2019/02/18 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 冬なお鬱蒼としている森に囲まれた、人里。民家らしき平屋がぽつんぽつんと点在して、『村』と呼べるか否か程度の集落を形成していた。

その里の唯一の公共の場といって良い、宿屋を兼ねた食堂――こちらも煉瓦造りではあるが平屋だ――は、昼を幾ばくか過ぎたこともあり、客は2人連れ一組、遅い昼食を採っているようだった。
そこへ扉を押し開け、床板を軋ませて足を踏み入れる灰色のフードを被った人物。先客の2人連れは反射的に視線を投げ、見慣れない風体と見ると会話を止めた。
フードの人物はそれを見止めたのか見止めないのか、ぐるりと店内を見渡した後、ゆっくりと奥にあるカウンターの、初老のミレーの男の方へと歩みを進めていった。

ジナイア > 灰色の人物――少し長身の、赤銅色の肌を持つ女は、2人連れの視線が貼りついて離れないのを感じるとすこし、心中で苦笑を零した。
カウンターへ辿りつくと、店主と思しき男と一言二言、言葉を交わす。そうして女が差し出したものをカウンターの男が頷いて受け取って―――ようやくゆっくりと、2人連れの視線が剥がれていくのを感じた。……女の熟れた唇から、思わず密かなため息が漏れる。

ジナイア > その様子を見ていたらしい、店主の方から密かな笑い声が聞こえて思わず翠の双眸を上げる。視線が合うと、女もすこし、笑みこぼした。

「……確かに、渡したからね…」

お邪魔したね、と更に笑って踵を返す。その女の背後から店主が呼び止めた。
女が振り返ると、店主が何か、小さな包みを差し出している……道中、食べるといい――そう言われて、翠の双眸を瞬かせ

「……ありがとう」

柔らかく笑んで、暖かいその包みを受け取った。
そうして今度こそ、踵を返して、その食堂を後にした……

ご案内:「ミレーの隠れ里」からジナイアさんが去りました。