2020/11/03 のログ
リコリス > リコリスは男の傍らに立つと、素早くその両手を取って手錠をはめる。
さらに、足枷も装着する用意周到ぶりだった。

周囲の村人達は、それでも動けない。
立ち向かえば皆殺しにされるのは分かり切っていたからだ。

「そうだ、それでいい。協力に感謝しよう」

男を足蹴にしながら、リコリスは周囲を見渡し微笑む。
それから、胸元から一枚の呪文が書かれた鳥型の紙を取り出すと、天高く放り投げた。
次の瞬間には空から人の丈を優に超えた漆黒の大鴉が舞い降りてくる。式神だ。

「それではごきげんよう。せいぜい貴様等は静かに暮らしているといい」

リコリスはその背に飛び乗り、鴉は男を足で掴む。
羽ばたきも数回、たちまち空へと舞い上がったかと思えば、その姿は見えなくなった。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からリコリスさんが去りました。