2016/11/09 のログ
ご案内:「無名遺跡」にエドヴェルト=ランデルさんが現れました。
■エドヴェルト=ランデル > 漂う悪臭の源は機械のようで機械でなく、生物のようで生物でない
歯車の軋むような音を立てながらつるりとした石畳の上は這うようにして迫るおぞましい肉の塊
所々、肉の合間から機械が露出して体液とも機械油とも取れるような気味の悪い液体を漏らしている
「罠…にしては、少々、悪趣味ではあるが…」
大広間。遺跡に眠る斧だったか槍だったか、或いは甲冑だったかを求めて相当、深い改装まで下りて…
いや、落とし穴のトラップにハマり落ちてきたが、こんなものに出くわすとは夢にも思わなかったが、
今晩か明晩には夢に出てきそうなほどのインパクトの有る異形と退治していた
おぞましい肉塊と一定の距離を保ちながら後退していく
ふわり、と柔らかな動作で腰の刀の柄に手を掛けた刹那、ぐぎゅ、と肉塊の裂け目から
無数の触手が此方に向かって弾けるように飛んでくれば、迷うことなく後方へ飛び退きながら刀を抜き放った
キラリ、と鈍色の刀身が光れば、ドロリとした液体に覆われた触手の先端が弾けるように裂け花を咲かせる
「…あの液体は被りたくないな…」
魔術の心得のない身としてはこれだけの巨大な肉塊を尽く斬り伏せるのは少々骨である
我が家の蔵に眠る名剣、魔剣、刀身に魔術の付与された武器であればそれも叶おうが
状況を不利だと見れば、伸びる触手を斬り伏せながら視線は脱出口を探して彷徨った
■エドヴェルト=ランデル > 防御を続けながら視線が彷徨うが出入り口はこの醜悪な肉塊が這い出てこようとする入り口1つ
その他にも自分の落ちてきた穴が思い浮かぶが、あれを飛んで戻るには以下に人間離れした力を持っていても
元の落ちてきた場所まで戻れるとは思えない
1つ、防御しながら感づいたのは肉塊は巨体ゆえ、本体は触手ほどには素早くない
とはいえ、じわじわと迫り来る肉塊に何れ追い込められてしまえば、この部屋でぎゅうぎゅう詰めにされてしまう
「…冗談ではない…」
死ぬ時は清潔なベッドの上が好ましい
愛した女の傍らで、等と贅沢は言わぬが静かに眠るように息を引き取りたい
おぞましい肉塊に押しつぶされ、粘度の高いドロリとした液体まみれなどと御免こうむる
鋭く迫った触手の先を素早く振り上げた刀の刀身で跳ね退ける
ドスン、と低い地響きをたて大広間の壁に触手が跳ね飛ばされればそこに僅かな亀裂が生じた
「壁の向こう…通路があってくれれば…」
複数迫った触手を今度は、受けずに避けて跳ぶ
亀裂の生じた壁の傍まで飛べば、先んじて壁に打ち付けられた触手に名工の作った短刀を突き刺し壁に縫い付ける
「…命には替えられん…」
名品であった
南方の鋼を使い、北方の名工が鍛え上げた逸品である
涙しながらその短刀を抜き打ち、直ぐ様、上段から刀を振り下ろし、続けざま横一文字に壁を切りつけ
脆くなった壁に肩から体当たりを行う
どん、と強い衝撃があった後、壁を破り向こう側に抜けたのと同時に感じたのは浮遊感であった
「…くそっ、またか…」
言葉にできたか、或いは口には出せずじまいであったか
そのまま、暗い闇の底へ向けて二度目の落下……落ちていきながら、どうして危険な場所ばかりに、
伝説やら口伝やら噂、そういった金品にまつわる噂が立つのだろうか…と考えながら暗い闇の底へ更に落ちていった―――
ご案内:「無名遺跡」からエドヴェルト=ランデルさんが去りました。