2018/01/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にディールさんが現れました。
■ディール > 先日の大規模戦闘――といえば聴こえは良いが、実際には盗掘の為に訪れていた山賊や盗賊同士が争った遺跡の浅い箇所。
飛び散った肉片や鮮血は、思わず鼻を摘みたくなるほどの臭いを漂わせている――だが、それらは貴重な『資源』でもある。
死体に、鮮血に。肉片に――移籍の中に漂う植物の種子が。
胞子が。それらに吸い付き、萌芽している。その芽には様々な薬効が眠る上に、本来は遺跡深層に向わねば手にはいらない植物の類でもあるのだ。
「ま、アンタらは運が悪かったって話さ。」
ゆっくりとマチェットナイフ――ランタンの灯りに照らされた、貴重な資源から生まれた更に貴重な植物の芽を刈り取っていく。
肉片や壁に生えている根もまた貴重な薬物の素材にもなる。
手持ちのボトルから真水を少量注ぎ、血液や附着している遺物を綺麗に洗い採りながらそれらも余さず回収していく。
持って来ているのは小ぶりの木箱2つ。
これが満杯になれば普通の人間なら数年程度は遊んで暮らせる――まぁ、いわばちょっとした財になる。
己からしてみればその財よりは、これらから生み出せる薬物の方が余程貴重ではあるが――。
■ディール > 道徳や、善悪の観点から見れば間違いなく悪の所業ではあろうが。
元よりそれらから解放されているからこその魔の血でもある。
山賊や盗賊等は装備品等こそ持ち帰ろうとも、死体については嵩張る上に処分が面倒なのだろう。
特にこういった場所では置き去りにされることも多い。
必要な物を取り払ったら――後は騎士団にでも通報し、この誰とも知れぬ山賊や盗賊の痛いを弔わせてやろう、くらいの恩は感じている。
死体に抵抗感の無い悪の点と、別段必要ともしない恩からの通報をやろうとするのは、まぁ――半端な人間であり半端な魔族の血からの、一律されない行動とでも言うべきか。
マチェットナイフを選んだ理由は簡単だ。鎧は脱がせば良いが、死後硬直の始まった肉や腱は普通のナイフ程度では切れない。
切れてもすぐ刃が傷む。
勢いを使い、骨や肉ごと断つ事の出来る得物を選んで持って来ていた。
暫く暗闇には異様な物音も響くだろう。
時折、壁を削り取る音等がより異様な演奏に拍車をかけている。
■ディール > 肌に触れる風は生暖かな風。静かに肌を撫でる其れは、己には見えぬが無念の想いを残した死霊の恨みの手が伸ばされているのか――。
そう思ってしまう程にはこの場は凄惨な有様だろう。
生暖かな風の正体は、手持ちの油脂を用いた簡易性のランタンから供された熱を孕む空気の流れなのだが。
ふと、視線を感じる――ふと、足音が聞こえる気がした。
その情報が出る度に手をとめて、そちらの『気がした』方角をじっと見る。畏れではなく、ただ――この場を見られるとそれはそれで面倒だという思いからだ。
マチェットナイフ1本では魔獣相手には心もとない。
もっと言えば実態の無い悪魔や死霊が、物理的な接触をもてる状況になれば打つ手が無いだろう。
注意深く、けれど可能な限りすべての『財』を持ち帰るべく。異様な物音は今暫し遺跡内に反響していた。