2016/10/24 のログ
ご案内:「無名遺跡」にソル・グラディウスさんが現れました。
ソル・グラディウス > カンッ カンッ

真っ暗な遺跡の中、鉄がぶつかるような金属音が鳴り響く。
一定のリズムでそれは鳴り続け、遺跡の奥へと木霊していく。
金属音の発生源へ近づけば、その音が大きくなると共に遺跡の小石を擦るような足音も聞こえる。

「あぁぁ…」

その男はそこに居た。
剣を手に持ち、それの剣先を一定間隔で地面へと叩きつけながら遺跡の奥底へと向かっていく。
彼の瞳は暗闇の中で輝きを放ち、暗黒の中で輝く一寸の光と化していた。
その金色の輝かしい瞳とは相対的に彼自身は呻き声に似た音を発していた。

「あぁ…イライラする…」

怒気の念が籠った声でそう呟く。
心なしか金属音の音量が増し、瞳も鋭く怒りが満ちた物へと変化する。

ソル・グラディウス > 「あぁぁあぁぁああぁぁあぁあ」

イライラが募る。
頭を抱え、うめき声の音量が増す。
自身の顔に爪を立て、顔を力強く何度も搔きむしる。
皮膚は傷つき、割れ、隙間から血が吹き出てもそれを止めない。

「ああぁぁああ!!」

掻きむしる手を止めれば剣を振るう。
その剣身は青いオーラが纏い、それが極大の斬撃となって遺跡の壁にぶつかり貫通する。
太陽の剣の奔流。それは遺跡の壁を溶かし、蒸発させながら外へと突き抜けていった。
斬撃が接触した場所はまるで溶岩のように焼け爛れており、高熱を発し周辺を蒸していた。

荒い息遣いをし、イライラを鎮めようと努める。
先ほどの掻きむしった傷はもう修復され、血が皮膚に付くのみとなった。

ソル・グラディウス > 「………はぁ…俺としたことが…」

頭を抱え、その場に座り込む。
斬撃により大穴が開いたところからは外の光が入り込み、周辺を限定的に照らしていた。

ここに来た理由、そして何故ここまで怒りを感じているのか。
それは渇きを感じているからだ。

当然、喉が渇いたわけではない。
まともな寝床に付けないわけでも、食事を取れないわけでも、風呂に入れないわけでもない。
性欲だってしっかりと満たされている。
しかし、自分がこの街に来て唯一満たされてないもの…それは。

戦いの充実感。

依頼で山賊や盗賊、魔獣を殺し、報酬を得る。
それを繰り返している内はよかったのだが、最近になってもっと強い敵と戦いたい、殺したいという欲望が芽生えて来た。
しかしそれを満たせず、イライラは募ってゆくばかり…強者と殺し合いをするどころか強者にすら会えない。
様々な地位を転々としてそれを探している物の、中々上手くいかない。

戦いを重ねてイライラが少しは解消されると思ったのだが、敵の脆弱さにイライラが募る一方。
逆効果がついに限界を超え、こんな事態へと陥ってしまった。

「…らしくないなぁ…今日は、帰った方が良いか」

項垂れてそう呟く。
立ち上がれば服を払い、剣を鞘に収めると斬撃で空けた大穴を通り外へと出ていくのであった。

ご案内:「無名遺跡」からソル・グラディウスさんが去りました。