2017/07/14 のログ
ご案内:「無名遺跡」にリンさんが現れました。
■リン > 暗くじめじめとした遺跡。
鼠が通路の道の端を、魔物に見つかったり罠にひっかかったりしないようにこそこそと進んでいる。
しかし鼠と言うにはどことなく違和感があるし、よく見れば人間の足がはみ出しているのが分かるだろう。
実のところは、掌ほどの大きさの小人が鼠の皮をかぶって居るのだった。
リンはたまにこうしてこそこそと小人の姿で遺跡に潜り込んでは地図を作る仕事をしているのである。
小さいから魔物の注意を引くこともないし、軽いから罠に探知される危険性も少ない。
財宝を持ち帰ることができないのが欠点ではあった。
とはいえ、いやらしいトラップに引っかかった冒険者の姿を間近で覗いたりする、みたいな役得もあるにはある。
目当ての三割ぐらいはそれであった。
■リン > 魔物や他の冒険者の気配を感じられないことを確認して、ちょこちょこと通路を歩き、
扉の隙間から部屋の一つへと入る。
一見何の変哲もない部屋だが――小さくなって鋭敏になった嗅覚が、むわりとした雌臭を感じ取った。
不用意に踏み込むと壁のあちこちから器具が飛び出して過敏な箇所を弄くり回されるという趣向のトラップルームらしい。
今は起動していないが、その残り香だろう。
ちょっと下半身が元気になるのを感じながら、別の部屋を確かめるためドアの隙間を再びくぐる。
■リン > 再び通路を進み――何か柔らかいものにぶつかった。
「あれっ」
いつの間にかリンの身体がゼリー状の物質に囚われている。
いわゆるスライムだ。暗い視界の中透明度が高かったために気が付かずにぶつかってしまったのだ。
たちまちのうちに全身がスライムに飲み込まれていく。
人間であれば片足ぐらいを取り込むぐらいが関の山の大きさだが、小さくなったリンならばまるごと飲み込んでお釣りが来る。
「や、やめっ、食べなっ……」
情けない悲鳴を上げる口も粘着質に覆われ、鼠の毛皮が溶かされていく……