2017/05/08 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 軽く地面を揺らし、巨体を持つ魔物が目の前で倒れる。
そこに立つのは、一人の少女。
しゅるりと戻る動きを見せる複数の尻尾、それで今の相手を倒したのだと分かるだろうか。
手にする閉じた扇子で、ぽんぽんと反対の手を打つ。
「………まぁ、運の良い者も居れば、悪い者も居る…じゃろうな?」
ぽつりと呟き、少女はぐるりと辺りを見回す。
そこには、今倒れた巨体の魔物だけでなく、何人かの人間も倒れていた。
自分が来た時には、立っていたのは魔物だけ。
哀れな冒険者達が探索の障害となる魔物に倒された、と言った感じだろう。
仕事柄、そういう事は覚悟してやっているのだろうが…こう言うのを見ると、何となくやるせない気分になるものだ。
■タマモ > 「ふむ…」
ともあれ、こうして魔物が居るのは確認出来た。
奥に進めば、何も無いという前のような状態にはならなさそうか?
放置していくのは少々躊躇われたが、だから何か出来る訳でもないのだからこのままにしていくしかないだろう。
扇子を開き、ぱたぱたと扇ぎながら先を目指し歩き始める。
まぁ、通り過ぎ際に、軽く合掌くらいはしておいて。
…ここだと十字を切った方が良かったか?それとも、他に何かあるだろうか?
そんな事も考えたが、気にしないでおこう。
結構複雑に枝分かれしている遺跡だ、案外他にも誰かしら来ているかもしれない。
どんな相手か、それとも魔物か、何に出会う事があろうと暇潰しにはなる…が、過大な期待は禁物だ。
■タマモ > と、ふと足を止める。
別に何かが見えた訳でも無く、何かを感じた訳でも無い。
たまに、こうして一人で居る時に意図せず昔の事を思い出す事があるのだ。
この世界でない、今でない、遠い遠い昔の思い出。
まだ幼い頃に故郷を出て、ある場所で生活をしていた日々。
そして、自分を大きく変えた運命的な出会い。
続くのは、別れ。
本当にあの時は、己の存在を、無力さを強く恨んだものだ。
なぜ、自分は変われないのか。
なぜ、――は年老い死んでしまうのか。
あの日から、もうどれだけの季節の巡りを向かえただろう…忘れてしまった。
いや、数えたくなかったんだと、思う。
「………妾はまだ、約束を守っておるぞ?――よ…」
そっと手が首元の装飾を触れ、今は亡き者の名を紡いだ。
今の自分はきっと、誰にも見せれない表情を浮かべている事だろう。
自然と、それを隠すように唐傘を差し肩へと掛ける。
■タマモ > それも、しばらくすれば、和らいでくる。
ゆっくりと戻ってくる意識に、軽く深呼吸。
「おっと、いかんいかん…らしくないのぅ」
気を取り直すように、傘を閉じ、戻す。
昔を思い出したところで、失ったものは戻ってきやしない。
思い出は、思い出として心の奥にしまっておけば良い。
普段の表情に戻れば、改めて歩みを再開する。
ただ、まだ完全に戻った訳ではない。
こうなってしまうと、しばくは勘が鈍ってしまうだろう。
少々気を付けていかねばなるまい。
■タマモ > まぁ、こんな状態の時は耳と尻尾に何かしら現れるものだ。
実際に、耳は少し伏せ気味に、尻尾は垂れ気味に揺れている。
知っている相手が見たならば、多分、違いは分かるだろう。
もっとも、それを指摘したところで本人は否定するのだが。
そうして、進んで行く先に何が待っているのか…それは、次回に続く。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にエルツさんが現れました。