2018/01/25 のログ
ご案内:「無名遺跡」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 第七師団の任務の中には、周辺の遺跡の遠征というものもある。
 少年兵は今宵は遠征の部隊に組み込まれてタナール砦の程近くにある遺跡の中に入ってきた。
 少年が宛てがわれた遺跡の中に、魔族が潜んでいるとの連絡が有り、さらに言えば此処からタナール砦へ侵略してくる為の集会場として使われているとのこと。
 他の部隊の人間は、勲功目的かさっさと奥に行ってしまったまま連絡が取れない。
 少年は一つ一つ扉を開けて中を改め、魔族が、魔物がいればそれを丁寧に潰していった。

 ―――途中で先に行った小隊が全員死んでいた。

 無論、それをやった犯人であろう魔族は、自分の手で首をもぎ取られて絶命している。

 今、この遺跡の中を生きて歩いている部隊の人間は自分のみらしい、とはいえ、任務は任務である。
 遺跡をそのまま使われたダンジョンの中を、少年は歩いていく。
 がちん、がちん、とグリーブが石畳を踏みしめる音が響いていく。
 暗黒に満ちた遺跡の中を少年は進んでいく。

ゼロ > 周囲に明かりはなく、泥沼のような闇に塗りつぶされている。
 少年はカンテラを持っているけれど照らしてはおらず、松明は持ってきていない。
 少年の仮面が闇を見通す力が有り、周囲の様子も魔力で精査している。
 仮面の中は昼間よりも明るくはっきりと構造が見て取れる上に、罠があるかどうかまでしっかりと発見してくれる。
 便利なことこのうえのない装備のおかげで、少年は遺跡の中を安全に歩くことができている。

「……そういえば。」

 場所が場所だけに無いとは思うが、こういう遺跡には財宝目的で入る冒険者もいるらしい。
 もし、救助対象を見つけたら救助するようにとのお達しも来ている。
 まあ……うちの師団の人間の大半は女だったら犯す男だったら見捨てるというのが多いようだが。
 万が一見つけたらそのときに考えようと、思考をそらすことにする。
 周囲の警戒をしつつ、安全を確認しながら遺跡の中、奥に向かい進んでいく。

ゼロ > かつん、かつん、石畳に響く足音、そして金属の鎧のすれる音。
 少年はいつでも攻撃ができるように両の手にナイフを構え慎重に進む。
 気配はない。ここに来るまでにそれなりの数を倒してきたからとは思うが、もっと居てもいい気もする。
 ここはハズレで、別の班が担当した遺跡なのかもしれない。
 それならそれで問題はないと思うのだけれども。
 闇の中、規則正しく作られた遺跡の中をさらに奥へと進む。
 なんのために作られたのだろう、扉を開けて中を見るも、テーブルとか椅子とかと思わしきものは見えるが、何のための場所なのか皆目見当もつかない。
 別の部屋を開ければ、寝台のようなものがたくさん並んでいるし。

 こういうところに、お宝ってあるのかなぁ。
 冒険者としては、あまり経験のない少年は、ううむ、と首をかしいだ。

ゼロ > この仮面を手に入れたのも、遺跡だったっけ、少年は思い出す。
 あの頃はたしか逃げて雨露凌ぐために入った場所で、仮面がただ設置してあった。
 なんとなく手に取って付けてみたら、使い方と性能が頭の中に入ってきたからそのまま使うことにした。
 そういえば、そんなこともあったな、寝台だらけの部屋を眺めて小さく口元に笑みを浮かべて。
 
 じっとしていても仕方がないので、そろそろ移動することにしよう。
 まだ、遺跡の全部を回ったわけでもないし、と、部屋を出ることにする。
 かつ、こつ、と闇の中を少年はさらに奥に向かい、進む。
 倒すべき魔族か、救うべき人間かを求めて。