2016/01/24 のログ
タマモ > 四足歩行の鉄の塊を前に、ふっと少女は嫌な考えが頭に浮かんだ。
ロボットという事は思考が無い、そして魔力やらという力も無い。
ゴーレムのように魔力を掻き消して、はいおしまい。という訳にはいかなさそうだ、と。
…実際には魔力で動く機械だ、要領はゴーレムと同じで無力化は出来る。
しかし、少女はそれが魔力で動いているとは気付かない。
これって、もしかして物凄く面倒な相手なんじゃないか?

そんな考えをぐるぐる巡らせている中、更に耳に別の物音が聞き取られる。
入り口だ、相手が何かを探ってる余裕は無い。
追加注文なんてしてないのに、これは酷い。そんな事をふっと思った。
そちらにも警戒は向けておく。

が、そこから現れたのは…人間だった。
色々と考える事はあるのだが、今は敵でなさそうな者が増えたのはある意味助かったのかもしれない。
かけられる声に、あ、やっぱり敵じゃなかったと確信出来た。

「妾に聞かれても困るのじゃ。
なんかいきなり矢を射掛けてくるし、敵であるのは間違いないじゃろうな?」

答えながら、するりと袖から扇子を閉じたまま取り出し、両手に持つ。
目の前のロボットといえば、会話をゆっくりとさせてくれる間も与える気はないらしい。
四本の足を自在に動かし、構えとかも無関係に一気に距離を詰めて来た…大きさとは裏腹に、かなりの機敏さだ。
同時に手にした四本の剣を何の予備動作もなく侵入者へと振り下ろしてくる。
容赦なく叩き斬る気満々の勢いだ。
自分は機敏であろうと何とか身を翻しそれを避ける事は出来るが…果たして隣にいた少女は?

リーゼロッテ > 「じゃあ…魔導機械の人形といったところでしょうか…」

色んな不思議な動作を起こす魔導機械なのだから、人型で戦争に用いるものがあってもおかしくはない気がして。
確かめるように呟いたのもつかの間、唐突な先制攻撃が襲いかかる。
何時もなら竦んで動きが止まってしまうのだけれど、何時もと違うのは相手が機械ということ。
命を奪うということがない、だからか直ぐ様ステップを踏んで横っ飛びに回避すると、着地と同時に少しだけ地面を統べる。
その合間に素早くライフルを構えれば、ロボットの胸元へ照準を合わせていく。

「えぃっ!!」

青白い魔力の弾丸が銃口から放たれ、魔法陣が消える。
プレートメイルを貫けるほどの破壊力はないが、そのエネルギーの衝撃は大きく、大人を転ばせるぐらいの力はあった。
これで動きが止まればと、牽制攻撃でロボットの動きを封じようと試みる。

タマモ > 「おぉっ!?…い、いきなりじゃな、もうちょっと加減の一つでもせんものか…!?」

少女の呟きに耳を傾ける余裕もなく、こちらは攻撃を避けて僅かに距離を置いた。
びしりと右手の扇子を突きつけ文句を垂れる。…なんだかんだで少しは余裕があるのかもしれない。
それにしても、やはり思考がない攻撃というのは避け難い。
これがまだ思考を持つ生物ならば、それを読み取り紙一重で余裕を持って避けれるというのに…
ともあれ、攻撃をしなければ話にもならない。
突きつけていた右手を1度引き、力を込めて薙ぎ払うように振る。
目に見えぬ衝撃がロボットへと叩き込まれ、大きくその体を仰け反らせる。
…思いっきりふっ飛ばす程の威力でも良いのだけど、あんまり威力が大きいと部屋ごと壊してしまいそうで、出来ない。

そこへ追撃の形で少女の攻撃がロボットへと襲い掛かる。
仰け反っていた後の攻撃だ、その図体は更に後ろへと傾くが…それだけだった。
がくん、とすぐに上体が体勢を立て直す。
きっと二本足だったら倒れてたと思うが、相手は四歩足だ、この程度では倒れてくれないようだ。
ダメージがあるのかないのか分かりやしない、動きに何の鈍りもない剣撃が再び襲い掛かってくる。
近いのは…こちらだった。滑って距離を置いた分、少女の方が遠かったみたいだ。
思考があるなら何本だろうと楽なのだが、思考のない相手で四本となると…軽く捌こうなんて考えない方が良い。
避けれそうな攻撃を何とか避け、当たりそうな攻撃は扇子で弾く。…当たりはしないのだけど、防戦一方だ。

距離を離した少女には、かしゃり、と音を立て胸元が開いた。
そこにはボウガンタイプの装置、連なる矢が滑るようにセットされる優れものっぽい。
きりきりと矢が絞られ、今度は少女へと矢が射られる。

リーゼロッテ > 二人の攻撃を受けても、それがどうしたと体を立てなおして、追撃をするロボットの強靭さに目を丸くする。
狐耳の少女を攻撃し続けるならば、その合間に攻撃をと構えようとするが、耳に残る金属音が響いたのに気づいた。

「くっ…!?」

ボウガンらしき装置から屋が放たれる、先程の矢というのはこれのことだろうと把握しながらも、地面を転がるようにして再度回避していく。
ちょっとやっそっとの力じゃ止められそうにない。
そう思うと、銃のボルトを引いて排莢口を開く。
戦争では使うことのなかった増幅装置…魔石の弾丸が連なったものをクリップでガコンッと押し込めると、再び銃を構える。

「これならぁっ!!」

緑色の光で作られていく魔法陣、そして5つの緑の光弾が連続で放たれた。
ロボットではなく、その周辺の地面へ弾丸がぶつかれば、薔薇蔦が勢い良く伸びていく。
とは言え、強化された薔薇蔦は何時もの比ではなく、かなり太い。
それこそジャングルで木々の絡みつく太い蔦のようだ。
棘で一層絡みつく力を強めながら、蔦は機械兵士へ襲いかかり、動きを封じ込めんと絡み付こうとするだろう。

タマモ > 「一応…人間なら壁まで吹っ飛ばせる威力だったはずなんじゃがのぅ?」

傾いただけのロボットに、頑丈さは見た目通りだと考えた。
それならば本気を出して鉄の塊にしてやろう、そう考えるのだが反撃の糸口が掴めない。
うん、相手の攻撃が読めないのが痛過ぎる。

ちらりと視線を横に向ければ、どうやらあの胸元から射ていたのがさっきの矢だったみたいだ、と気付く。
それが今度は少女に向けられていた。
…手は出せないが、なんとか避けてくれてるみたいである。
と、なにやら魔法かなんかだろう、何かを放ったみたいだ。

それは地面へと着弾する。
ロボットは着弾しないならば無害と判断したのだろう、それには無反応だった。
だが、その着弾点から伸び始める薔薇の蔦、攻撃をほぼこちらに集中していたせいか避けるには到らなかった。
絡みつく蔦に体を雁字搦めにされ、動きが止まる。
とはいえ、それもそうは長くは無い。
人に近い形とはいえ、ロボットはロボットなのだ。
剣を持つ手首が人在らざる角度に曲がると、蔦をいとも容易く切り刻んでいった。

「………いやはや、間が空いてくれて助かったのじゃ。
悪いが、その形残さず潰してやろう」

それだけの間でも空いてくれれば十分だった。
攻撃が止まったのを見れば、扇子を袖にしまい込む。
右手をロボットへと差し出し、手の平を広げる。
それにさっきとは比べ物にならない力を込め…ぐ、と握り込むように動かす。

ごしゃっ…!金属の潰れる鈍い音。
次の瞬間には、四足の人型だったロボットが、球状に潰された鉄の塊へと姿を変えていた。

リーゼロッテ > 動きを止めることは出来たものの、それも一瞬のこと。
人ならざる動きで蔦を切り刻むのを見やれば、ぐっと表情が険しくなる。
ここで攻撃する弾を撃ったら、あの娘にもあたってしまうかもしれない。
そう思うと攻撃はできず、残った魔石の弾丸で強化された別の足止めをしようと魔法陣を構成する。

「…ぇ?」

まるで手品のようにロボットが丸められた鉄へと変わってしまう。
マヌケな声とともにポカンとその様子を見やるも…もう、決着がついたとしか言いようが無い。
ほっと安堵の吐息をこぼすと、魔法陣を消していく。
ボルトの部分を操作して残った魔石の弾丸と、束ねるのに使われているクリップを吐き出させると、ポケットにそれを戻す。

「危なかったですね…こんなのが居たなんて驚きです」

困ったような苦笑いを浮かべながら呟くと、ライフルのベルトを肩に通して背負う。
そして、彼女の方へと再び歩み寄っていく。

「遅くなりましたけど…こんばんわです、あなたも何か探しものですか?」

改めてご挨拶をすれば、柔らかに微笑んでいく。
こんなところに用事があるのは、だいたいそんな理由だろうからと、確かめるように問いかけた。

タマモ > いやはや、もし一人で相手していたらと思うとなかなかに肝が冷える。
よもやロボットがこの世界に居るなんて思いもしなかった。
…まぁ、うん、自分の弱い部分がなんとなく見えた気がする一戦だった気がする。

やれやれ、といった感じに肩を竦めれば、差し出した形の手を戻す。
埃やらを払うかのようにぱんぱんっと手を叩いた。
そこで改めて遅れて入ってきた人間へと視線を移す。
ちょうど武器を戻そうとしているところだが…その形状には見覚えがあった。
銃だ、そんなものさえこの世界にはあったらしい。

「まったく、ロボットがこの地に居るのは予想外じゃった…」

ぽつりと呟く。
歩み寄ってくる少女には視線を向けたまま、挨拶代わりにひらりと手を振った。

「そうか、もうそんな時間になったんじゃのぅ。
…ともかく、おばんじゃ。
妾が来たのは暇潰しじゃな、まぁ、何かお宝が見付かれば尚良し、といったところじゃろう。
あなたも、という事は…お主は何か探し物だったんじゃのぅ?」

入ったのが確か朝頃か、それがもう夜になっているらしい。
ふむ、と頷き乍ながら、とりあえず問いには答えておいた。
自分と違い、この少女はどうやらここになんら目的があって来ていたのは分かった。

リーゼロッテ > 埃を払う様子から、怪我もないようだと安心していく。
こちらを見る視線に何か意図を感じれば、何かなと思うものの、寧ろその後の言葉がその意識を傾けていく。

「ロボット…? あれ、ロボットっていう機械なんですか?」

耳馴染みのない言葉、魔導機械としか言われ続けていないそれに、そんな名前があったんだと思うと、丸い瞳を一層に丸くする。
とはいえ…再び視線を向けたロボットは、どちらかと言うと鉄鞠といった状態で、苦笑いが溢れる。

「ひ、暇潰しでこんなところに来たら危ないですよ? 危ない魔族とかも出てきますし…私は、その…そういう機械をさがしてたので」

そこで鞠にされてしまったロボットを指差す。
とはいえ、これは持ち帰りようがなかったのでどうしようも無いだろうけれど。
こうして改めて室内を見渡すと、魔導機器らしいものが幾つかテーブルに並んでいるのを見やれば、目を輝かせてそっちへと走っていく。

「ありましたっ、でも…なんでしょうね、この機械」

何かの道具なのは分かるものの、どういう道具かはわからない。
一つ手にとって色んな角度から確かめていくも、わかるはずもなく。
それから彼女へと振り返っていき。

「あの、貰って行っていいですか…?」

お宝とは違うだろうしと。
多分先に見つけたであろう彼女へ、おねだりする子供のような幼い表情でじっと見つめて、確かめる。

タマモ > まぁ、この世界のすべてを知る訳じゃない。
まだまだ自分の知識に近い物があるのかもしれない。
そんな事を考えていれば、少女からの問いが聞こえた。
かくん?と首を傾げる。

「いや、ここでの名前は知らぬが…何か名前があるのかのぅ?
あー…ロボットというのは妾の呼び方じゃ、お主は何と呼んでおるのじゃ?」

うっかりと自分の知識上の名称を聞かれてしまったらしい。
とりあえず、気にするな的に答えながら、このロボットの呼び方を聞いてみた。

「いやいや、何の刺激も無い生活を送るくらいならばこれくらいの危険、何とも無いのじゃ。
………こういう機械…のぅ…?」

まぁ、部屋や少女の心配をせずに初めから強い力を使っておけば実際に何の問題もなかったはずだ。
えっへんと胸を張りながら言葉を返す。
そして、続く言葉には…あー…といった感じに、鉄の塊を見た。
それ以外の反応が…何ともしようがなかったとも言う。

と、少女が部屋にあった別の物を見ればそちらへと駆け寄っていく。
…あ、なるほど、あれもその機械だったらしい。

「………ふむ、妾に言われても何が何やら分からんぞ?」

最初に見ていた物も、そして他に並べられた物も、自分には用途やら何やらさっぱり分からない。
ともあれ、少女の反応から見て…それなりに価値がある物なのかも知れない、とは思った。

「そうじゃのぅ…さすがに手ぶらでは、こんな奥まで来た意味がない。
せめて持ち帰って何かの足しにしようと思うたが…
そうじゃな、くれてやっても良いがやはりその場合は…見返りの一つは欲しいものじゃな?」

こちらをじっと見詰めてくる少女、改めて見てみれば…うん、なかなかに可愛らしい女子だった。
そういった理由もあるのだが、言葉の通りの理由も少しはある。
一日かけて何も無く帰るのは、さすがにちょっと物悲しい。
それならば、といった感じだ。
少女がそれを承諾してくれれば良い、せずともこれが少しは何かの足しになるだろう。

リーゼロッテ > 「魔導機器とか、魔導機械とか、そんな呼び名ですね。昔の人が作った魔法で動く特殊な機械みたいです。 ん~…魔導機械の人形さんですから、魔導機械人形…長いので機械人形とか、そんな感じでしょうか」

話を聞くに、何処か別の大陸から来たのかなと思わされる。
着物らしい恰好もあまり見たことがなく、友だちが言っていた東洋の人かなとも思えた。
問い返された言葉には、顎に手を添えて考えこむ様子を見せながら…あまり代わり映えのない言葉になってしまう。

「強いんですねぇ…その機械も一撃でしたし。…ぁ、だ、大丈夫ですよっ、どっちにしろ倒さないと私達が危なかったですしっ」

自信満々の答えにくすっと微笑みが溢れる。
なんだか咎めるような言い方になってしまったようで、慌てふためきながら大丈夫とか言葉を重ねていく。
無事だった機械の方へと向かい、彼女もわからないといえば…戻ってから参謀さんに見せようとか、考えることに。

「見返り…ですか? ん~…お金とか、そういうのでしたら…拠点まで戻ればお渡しできると思うのですけど」

言葉に含んだ意味を読み取れるほど、この娘は頭が回らないらしい。
きょとんとしながらも、お金の話であればと支払える伝があるのを答えた。
とはいえ、即金といわれてしまうと困るところで、苦笑いを浮かべながら言葉の答えを待つ。

タマモ > 「魔導…?なんと、魔法で動く機械じゃったのか。
むむむ…ならば潰さずとも、魔力を掻き消してやれば良かったんじゃのぅ…」

考え込む少女が言葉にした答えを聞けば、そこでやっと魔力が関係する事を理解する。
それを理解すれば、実は対処方法がもっと楽であった事を考えてしまい…がっくりと肩を落とした。
うん、無駄に強い力を使う必要性は無かったのだ。

「当然じゃ、油断無ければこの程度の事は造作もないぞ?
そ、そうか…それならば良いのじゃ」

考えてみれば、魔力を消してしまっても魔導機械の意味がなくなる。
どう対処しても結果は変わらないようだ。
気を使う少女の言葉に、ちょっと安心をした。

「さすがに寄り道はせずに帰りたいからのぅ…そうじゃな、こういうのはどうじゃろうか?」

少し理解足らずだったらしいか、お金の話が出てきた。
お金も欲しいといえば欲しいのだが、それよりもこちらの方が興味がある。
ゆっくりと側に歩み寄ると、そっと腕を伸ばし少女を正面から抱き寄せた。
そのままゆっくりと顔を寄せ…唇を…まではせず、こつん、と額と額をくっつける。
ちょうど目と目が合う感じに、これで少しは理解してくれるだろうか?

「こうして見ると、とても可愛らしい女子ではないか。
お主のもっと可愛らしいところを見てみたい…どうじゃ?」

リーゼロッテ > 今更ながらにそれが魔法で動くと知った様子を見やれば、こちらも肯定するように頷く。
やはり、東洋にはこういう機械はないのかもしれないと、一人、言葉の違和感に納得していく。

「ぁ、それができるなら…そうですね」

魔法の力を散らしてしまえば、あのロボットも動きを止めていたことだろう。
そうなると潰したのは勿体無い…と思うけれど、助かっただけいいことなんだからと、思い直していく。
がっくりとする彼女を見やれば、相変わらずに優しい笑みが浮かんでいた。

「私と同い年ぐらいに見えるのに、凄いですねぇ…」

あれぐらい強かったら皆に心配されないのにと思っていると、彼女が近づいてくる。
なんだろうかとじぃっと見つめていれば、唐突に伸ばされた腕に抱き寄せられ、目を白黒させていく。
一瞬思考が止まり、そしてはっと意識が戻れば頬が真っ赤になり、一気に鼓動が高鳴る。
近づく顔、唇が近づき…駄目と呟いたと同時に額が重なると、潤んだ瞳で彼女を見つめ返す。

「ぅ…ぁ…そ、それじゃないと…駄目、ですか…?」

金の代わりに体をと言われているのが流石にわかると、声が小さくなり、引きつったようにぎこちなくなる。
視線を逸らしながらに改めて確かめるのは、即答するに恥ずかしいから。
いいよと、すぐに差し出せるほどに擦れてはいないからで。
確認の言葉の後、おずおずと彼女の方へと視線を戻していく。

タマモ > どうやら少女は違いを東方の国の出と勘違いしてくれているらしいか。
いつもの説明をせず済むような、そんな気配を感じていた。

「まぁ…余り深く考えても戻る訳ではないじゃろう。
それで良しとしておこうかのぅ」

まだ少しばかり気落ちしている部分はある。
だが、とりあえずはそうであろうと思えば、マシに思えた…気がする。

「見た目は見た目じゃ、妾はお主よりもかなり年上じゃからな?」

だから敬っても良いぞ?といった感じに…相変わらずである。
抱き寄せ、額を重ねる。さすがにそこまでやれば気付いたようだ。
顔を赤くし、その緊張が肌に伝わってくる。

「お主が可愛らしいのがいけないのじゃ。
金も悪くはないが…妾は少しでもお主との関係を持てる事の方が良いと判断したのじゃ、駄目か?」

更に近付く顔、鼻先が触れる…後ほんの少し寄せれば唇も触れるだろう距離。
反応から、簡単にはい分かりました、という訳にはいかないのは分かる。
だが、強い拒否が出るものでもない事も同じく分かった。
あえて少女と同じ様に声を小さく、必要も無いのに少女だけに聞こえるように、逆に問いかける。
視線は真っ直ぐに見詰めたまま逸らさない…僅かでも承諾の姿勢が見えれば、空いた手を頭に添えて優しく唇を重ねるだろう。

リーゼロッテ > やはりどこか気落ちしているような…そんな感じがするものの、良しとしようという言葉を信じることに。
何処と無く偉そうなのが逆に子供っぽくて、楽しげに微笑みが溢れる。
分かりましたと答えているものの、受け入れたのやらどうやら。

「そんなこと…ない、ですよ?」

可愛らしいと言われても恥ずかしいばかりで、羞恥に潤んだ瞳のまま、ちらちらとそちらを見やりながら、自信なさげに紡ぐ。
そうだと認めたら、まるで彼女を誘っていたかのように感じて恥ずかしいのもある。
お金よりもそっちがいいと言われれば、どうしようと視線が右に左にと彷徨って、無言の間が生まれてしまう。
そして…ゆっくりと深呼吸を一つ。

「…わかりました、でも――」

了承の声と共に重なる唇。
びくりと体が跳ねれば動きは止まっていく。
緊張しきった体が微動だにせず、されるがままに重ねられるばかり。
ただ、唇ば離れれば、途切れた言葉の先を彼女に伝えるだろう。
外じゃイヤと、ぽそっと消え入りそうな声で。

タマモ > 気を取り直し、改めて考えてみる。
うん、なんだか年上なのに年下らしく思われてる気がする。
人間と比べれば誰でもそんな感じだし、それは仕方ないかもしれない。

「ふふ…どうしてこう、可愛らしい女子というのはすんなりと認めてくれぬのかのぅ?
そんな事があるのだから、そう伝えておるんじゃぞ?
きっと、お主は妾の期待通りの可愛らしさを見せてくれるじゃろう…期待以上やもしれぬな?」

こういった類の女子は、皆そんなものだった…一部は除くが。
どうしても自身でそうなのだとなかなか理解してくれぬ。
だからこそ…それを教えてやるのも楽しみの一つになる。

言葉と共に唇を重ねた。
小さな反応、それを確かめるように、舌先を少女の唇へと舐め上げるように這わせる。
緊張に動けないのだろう、そのまま唇を味わうようにして舌先を中へと押し込む。
されるがままか、そうならば、暫しの間たっぷりと口付けを味合わせていく。
長々とした濃厚な口付け、それがやっと終えれば唇を離す。

「ここならば誰も来ないじゃろうにのぅ…?
場所を移すならば、その間もお主の可愛らしい姿を見る為に少しばかり悪戯をしてしまいそうじゃが…それで良いならばな?」

今行った行為に少女の意識が昂ぶっているのが分かる。
ここでそのままするのが良いのだが…少女が望むように移動をするならば、その間に少しでもその昂ぶりが収まってしまうかもしれない。
そうならないように、そうするのだと…そんな感じの説明。
この場でこのまま可愛がるのも良いだろう。
移動を望んでしまえば、それはそれでまた楽しみが増える。
さて、どちらの答えが出るだろうか?

リーゼロッテ > 「ぅ…だって、そんなに自信なんてないですし…。え、えっと…そんなに期待されても、期待以下かもしれない…ですから」

なんだか異様に期待されているのがわかる。
楽しそうな声に相変わらず慌てふためきながら否定を重ねた。
重なる唇は、それだけに留まらず舌が口内へと滑り込んでくる。
さらに驚き、びくりと再び体が跳ね上がるが抗うことはなく、舌を絡め合わせていた。
幾らしても慣れきれない深い口吻はぎこちなく、長い間、追い掛けるというより彼女に翻弄されていたというほうがしっくり来そうなぐらい。
唇が離れていけば、透明な雫が糸となって互いの唇にかかり、少しだけ呆けた表情がぼぅっと金の瞳を見つめた。

「…その、怖い思いでも多いので…ちゃんとした場所がいい、です」

魔族に犯されかかった記憶もあり、やはり不安は残る。
興奮が重なった彼女が、その勢いを抑えてくれるかはわからないものの、お願いの言葉を震える声で囁いた。
しかし、悪戯という言葉も否定するのはこちらのお願いを呑んでもらうのだからと受け入れるつもり。
だからか、不安げに再び彼女を見やる。

「その…悪戯って何を…?」

戻るまでの道は危険がないのを確かめているので、多少気を緩めても平気とは思うが、何を求めるのか。
熱の冷めぬ顔で彼女に問う。

タマモ > 「ふむ…では、一先ずはそういう事にしておいてやろうかのぅ?」

予想通りの答えに、くすりと小さく笑う。
長い長い口付け、少女の体は反応するように跳ねるも、それ以上はない。
たっぷりと堪能すれば離れる唇、終わった後の少女の表情を見詰め、ちろ、と終わりに一舐めする。

「そうかそうか、妾はそれでも良いのじゃ…では、移動じゃな?」

その理由まではさすがに力を使ってないからか読み取れない。
だが、それを分かって尚も受け入れるという少女の言葉。
なるほど、ならばより楽しめよう…そんな事を思いながらも言葉にはせず、にこりと笑みを浮かべた。

「ふふ…さてはて、それはすぐに分かるじゃろう。
悪戯されるとちゃんと伝えた上でじゃ、そこはちゃんと自覚するようにのぅ?」

笑みを浮かべたまま、耳元に唇を寄せ、吐息のかかるように囁く。
しっかりと、それを理解させるように…そうして、移動を始めるのであった。

リーゼロッテ > とりあえずといった返答は、やはり過大に期待をされているとしか思えず、困った表情で彼女を見つめる。
キスが終わったと油断したところで舌先がくすぐれば、ひゃっと小さな悲鳴がこぼれ、ちょっとだけ恨めしそうに彼女を見やる。
移動に納得してもらえれば、安堵の吐息をこぼすも、悪戯の内容は伏せられてしまう。

「自覚って…なにを…?」

ただ、ちょっとではなく、がっつりと悪戯されてしまいそうな含み。
耳元を擽られ、ぞわりとしたこそばゆい感触に身を小さく震わせると、歩き始める彼女の後に続く。
遺跡を出れば、外には少女の使役獣たる大きな隼が待っている。
鳥の背にのって今宵の宴の場所まで向かうか、それとも歩いて何か悪戯をするのやらは、ここを出てからのこととなるだろう。

ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からリーゼロッテさんが去りました。