2016/05/19 のログ
ご案内:「無名遺跡」にヘクター  さんが現れました。
ヘクター   > 迷宮を当てもなく彷徨っている一人の男。
財宝を求めて入った分けでも、ギルドなどで依頼を受けたわけでもなければ学術的な興味があるわけでもない。

ただ、新たな力を手に入れれるきっかを求めてのこと。

「さあて、これはどんな物が出てくるのかのう。」
かつてこことよく似た、いわゆるダンジョンの類を踏破した経験から罠への対処は悠々と。
仮に踏んだとしても魔法で無力化する。
万が一、それすら出来ず腕や足の一本が飛んだとしても己の豊富な魔力で再生することが出来る。

男にとってはダンジョンを歩くこと自体はそれほど意味はない。

にもかかわらず、ここへ来た理由。
それは未だ見ぬ悪魔や魔物の類との遭遇を求めて。

それが己にとってない力を持っていれば最良。
無くても己の魔力を高める為の糧にはなることだろう。

「どうやら、わしはもっと強くならねばならん。」

ヘクター   > 元々男の能力は低かった。
魔族の中でも下級の下級。
下手をすれば駆け出しの冒険者などでも殺せてしまう位の雑魚。
そんな状態の男の唯一の能力は他者の魔力、能力を取り込むこと。

触手を使い、己よりも弱い者、強い者誰彼無しに襲い魔力を吸収した結果得た今の力。
魔族の中でも間違いなく上位クラスには入った。
どこかで勇者と名乗る酔狂な人種と鉢合わせしても大抵は返り討ちにするだけの自信はある。

だが、上には上が居るもの。
とりわけ各地から様々な人種が集まるここではどうしてもそう言った類と鉢合わせする。

「どうにかして、あの魔力を取り込んでおかねば。 わしが更に上に行くためにの。」
そのためには今よりも更に多くの魔力を集める必要がある。

それが己の味わったことのないタイプだと尚よい。

そういった物へと出会うため石畳の床を歩き続ける。

ヘクター   > 男の前方より、巨大な者の足音が聞こえる。
大きな足か何かが床を踏みしめる音。

その音は次第に大きくなってゆく。
その上、音の感覚が狭まっていく。

「どうやら、わしの獲物第一号が着たようだの。」
裾の中の両手に魔力を集中させながら音のする方へと歩いていく。

数歩先に曲がり角、そこを曲がればおそらく遭遇する。
男は期待に胸が高鳴っていくのを感じつつ角を曲がる。

男の予想通り、角を曲がると同時に鉢合わせする。
身長5mはあろうかと思われる単眼の巨人が拳を振り上げ、男の頭上へと叩きつける。

が、男は無傷であった。片方の手を天に掲げ、魔力で障壁を作り怪物の攻撃を防いでいたからである。

「お前のようなタイプはよく見るな。 そして、得てして吸えるものはない。 失せろ。」
もう片方の手を怪物の方へと向ける。
魔方陣が展開され、怪物の後方より矢が放たれる。
その矢は怪物の頭に突き刺さり、怪物はひとつしかない大きな瞳を閉じて崩れ落ちる。

「1日もすれば目が覚める。 今度はもう少しまともな仲間でも連れてこい。」
崩れ落ち怪物に告げるが、既に深い眠りに入っており聞こえてはいないだろう。

ご案内:「無名遺跡」にヘクターさんが現れました。
ヘクター > 「流石にあれにこれを入れる趣味はないからのう。」
ローブの裾を手で摩りながら息を吐く。
本来、男の触手はいかなるものであれ触れた者や咥えた者を犯し、魔力を取り込んでいく力がある。

とはいえ、あのような化物には使う気にはならない。
もっとも、先ほど倒れた化物の性別がどうかなど知る由もないが。

とはいえ、未だこれといった収穫は得られず。
男は展開していた魔方陣を閉じるとまたダンジョンの奥へと向かう。

ヘクター > 奥へと進んだ所で、2匹目の魔物咆哮。
だが、これは聞き覚えのある声。

具体的に言うとつい先ごろ。
視線の先には男のはるか後方で倒れている魔物とほぼ同じ見た目。
背丈が少しこちらの方が高いと言う位か。

「なんだ、この遺跡は! 付き合いきれんわ。」
これ以上の探索は無意味と判断。
魔法で別の空間への出入り口を作り、そこへ入り込む。

魔物が姿を現す頃には男の転移は既に終わっていた。

ご案内:「無名遺跡」からヘクターさんが去りました。