群の中の一つである初心者向けの迷宮。
天井も床も壁も何もかもが石で出来た光のない迷宮に薄紫色の粘液塊が蠢き這いずり回っている。
それも音もなく石の床に広がるように身体を伸ばしながら、
直に縮み、たゆんっと揺れては再び身体を伸ばして進む、粘液の塊としては非常に奇妙な動き方で、もし誰かしらが迷宮に入り込んだ研究者か冒険者が明かりを灯してスライムを通路を見ようとすれば、その粘液の塊の奇妙な踊りが見えるだろう。
それはスライムにとっては踊りでも何でもなく、通常はもう少し小さな塊なのだが、迷宮の水分を吸い取り肥大化してしまい、身体が重くなり動き辛くなった為に選んだ移動方法。
普段は水溜りみたいに広がっているが今夜はたぷんっと狭い通路一杯に球体状になり、その奇妙な動作で迷宮を彷徨っているのだ。
無論目的は繁殖の為。
肥大化するだけでは個体が大きくなるだけで増えるには至らない。
なので巨体を揺らして獲物を探し彷徨い続けるのだが、果たして光のない闇の底のような場所に獲物は現れてくれるのだろうか?
――ギィギは其処まで考える事はできない、危惧する事も出来ない。
だから只管に音もなくただただ闇の中を進み獲物と遭遇する偶然を求めて進むしかなくて。
■ギィギ > ゼリー状の塊が身体を引き摺り動く姿よりもナメクジが這う姿が近いか、そんな不可思議な動作で這い進む動きは決して早いとは言えないが、場所は単純な構造ではあるが無名遺跡にある無名の迷宮、長くも狭い暗闇に包まれた通路では十分に相手の不意をうつ事が出来るだろう……となれば幸運だが、慎重な足取りでカンテラなどの明かりで周囲を照らしながら、と慎重な行動をとる冒険者相手には難しいかもしれない。
その場合は通路一杯に広がって獲物を包み込んで襲うか、身体を分裂させて体積を減らすデメリットはあるが群れとなって襲うか、ともにかくにも獲物に遭遇できなければ、どうなるかどうするかは知性のないスライムからはパっと見ただけではイメージ出来ないかもしれない。
ただ狭い通路と言う幸運はスライムが意図しなくても作用する。
一つはスライムの身体が石の床と擦れた際に発する体内に内包したガスの一つが音もなく滲み出し、薔薇によく似た薄い香りを放つ薄い媚薬成分を含んだ媚毒のガスが広がりやすい事。
もう一つは湿った石壁や天井から採取できる水分による圧倒的な再生力。
松明の火程度では最早怯む事はないだろう
炎の魔法でも威力が弱ければ包み込んで喰らう事も可能だろう
闇深い迷宮、其処はギィギと呼ばれるスライムの有利な領域となっていた。
誰も知らないうちに此処は初心者向け、そう周知される迷宮の筈なのに今や上級者でも危い淫靡なる世界へと変り果てている。
■ギィギ > 音もなく気泡の爆ぜる音すらさせぬ不可思議な移動の名残は粘液の痕のみか、紫色の粘液体であるスライムがギィギが移動した後は滑りやすい粘液で濡れ、時折身体を大きく揺すれば身体から滲みだす大量の粘液が飛び散り、その時だけねちゃ、ねちゃと重たい粘り気のある水音を奏でると、狭い石で出来た廊下は滑りやすい危険な通路となる。
更にはスライム自体も無意識かそれとも何か思惑があってか、薄く大きく身体を広げると通路の床に壁に天井に広がり、輪か筒か通路自体に紛れるように身体を広げて伸ばし、その状態で通路の隅々を舐めるようにして進み始める。
薔薇の香りを薄めたような淫靡な甘い香りと廊下全体に広がった身体、獲物を見つけて捕縛するしたくは十分に出来ており後は……不幸が勝るか幸運が勝るか、というところだろうか。