2017/06/14 のログ
タマモ > こういう時に、少女の勘は妙に働く。
適当に回収したお宝、見た目だけならば、訳の分からないものが多い。
しかし、持ち込む所が持ち込む所ならば、かなりの値が付く物ばかりであった。
これ以上は入らない、そんな状態の風呂敷を包み込む。
自分が持ち帰る分は、これで終了である。

「………あの手の連中は、どうせ無駄な復讐心に駆られて来そうじゃな。
待ってみるのも面白いか…?
別の何者かも来る可能性もあるし、たまには門番でもやってみるかのぅ?」

部屋の端っこに風呂敷包みを置き、部屋の外に出る。
開きっ放しの扉に手を添えて、ぐっと力を込めて閉めようと…

………閉まらない。
まぁ、そもそも自分は腕力には自信は無い。そんなものだ。

ひょいっと尻尾を伸ばし、ばしーんっと思いっ切り閉めた。
あ、なんか今軋んだ気がする…大丈夫だろうか?

タマモ > 誰かがやって来る、そんな時に掛ける言葉でも決めてみるか?
やはり、こういうものは雰囲気というものが大事だろう。
前置きも無く、いきなり戦いを始めるとか、ナンセンスである。

………まぁ、被害を抑える為の不意打ちとか、そんなのはあるかもしれないが。
それはそれで、面白味に欠ける。きっと。
むしろ、知り合いが来たらどうしようか…そこも考えておかないと、せっかく練った考えがおじゃんだ。

そんな感じに、少女は無駄に考えを膨らませていった。
こんな風に頭を使うなら、もっと別の事に使えよ。とか突っ込まれそうだ。
だが、誰かがこう言っていた。

計画は立てている内が一番面白いのだ、と。

タマモ > そして、計画は上手くいかないのが常である。
もっとも…少女の場合はよくある事、そこまで気にする事もない。
どうやら計画倒れだと理解すれば、再び揺れる尻尾が扉を叩く。
ばぎん、何かが壊れる音。
盛大に開くつもりが、盛大にばたーんっと扉は部屋の中に倒れていった。

「お…おぉ…壊れてしもうた…」

なるほど、さっき何か軋んだ音がしたのはこれだったのか。
倒れた扉をしばし眺め…気を取り直し、中に入っていく。
端っこに置いた風呂敷包み、よいせ、と担ぎ上げた。

タマモ > とりあえず、自分のと決めた分は持っていく。
では、ここに残った分は…?

「………と言う訳で、頼んだぞ?」

ぽつりと、一人なのに、誰かに言っているかのような言葉。
直後、誰かに怒鳴られたかのように、両手を耳で塞いで屈み込む。

…言うまでもない、式の誰か…誰かとも、言う必要はないだろうが、その相手に回収を頼んだのだ。
そして、当然のように怒られた、らしい。
まぁ、なんだかんだで回収してくれるのだと、信じているのだろう。
少女はそのまま、その場を後にした。

その後の事は…気にしてはいけない。

ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。