2018/01/20 のログ
ギィギ > 狭い通路に満ちているわけではない。
獲物が入り込んだ時に溺れさせて弱らせる必要はないと、本能的に察知しているのか、それともただの偶然かスライムは狭い通路を塞ぐ事無く、石を組み合わせて作った床に満遍なく広がり、獲物を体内に誘うべく内包した硬貨や宝石の類を散らし、ふつふつと体内から外へと気泡として少し甘い空気を吐き出し、獲物の到来を今か今かと焦がれ待ち続ける。

活動期であれば生命力がもう少し満ち溢れていたら、ある種の飢餓状態であるギィギと名称付けられた種族のスライムは遺跡から這いずりだしてでも獲物を探しに彷徨っただろう、しかし現状は其処まで体力はなく、ただ広がり獲物が来るのを待ちわびる罠のような状態にしか為れない。

ふつふつの幾度も湧き上がる体内から噴出しては表面より浮かんで割れる気泡の音は苛立ちか誘うための歌か、静かに獲物を襲うための体力を蓄えながら、待ち続けるしか出来ずにいた。

ギィギ > 長い時間をかけて罠を張ってみたが、通りかかる獲物は居なかった。
しかし待つことしか出来ないスライムは身体を仮死状態にする事で暫くはこの場に留まり、この狭い通路を餌場として使うことにした。

ふつ、ふつふつ………と先程まで活発に沸いていた気泡は次第に数を減らし、スライムは眠りにつくのであった。

ご案内:「無名遺跡」からギィギさんが去りました。