2017/12/27 のログ
■ジョアンナ > 甚だ頼りない記憶を辿れば、今まで出会った男たちも大抵、
最初は此方をひどく警戒していた、ように思う。
其れでも、―――――目の前の男は少しばかり早いようだけれど、
これもまた大抵、明らかに丸腰の女に対して、警戒は長く続かない。
だから近づくことは難しくなく、逆に相手から近づいてきたことも、
一度や二度ではなかった。
―――――彼らが其の後、どうなったのか、其の辺りの記憶は曖昧だけれども。
「………罠、なんて。
あれは、だって……冒険者の方たちを、狙ったものでしょう?
わたくしは、……違います、もの」
『生きている』冒険者、と言ってしまいそうなのを、辛うじて飲み込んだ。
其の程度の理性は、未だ、女にも残っていたらしい。
だって折角、巡り会えた瑞々しい雄なのだ。
此処で逃げられてしまったら、切ないし、悲しいと思う。
きっと違和感は覚えている筈なのに、すんなりと教えてくれた名前を、
大切なものを扱うように、そっと唇へのぼらせる。
伸びてきた指先へ、掌へ、頬を擦り寄せて目を伏せれば―――――
蒼白い陶磁器のような頬は、滑らかで、冷たい。
「セイ、ン……セイン、ディバン、さま……。
わたくし、――――― わたくし、は、
……しょう、た い………?」
ぱちぱちと、瞬きを幾度か。
不思議そうに彼を見上げる表情に、嘘や誤魔化しの色は無い。
正体、本当の、じぶん、なんて―――――だって、覚えていないのだ。
「わたくし、は、ジョアンナ……ただの、ジョアンナ、ですわ……?
正体、だなんて……そんな、――――― でも」
其処で言葉を切って、ふっと口角を上げる。
紫水晶の奥に、甘く、毒を孕んだ光を過ぎらせるのも無意識に。
「秘密、と申し上げたら……セインさまの手練手管で、暴いて、下さいます……?」
■セイン=ディバン > 男の内面には、様々な物がある。慢心、油断傲慢、そして好色という性質。
遺跡内、近くに何かがいる気配にこそ警戒すれど。
その正体が女性。しかも美人とあれば男が警戒を続ける理由など無い。
そもそも高位の転送呪文を習得しているのだから。いざと言う時は逃げればいいのだ。
「……どうかな。俺に言わせれば……。
あれは、侵入者であれば冒険者であろうと無かろうと喰らい尽くす。
そういった類の物に見えるがね」
相手の細い声に、男はとぼけた様子でもって答える。
相手の言質は取れた。目の前の女性は、確実に冒険者ではないらしい。
推理が確証に変わったのをきっかけに、男は一度大きく煙を吐く。
おもむろに伸ばした手は拒まれること無く。触れた肌の感触。
実に心地よい。滑らかであった。だが、あまりにもその肌の温度は冷たくて。
「……ふむ。『そういう』ことか? だとすれば難儀だな、キミは。
……なるほど、ジョアンナちゃん、ね。いい名前だ。清楚さと力強さが同居しているような名前だ」
相手の様子。見逃さぬように観察するが。
そこにウソ、偽り、隠匿などは感じられない。むしろ感じたのは別の物。
何かを失い、探しているような迷い。それを男は感じ取り。
「……そりゃあ、ねぇ。そうしないと俺の身が危ういかもしれないし?
あぁでも。そうなると……俺のやり方はちょっと手荒いかもだぜ?」
微笑み、誘うように言う女性に対し、男もニヤリと笑い。
肌触れ合うどころか、唇と唇、鼻と鼻が触れるのではないか、というほどの距離まで男は身体を近づけると。
そのまま、いきなり相手の胸を、ドレスの上から荒々しく揉みしだき始める。
「暴かれたい、ってんなら。おねだりしてみな、ジョアンナちゃん」
■ジョアンナ > 警戒心も、荒ぶる鼓動や息遣いも、等しく女の好むものであったけれど。
優しく耳朶を擽る声音や微笑む唇のかたち、触れる掌から伝わる穏やかな体温も、
其れは其れで、女にとっては糧と成り得るもの。
罠、について語る飄々たる言い回しも、新鮮で、心地良い。
―――――生きて辿り着いた男にとって、此の身こそ罠の一種であるかも知れぬ、とは、
決して口にしないけれども。
「そうかしら、……そんなに、恐ろしいところ、かしら?
でも、わたくしには……此処はとても、居心地が良いのです、けれど」
欲を言えば、もっと人に行き会い易ければ、とは思う。
然しきっと、此処まで難無く辿り着ける冒険者でなければ、
女の望むだけの糧を与えてはくれない、とも気づいていた。
だから、やっと巡り会えた男の齎してくれるものを―――――余すところ無く、味わいたい。
人懐こい子供のように頬を擦り寄せ、名を呼ばれれば嬉しそうに頬を染めさえして。
有難う―――――と囁く声にも、淡い熱が籠るほど。
「殿方にとって、女はみんな、難儀なものだと思います、わ。
勿論、其の逆も言えます、けれど……でも、だから、こそ、
――――― きゃ、…あ、ん………んぅ、… ぁ、あ……」
手荒い、と告げた其の言葉通りの強引さで、男の手が胸の膨らみを玩び始める。
適度に柔らかく、男の手にも余るほどに豊かな、けれどやはりひやりとした質感を、
上質な絹を通して伝えながら。
切なく跳ね上がる呼吸の合い間、一層鮮やかに色づいた唇から、
紅く濡れた舌先を覗かせさえして―――――冷たく白い両の手を、そっと。
乳房を揉みしだく男の腕に、手首に、縋るように絡ませて。
「……ぃ、じ…わる、おっしゃら、ないで……。
おね、が…い、わたくし……わたくし、の、もっと、奥まで……、
もっと、もっと、……触って、暴い、て、……嘘、なんか、吐けなく、して……ぇ、」
深く寄せた眉の下で、一対のアメジストがじわりと濡れる。
身体の芯に、忘れ果てていた熱が蘇る感覚は、いつだって背筋を酷く戦慄かせるけれど、
―――――ぽつり、硬く存在を主張し始めた先端を、男の掌へ擦り付けるように身をくねらせて。
ドレス越しの愛撫のみのもどかしさに、眦へ涙の粒を浮かばせて、もっと、と繰り返した。
■セイン=ディバン > 金銀財宝、息つく間もないスリル。そういったものを求めて、男は冒険者になった。
だが、他にもある。なぜ財宝を求めるか。簡単だ。贅沢するためである。
いい酒。いい食い物、そして……いい女。
目の前の女性は、少し自分から見れば若すぎるかもしれないけれど。
いい女であるのは間違いない。故に、男にとっては罠かどうかなどどうでもいいこと。
「少なくとも、迂闊な駆け出し冒険者にとっちゃそうだろうね。
ま、俺にしてみれば、わりかし慣れてるこの遺跡はいい遊び場だけど」
そういう意味では、キミと同じく居心地はいいのかも、なんて言って笑いながら。
男は相手について考えを巡らせる。戦闘能力。無さそうだ。
敵対心。これも無いと見ていいだろう。さてさて、その正体と目的が……これが一番知っておきたいところだぞ、と。
触れた手に、擦り寄せられる頬の感触が心地よい。頬を染める仕草は愛らしく。
なぜかはわからないが、囁きにて感謝されれば。まぁ悪い気はしないわけで。
「そうかもしれないが、まぁそういう意味ではないのだが。
ま、そこはいいさ。キミの様な美人を相手に野暮な会話は不要だろう」
男の言葉の意味を、知った上か知らぬ上か。一般論じみたことを言う相手。
男はその言葉をそっと受け流しながらも、実に雑に愛撫を始める。
触れたバストは、柔らかく、なかなかに豊満だ。だが、やはりその温度に関しては慣れないが。
それでも、その感触は確かに確かな物。触れてしまえば、男の興奮も高ぶるが。
「……はは、いじわる、か。そりゃ失礼したね。
だがまぁ、それが望みなら応えるのもやぶさかじゃあない。
とはいえ……事も事だ。フフ……。ジョアンナ。キミの手で、ズボンから俺のモノを取り出して、奉仕してみな。
上手くできれば、すぐにでもキミの身体を満たしてあげるぜ?」
感じ始めた様子の相手。その言葉に、男は薄い笑みを浮かべるが。
掌に、確かに押し付けられるその固い感触を楽しむように。
男は、ぐにぐにと相手の胸をもみつつ、掌全体を器用に震わせていく。
そうしている間にも、男の股間は既にいきり立ち、完全な勃起状態に移行している。
もしも相手がそれを取り出せば、規格外のサイズに驚くことになるかもしれない。
■ジョアンナ > 男は自ら望んで、冒険者となったのだろう。
目的は様々あれど、其れらは全て、彼自身の意志である筈だ。
対して、女はと言えば―――――少なくともこの身の在りようは、望んだ結果ではない。
けれど、求めるもの、満たしてくれるものがはっきりしている現状を、
女は決して、厭うてなどいないのだ。
特に、―――――目の前に、美味しそうな雄が居る状況、であれば。
「……セインさま、ったら、…良い遊び場、だなんて。
豪気な殿方って、わたくし、嫌いではありませんけれど――――― ぁ、ん、」
折角、言葉の通じる相手なのだから、会話も等しく楽しみたいとは思うのだけれど。
暖かく大きな掌で施される愛撫が余りにも心地良くて、言葉が、声が続かなくなってしまう。
蒼褪めていた頬に赤みが差し、零れる吐息に生者の如き熱が絡み、
繰り返し、繰り返し、揉み解されるうちには、冷たかった肉も僅かずつ、
男の体温を移したような熱を持ち始めて。
縋りつく両の手指は、未だひんやりとした儘に、小刻みに震え出していた。
「…… だ、って、わたく、し……わたくし、もう、こんな、に、…こんなに、
どき、どき、して………本当は、もう、直ぐに、でも……すぐに、でも、」
満たして欲しいのに、たっぷりと食べさせて欲しいのに。
なのに、と訴える口調はやはり、何処か我儘な子供のようでもあろう。
けれど男の愛撫に容易く踊らされ、ぷくりと熱く芯を持つ先端を男の手に擦りつけながら、
手繰る仕草で男の胸板から腹へ、其の下へと向かう指先は些か性急で、
前を寛げる動きはぎこちなくも、躊躇い無く屹立を解き放とうとする。
仰け反る喉を吐息に震わせ、崩れ落ちるように男の足許へ膝をつけば、
ふるん、と揺れる乳房は掌から逃れてしまうけれども。
眼前に、鼻先に、頬を打ち据えんばかりの勢いで零れ出した雄の象徴に、
濡れた瞳を大きく見開き、息を呑んだ、次の瞬間には。
陶然と双眸を撓め、紅い唇をじわりと綻ばせて―――――
「セイン、さ…ま、………なんて、逞しい……。
わたくし、……わたくし、はじめて、ですわ…ひとがたの、殿方、で、
こんな、に、――――― あぁ、こんな、…に………」
ほ、う。
感嘆の吐息で肉槍の切っ先を湿らせ、冷たく震える手指を屹立に添わせる。
ゆるり、ゆるり、扱き立てる手つきは次第に熱っぽく速度を上げ、
緩く瞼を伏せながら顔を寄せれば、堪え切れぬ、といった様子で、
丸みを帯びた切っ先へ、ひとつ、またひとつと口づけを仕掛けて。
■セイン=ディバン > そうして、男は目の前の女性へとその魔手を伸ばす。
どういった行為が行われ。
どういった結果になったのか。
それは、二人のみが知ることで……。
ご案内:「無名遺跡」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からジョアンナさんが去りました。