2017/07/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 最近、ある遺跡から戻らない冒険者達が居るという。
それは、少女の彷徨う遺跡を目的にした者達。
意図した訳ではないが、一人、また一人と襲い、戻らない者達を生み出せば、噂になるのは当然の事だった。
もっとも、冒険者達のやる事は自己責任だ、それは分かり切っている事だろう。
冒険に赴き、戻れないならば腕が足りなかった、それだけなのだ。
それでも、中には偽善を働かせ、戻らない者達を探すような冒険者も現れる。
…まったく、下らない話。
遺跡の中で、また一人の冒険者が倒れ伏す。
側に佇む少女は、その姿をつまらなさそうに見下していた。
「ここに来た冒険者、か…安心せい、お主もまた、その戻らぬ者達の一人に加わるのじゃ。
仲間が出来て良かったではないか、のぅ?
もっとも…妾としては、物足りないものじゃったがな?」
まだ息はある、だが、身に纏う鎧はところどころが強烈な打撃によって歪んでいた。
それは、少女が揺らめかせている、何本もの尻尾の所業。
手にしていた剣を、その一本がひょいと掴み上げ…ばぎん、と刃を力任せに真っ二つに折った。
■タマモ > 「まったく、人間とは何と愚かなものじゃろうか。
己の身も守れんのに、他人の心配をするとは…まぁ、妾としては、そういった愚か者が多いと助かるがな?
こうして、力を得る機会が向こうからやってくるんじゃからのぅ」
くすくすと笑い、倒れたままの冒険者の頭を軽く踏み付ける。
ここから少し力を加えてやれば、潰してやれるのだと、そう伝えるかのように。
だが、その足はすぐに引かれてしまう。
向ける瞳には、蔑むような感情しか込められていない。
すぐに殺してやれるのに、こうして生かされているのだと、思い知らせる。
「お主には、もう少し付き合って貰うとしよう。
ふふ…まだまだ、湧き上がる感情は残っておるじゃろう?
屈辱、恐怖、絶望、どんなものでも構わんのじゃ」
猫が獲物を嬲るように、一度抵抗力を奪い、解放し、また嬲る。
ここでは何度もやっている事だ。
そうされる人間から感じ取れる、黒い感情、それを得て力にしている。
さて、意識はあるが自分の声は相手に聞こえているだろうか?
軽くその体を蹴ってみる、そうすればあがる呻き声、どうやら意識はあるようだ。
■タマモ > このまま冒険者を逃し、その後を追えば彷徨っているこの遺跡から出られるだろう。
なのに、そんな単純な思考が働いていない。
今は出る事よりも、目の前の獲物からどれだけ得られる力を引き出せるか、そちらに思考が傾いていた。
それが、自分がいまだにここから出られない原因だというのに。
「ふむ…動けるようになったら、再開してやろう。
哀れな獲物が追い詰められ、その命が尽きるまで、妾を満足させておくれ?
どうせ、お主を助けるような者なんぞ現れぬじゃろう?」
数歩下がり、触れる壁に背を預ける。
そうして、のんびりと目の前の冒険者が動けるようになるのを待つ。
もしかしたら、体力温存の為にじっとしているだけかもしれないが、それは分からない。
ただ、少しでも動けるようになったなら、一度ここから離れて獲物を追跡する楽しみを味わおうとするだろう。
そして、ある程度楽しんだら…それで終わりだ。
■タマモ > そうして、しばしの間をのんびりとしていれば…不意に、少女は踵を返しその場を後にした。
ただ、一瞬だけ姿を消す前に、冒険者を一瞥する。
まるで何かを確かめるような仕草をするも、それだけだ。
その後、放置されたようになった冒険者がどうなったのか。
それはまた、別の機会に語られるかもしれない。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。