2016/09/18 のログ
■タマモ > 開いた扉の先はだだっ広い部屋、そしてなんとも巨大な魔物が佇んでいた。
見た目は…うん、一発で単語が出てくる、ドラゴンだ。
それを目にした途端、少女の瞳が喜びに輝いた。
「お、おおおぉっ!? ドラゴンじゃ! やっと本物のドラゴンが妾の目の前に…」
以前から見てみたいと言っていた存在、それが現れたのだ、喜ばない訳がない。
侵入者へと目を向けるドラゴンに対し、指差して声を上げる少女。
ただ、そのドラゴンは高い知識を有するタイプではないのだと、それに少女は気付いてない。
ここを守るだけに居る、侵入者は排除する。
近付いても来ない侵入者に、牽制の一発と言わんばかりに息を大きく吸い込み…轟音を立て、炎の吐息が噴き出された。
「………ちょ、ちょおおおおおおぉっ!?」
不意打ちとまではいかないが、いきなりの攻撃。
少女はびっくりしたように叫び声を上げつつ、ふっとその場から姿を消した。
炎が収まった後には…ちりちりと熱を持った壁や床、もちろん少女の焼け跡なんてものも無い。
その姿は、炎の見舞われていなかった場所に立っていた。
■タマモ > 「やれやれ、話も聞かぬとは…困ったものじゃのぅ…?」
困ったように、ぽりぽりと指先で頬を掻く。
ドラゴン自体に会えたのは嬉しいが、どうやらゆっくりとお話なんて事をさせてくれるタイプではないらしい。
軽く溜息を付くと、その瞳が鈍い輝きを放ち始めた。
「安心せい…殺めはせんでな?」
右手が流れるように胸元に指先を当て、何やら印を描く。
近付けば爪や尾で、離れれば今の炎で、そんな単純な思考が読めた。
ならばと、この力を使うのだ。
大層なものではない、すぐに胸元に描かれた印が輝きを放つ。
そんな事をしている間に、ドラゴンは炎の第二波の為に息を吸い込み…少女へと炎を噴き出す。
少女は動かない。
そのまま、炎は少女を燃やし尽くさんと襲い掛かり…次の瞬間、ふっと消え去った。
…で?と言わんばかりに、少女は余裕の表情を浮かべてドラゴンを見遣る。
ちょいちょいと、挑発するように手招きも加えて。
当然、それに乗るように3発目、4発目と攻めて来ないのを良い事に炎を噴き続ける。
だが、やはり少女には傷一つ付けられていなかった。
■タマモ > 高度は知識は持たずとも、その力は大層なものだ。
数発の炎、それを吸収した事によって少女の身体能力はほとんど限界に近いところまで跳ね上がっていた。
…これ以上はまずいか。
思考が鈍り始めたのを見計らい、5発目の炎を吸収したところで、少女が動いた。
とん、と軽く床を蹴ったように見える。
その姿はドラゴンの目に捉えられる事も無く、その懐へと潜り込んでいた。
いつもの転移の能力ではない、普通にその一蹴でそこまで移動したのだ。
「ふふ…どれ、どれ程に硬いのじゃろう?」
能力の上昇と、妖力を込めた、腹部への拳の一撃。
ずどん!と重みを持った重低音が部屋に響く。
高い位置への一撃だ、ふわりと少女は床へと着地をする。
ドラゴンは…ぐらりとその身を揺らがせ、大きな音を立てて地面へと倒れてしまう。
「………ふむ」
ぐっぱっぐっぱっ、と手を握ったり開いたり、それを見る。
確かに硬かったのは感触で分かるが、一撃は予想外だった。
■タマモ > さて、困った。
倒れたドラゴンの横を通り過ぎ、お宝か何かが眠っているだろう次の部屋へと進みながら考える。
上昇した能力の強弱調整は出来るが、この限界を超えた分の影響を受ける精神面はどうしようもない。
とりあえず、と扉を抜ければ、まさしく宝物庫といった感じの部屋に通じていた。
…うん、ぶっちゃけ相変わらず価値なんてはっきり分からない。
懐からばさっと風呂敷包みを広げると、適当にそこへと置いていく。
なんか感じるような気がする宝石を何点か、煌びやかな装飾が施された軽めの装備品もいくつか。
後は勘の働くままに、鉱石やら何かの道具っぽいものを掻き集めた。
「よし、こんなものじゃろう」
量としては、宝物庫にあった分を考えれば些細なものだ。
実際には価値として考えれば、かなりのものだったりするが。
風呂敷包みをきゅっと結び、これで後は帰るだけである。
■タマモ > よいせ、と膨らんだ風呂敷包みを背負う。
後はこれを住処に持ち帰るだけだ。
今、もし楽しめそうな相手を前にしてしまったら、抑えれる自信がない。
それが、戦うのであろうと、弄ぶでのあろうと、どちらでも。
時間の経過で収まるのだから、このままそれを待てば良い…ともあるかもしれないが、そんな時間じっとする気は無い。
という訳で、帰りに出会うような不幸な相手に出会わぬ事を祈って帰路に付く、といった感じだ。
まぁ…ドラゴンが守っていたような場所だ、そうそう誰かが来る訳でもないだろう。
宝物庫を後にして、今だ倒れたままのドラゴンをぽんぽんと触れ、通路へと戻っていく。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。