2017/11/14 のログ
ご案内:「無名遺跡」にカミラさんが現れました。
アルテア > 「ええぃうっとおしい!いい加減に―――!」
互いが互いの決定打を欠く硬直状態に先に痺れを切らしたのは女の方であった。
何度も離れた壁面から這い上がり頭上からの強襲を仕掛けてきた魔物。
その個体が再び頭上に忍び込んで来た事を認識した瞬間、女は手にしていた武器を天井に向けて全力投擲する。

「バカの一つ覚えみたいに同じことッ!」

刃によって天井に縫い付けられた魔物は身をよじらせ劈くような断末魔を上げた。

カミラ > 遺跡に巣食う魔物、それを捕獲すべくやってきたのはいいものの、普段ならいる場所に魔物の姿はない。
はてと首を傾げれば、魔法の気配とトカゲたちの這いずる独特な音が聞こえれば、そちらへと向かっていく。
そこには妖艶といった言葉が似合う女の姿があり、這いずる音の理由は彼女との戦闘によるもののようだ。
場違いな黒いナイトドレス姿でそこに現れれば、適当な岩の上へ腰を下ろす。
投擲の一撃で魔物を絶命させれば、劇へ送る賛辞のように笑みをこさえて拍手をした。

「凄いわね、串刺しだわ。でも気をつけないと……血の匂いを嗅いで、仲間達がやってくるわよ?」

同族の仇を打つといったものではなく、獲物がそこにいると愚直に集まってくるだけだ。
先程よりも数が増えていくトカゲ達を見やりながら縄を手に取ると同時に、四方八方からトカゲ達が集まってくるだろう。
血の匂いに巻き込まれぬように、少し離れた場所にいる此方には目もくれず、血と彼女へ目掛けて。

「大変ね、手を貸してあげましょうか? タダとはいわないけど」

この場面にあって在り来りな誘いかけを、変わらぬ微笑みで問いかける。
長い紫の髪は艶やかさを際立たせ、琥珀色の瞳は、レンズの向こうからも意志の強さを感じさせられた。
笑みの裏側、これはいい拾いものかもしれないと、視線も意識も場違いなほどに落ち着いていても、裏の意志はすべて殺していく。

アルテア > 天井に突き刺さった魔物を見上げ、溜飲が下げた瞬間、手を叩く乾いた音を聞いて思わず振り返る。
視線の先、大小の岩がいくつか転がる岩場の上には一人の女の姿が見えた。

白磁のような綺麗な肌にスラリと細身でありながら女性らしいラインを残した身体付、真っ黒なドレス。その一切が今の場とと不釣り合いで異様に浮いたその女性は同時に妖しく、本能が忌避するような危うさを感じさせて。

「ちょっとした鍛錬のつもりだったけどどうやらそうもいかなくなった見たいね…。ただ生憎、手助けは結構よ」

女の提案を断ったのは女の危険性を感知したからかそれとも現役冒険者としてのプライドか。ただそれは今の状況では大した意味を持つものではない。

迫る無数のトカゲ達を相手に大きく跳躍すれば天井につきささる自らの武器を取り引き抜いてみせ

「この程度ッ……これで!!」

そのまま空中で武器を薙ぎ払うように振り抜けば無数の魔力の刃が現れ、トカゲたちに斬撃の雨となって降り注いだ。

カミラ > もう少し冒険者らしい格好でもすべきというところだが、元々はそういう目的ではない。
とはいえ、その格好でここまでやってこれた理由は、遅れてやってきた別の影を見ればミスリードするかもしれない。
銀色の甲冑を着込んだ2mは超えた巨躯、がっしりとした体つきというよりは靭やかな猫科を思わせるような肉付きは、甲冑自体のタイトなデザインも相成って、風変わりに見えるはず。
トカゲ達が集まってくれば、ハルバードを構えて突撃しようとするも、不要と言うように手で制し、動きを止めた。

「こんな辺鄙な場所で大変ね……そう、じゃあお手並み拝見させてもらうわ」

クスクスと微笑みながら、断りの言葉をすんなりと受け入れる。
無数の刃に貫かれ、トカゲたちが数を減らしていくも、それと同時に更に血の匂いが濃くなっていく。
トカゲどころではなくなる、それ以外の厄介な魔物すら引き寄せるだろう。
しかし、何も言わない。
武術大会の観戦のように彼女の腕前を見るたびに、その価値を計算していく。
見た目もいいが腕もいい、綺麗に脳内を書き換えてあげればいい商品になりそうだと。
トカゲたちが片付き始めると、その血に誘われた大蛇の魔物が3匹うねうねと這いずりながら現れれば、猛毒を吐き飛ばし、動きを誘いながら毒牙を突き刺そうと首を俊敏に伸ばす。
少しでも動きが止まれば、太い胴体で絡め取り、締め上げようと獲物を狙う3匹は不規則に彼女を狙う。

アルテア > 「自分で選んだ修行場ながら嫌になるな…」

煙の如き猛毒をダンジョン内に充満させ縦横無尽に遺跡を駆け巡る三頭の大蛇を見て思わず溜息を漏らす。

元々は最低限の装備、食料で武器のみを用いて極力無駄な戦闘を避けつつ魔物の巣を走破する。今回の修行は戦闘感覚を鈍らせない為にそのような条件で行う予定“だった”。
故に重装備のローブバックパックではなく魔獣の皮と大型爬虫類の翼膜で出来たストレッチスーツを装備に選んだし荷物も水以外は最低限の物しか持ち込んでいない。
それがどうだ、今やトカゲ相手に大立ち周りをし本来なら真っ先に戦闘を避ける大蛇を相手にしようとしている、あまりの想定外っぷりに思わず苦笑が漏れ出して。

「まぁいいわ、ここまで来たらとことんやりましょうか」

大蛇が這い回る土煙と毒霧で辺りの視界は低下している。多少の無茶をしても岩場にいる女性にはきっと見えないだろう。なら――

「久々に本気も悪くないわよ、ね?」

そう呟くと琥珀の瞳は鋭さを増し金色の輝きを得る。頭には角が伸びそして次の瞬間、今までとは比べものにならない、刃渡り数メートルの魔力の剣が複数出現し、大蛇をまとめてぶつ切りの肉塊へと変化させて。

カミラ > 並の冒険者ではないのは確かだが、見た目からしてかなり軽装でやってきたというのは、戦うことが念頭にないようにも見える。
斥候のような素早い動きと偵察で接敵を回避し、宝物だけを掻っ攫う。
そう思えばタイトな戦闘衣にも納得がいく。
ここらの大蛇も中々に質が悪く、微量でも並の人間なら動けなくなる猛毒を持つ。
大立ち回りに素晴らしいわねと笑みをこさえつつ眺めていたが、それもそろそろ終わりだろうと…思っていた。

「……」

魔力の気配が変わる、それは自身が束縛した者と同族の気配。
姿こそ確かに見えないが、その戦果が裏付ける。
横一閃、それで大蛇の首が落ちていく影が見えれば、十分だろう。
変わらずに拍手を送るものの、脳内では決断していく。

(「魔族相手にここじゃ不利ね」)

手に負えない魔物という不利を押し付け、一瞬の油断から掻っ攫うつもりだったが、これでは不利が発生しない。
此方からあれこれと仕向けに近づくのも、リスクが大きい。
ちらりと傍にいる甲冑を見やるも、魔法生物として作り出された尖兵では、あのレベルには対抗できないだろう。
仮に掴まえられても、死傷する手駒が多すぎるのは、コスト割に合わない。

「凄いわ、ダイラスの闘技場ではこんなの見られなかったわ! 貴方に無理言って連れてきてもらった価値があったというものね」

意志の緩慢な甲冑の手駒を、付き人のように扱い満面の笑みで見上げる。
ほんの僅かな小さな身動き、それを合図にして手駒に耳打ちのフリをさせていく。
なにもないはずの言葉に、不服そうな顔で甲冑を見上げ、そして小さく溜息を零し眉尻を下げ、立ち上がる。

「私たちはこれで失礼するわね、ご検討を祈るわ」

危ないから帰りましょう と、それらしい耳打ちをされた芝居を打てばひらりと手を降り、踵を返す。
背中を向けたまま、ひっそりと指差し進む先を示せば、甲冑が先導して歩き出し、その後に続くのだった。

アルテア > 一連の戦闘を見て満足したかのように甲冑を引き連れ入口へ帰っていく女。鎧で固めた護衛を見るに魔物をみたいなど我儘を言って遺跡へ連れてきてもらったお嬢様なのだろうかと思いながらその背中に声を掛ける。

「待ってくれないかしら、流石に疲れてしまったから私も帰ろうと思っていたとろなの、よかったらご一緒させてもらえないかしら?」

気分が載せられ魔族態まで使ったせいで魔力はもう空っぽに近い、修行の気持ちも切れてしまった。となるともうここにいる意味はなくなったということ。
武器の血を払い、少ない荷物整えながら小走りで前を進む者に追いつこうと小走りをみせて。

カミラ > 僅かな確率に危険があるぐらいなら、安々自分の命をベッドするが、今回は僅かというものではない。
手札は乏しく、死ぬ率も高い。
降りるべきタイミングと、早くに切り上げようとしたが、思わぬ言葉に心の中で舌打ちをした。

「あら……もしかしてさっきのは切札といったところかしら?」

その言葉に足を止め、振り返れば勿論というように頷いた。
だが疲れたというが、使い切ったとはいっていない。
慎重に相手の状態を確かめながら、少しだけめを丸くしながら問いかけるのも演技。
それらしい他愛もない話に交えて、彼女についてを問いつつ道を歩く。
出口の方向へと向かいはしたが、あまり健常な彼女と至近距離には長居したくない。
歩きながら周囲の地図を思い起こせば、三股の分かれ道へたどり着く。
一瞬、地図にあった袋小路の部屋を思い出せば、顔に出さぬまま、内心ほくそ笑む。

「確かこっちだったわね?」

顎に手を当て、思案顔を見せた後、徐に右の道を指差した。
指差し示した方向へ行くように、単純な指示を覚えさせてあり、その命令に従う頷きが肯定のように重なっていく。
彼女が疑うことがなければ、そちらへと進むだろう。

アルテア > 「ふふ、まぁそんなところ。ギルドマスターがいざっていうとき腑抜けっていうのも情けないでしょ?…っとたしかそっちだったわね」

適度に会話を交えながら駆け抜けてきた巣を戻り始める。幸い大型の魔物が倒されたことにより警戒して他の魔物は姿を隠しているし、そういった危機感さえないトカゲ達は最初に倒しきっている。
甲冑騎士が護衛として先導を行っているのも相まってその帰路はピリピリと気を貼っていた往路とは打って変わって余裕のあるもので。

それ故か感知を巡らすこともなく、ただ目の前の女の言葉に疑問を抱くことはなく刺された道を進んでいく。

「そういえば最初から気になっていまのだけれど、魔物が見たいからってわざわざ山脈の中腹にあるここまで登ってきたのかしら?ってあら……?行き止まりね、前の道を間違ったのかしら、もどりましょうか」

光を道の先、突然現れた行き止まりに早々に来た道を引き返そうと踵をかえして。

カミラ > 「ギルドマスター……それならお強いのも納得だわ、こんな美人さんが切り盛りするなら、メンバーの皆さんも役得ね」

驚きに目を瞬かせたのは演技でなく、そんな大役についている存在が魔族であるという事実にだ。
とはいえ、添えた言葉と笑顔でカバーしていけば、警戒の様子がない彼女に察知されることはなさそうだ。

「えぇ……ダイラスの闘技場で試合観戦をするのが趣味なのよ。昔は生死が掛かることが多かったわ、だけど今はそんなのは中々見れない。だから、彼に無理を言って連れてきてもらったのよ……でも、間近だと情が移るものね、助けたくなったわ」

現れた理由、それを深めるようにそんな性癖じみたものを語っていく。
8割真実2割虚構、生死の境目で無残に潰れていく命を見るのは、時に絶頂すら覚えるほど興奮してしまう。
それが可憐で可愛らしい少女なら、廃人となって絶望の瞳で肉塊に変わる瞬間が。
それが妙齢の女性なら、じわじわと絶望に染まる表情を眺めつつ、心がへし折れて死ぬ様は筆舌に尽くし難い。
自身の性癖の一部を曝け出すように、熱を込めて語ってしまう。
そして、中腹という言葉に小さくため息を零すと、前を歩く甲冑の背中を手のひらで軽く小突いた。

「そうなのよ! 遺跡に行けばそういうのが見れるんじゃないかしらって行ったら、嫌々連れてきたくせにここよ? 山に入るなんて一言も言わないのよ…腕は立つけどどうにも気遣いが下手で困るわ」

小突かれた甲冑はゆっくりと振り返るも、良いから前進みなさいと再度小突けば、何言うわけでもなく前へ向き直りあるき続ける。
すんなりと道先案内に騙されれば、辿り着いたのは開けた袋小路。
薄暗いがゆえに、壁の向こうが見える距離である中腹まで進んだところで、彼女の言葉に従い、振り返った。

「出口が…っ!?」

窄まった道筋の部分へ、上からせり出すように岩の壁が伸びていた。
気付いたときには大分伸びたところで、急いでもその下をくぐるのは難しいだろう。
だが、彼女が岩の方へ振り返れば、先程の縄をはたっと地面に広げるようにして落とす。
ハングマンズノットの結び目に作られた輪は、開け閉めが出来る術の境界線へ変わる。
目を離したスキにトプンと異空間の自宅へ逃げ帰ると、残るのは縄だけ。
そして、侵入者を捉えるべく密閉空間に弛緩剤のガスがそそがれていく事となる。

カミラ > ご不在なようなので失礼します。
続き等のご相談は私書箱にてお願いします。

ご案内:「無名遺跡」からカミラさんが去りました。
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ご案内:「無名遺跡」にアルテアさんが現れました。